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ラオスの開発問題
ラオスでは水力発電ダムの開発が計画・実行され、その多くはタイへの売電収入による貧困削減が目的です。しかし、ダム事業は住民の移転を余儀なくし、水質悪化、漁獲量の減少、河岸の畑の浸水などを引き起こすことで貧困を深刻化させています。開発事業を進める政府及び援助機関は、影響住民に対して十分な補償や緩和策をとっているとは言えず、国際社会による監視が重要となっています。
メコンウォッチが着目しているラオスの開発事業
- サイヤブリダム
サイヤブリダムは、ラオス国内部分を流れるメコン河本流の、古都ルアンパバンから約150キロメートル下流に建設されます。ダムの長さは810メートル、高さは32メートル、貯水池面積は49平方キロメートルとなる予定です。設備容量は1,260MWと見込まれ、主にタイへの売電が行われることになっています。サイヤブリダムの一番の目的は、外国為替収入を増加させ、ラオスの社会的・経済的発展のための資金調達を行うことです。サイヤブリ水力発電プロジェクトは2019年に着工予定となっています。
- セカタム水力発電ダム
セカタムダムは、関西電力株式会社がラオス南部のチャンパサック県に計画している水力発電事業です。関西電力は、経済産業省の委託事業として、2006年に「タイ国輸出用ラオス国セカタム水力発電事業可能性調査」を行いました。しかし、経済産業省には環境社会配慮に関わるガイドラインなどはなく、ODAを使った調査であるにも関わらず、影響住民であるニャフン族への配慮が行われていない、現地ステークホルダーへの説明責任が果たされていない、調査方法やスコープが不明確、適切な情報公開がなされていないなど、様々な問題を含んでいます。
- トゥンヒンブンダム
トゥンヒンブンダムは、ラオス中部のナムトゥン川の中流域に建設され、1998年から操業開始しました。水力発電専用ダムであり、電気のほとんどは隣国のタイに輸出されています。着工前からナムトゥン川やヒンブン川の水量の劇的な変化による環境社会影響が指摘されてきたにもかかわらず、「影響はほとんどない」とする環境影響評価報告書に基づき、アジア開発銀行の援助を受けて事業が実施されました。しかし、ダム完成後に洪水被害が深刻化し、漁獲量の激減、川岸の野菜畑の損失、交通への影響などが報告されています。さらに、現在、貯水ダムおよび河川に導水する水の量を二倍にすることで既存の発電所の容量を倍増する「トゥンヒンブン拡張事業」が計画されています。この拡張事業によって、移転を強いられる4,360人と下流の48,000人以上の住民がさらなる被害を受けることが懸念されています。
- ドンサホンダム
ドンサホンダムはカンボジアとの国境から上流に1キロメートル以内のラオス国内に位置する「フー・サホン」と呼ばれる水路(メコン本流の分流)に建設されます。事業は2010年までに完成する計画で、総事業費は約3億ドルと見積もられています。240MWを発電し、カンボジア、タイ、ベトナムなどへの売電が見込まれていますが、技術的な詳細は公表されていません。
- ナムトゥン2ダム
世界銀行やアジア開発銀行の融資を受け、ラオス中部カムアン県に建設されたナムトゥン2水力発電ダムは、2010年3月15日にフル稼働開始しました。総事業費約14.5億ドルの国内最大の公共事業であり、豊かな生態系で知られたナカイ高原の湿地帯450平方キロメートルを水没させました。タイへの売電による外貨獲得を目的とし、「貧困削減のためのダム」と謳われていますが、約6200人の移転住民の生計回復の難しさ、ダム下流の水量の変化による洪水悪化や河岸農業・漁業などの生計手段への悪影響、アジア象など絶滅危惧種を含む希少な生態系の破壊など、多くの環境社会影響を引き起こしています。
- ナンマン3ダム
中国の投資によるダムは、人権無視、環境破壊、施工技術などの点で、大きな懸念が持たれています。ラオスで中国が支援を行っているダムのひとつ、ナムマン3ダムは、ラオスでは異例とも言える被害住民による抗議デモが起き、武力で鎮圧される事態となりました。また、コストを抑えるために位置を変更された逆調整池に穴が開いて水がすっかり抜けたり、雨季のたった2ヶ月間でダムが満水になったりするなど、設計ミスの可能性も指摘されています。
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