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#ミャンマー国軍の資金源を断て アンケート結果


2021年衆議院議員選挙に向けて:
日本の対ミャンマー経済支援とビジネスと人権政策に関する
アンケート結果

2021年10月26日

より深い議論が求められる海外経済支援政策

 

環境、社会、人権の問題に取り組む日本のNGO6団体(メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク:NAJAT、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター:JVC、WE21ジャパン)は、日本の対ミャンマー経済支援と「ビジネスと人権」政策に関し、2021年衆議院議員選挙に向けて、政党へのアンケートを行いました。対象は、現時点で国会に議席を有する与野党の9政党(与党:公明、自由民主、野党:NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で、国民民主、社会民主、日本維新の会、日本共産、立憲民主、れいわ新選組)です。

 アンケートは、選挙に際し、広く一般の方に参照していただけることを目的としています。

 

回答結果について:
ご回答は、8党(公明党以外)からいただきました。

ご回答いただいた各党の皆様には、選挙前の多忙な時期にご協力いただいたことをこの場を借りてお礼申し上げます。

日本維新の会からは「個別の事案はそれぞれ調査研究が必要であり、回答は差し控えさせていただきますが、今後も国会質疑や様々な機会に課題解決に向けて邁進をしてまいります」とのご回答をいただきました。

また、自由民主党からも、設問の(2)-(4)について「個別の案件については、回答を持ち合わせておりませんので、控えさせていただきます」との回答をいただいたため、下記のまとめでは、各設問の回答数を(2)-(4)は6党で、それ以外は7党で記載しコメントしています。

 設問は、全部で以下の8問です。(各党に送付したアンケート質問書は こちら です)

(1)すでに借款契約が結ばれている約1兆円の対ミャンマー債務への対応
(2) 国軍系企業との関係が明らかとなっている、バゴー橋建設事業(円借款)への対応
(3)国際協力銀行(JBIC)、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の出融資するヤンゴン博物館跡地再開発(通称Yコンプレックス)事業への対応
(4)経済産業大臣が権益を保有するイェタグン・ガス田開発への対応
(5)JOINのミャンマー投資に対し国土交通省のとるべき対応
(6)国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に関し党としての取り組み
(7)同原則に関する国別行動計画で「開発協力・開発金融」分野における日本政府の取り組み
(8)OOF(ODA以外の政府資金)による海外経済協力において非軍事分野での協力が謳われていない点に関する意見

 アンケート結果の詳細は こちらをご覧下さい。

 ミャンマー支援に関する(1)の質問に対して、3党が国軍に関連するものについては「中断すべき」と回答しています。「中断としない」とした党も、自民党が「諸要素を勘案しながら、どのような対応が効果的か総合的に検討していくべき」と回答するなど、「このまま実施」を選択した党はありません。(2)は4党が対応が必要と回答。「対応は必要ない」と回答した政党はありません。(3)から(5)はそれぞれ3党が対応が必要と回答しています。(3)、(4)、(5)についても「問題はない」「対応は必要ない」と回答された党はありません。

 「ビジネスと人権指導原則」の普及に関して(6)は、4党がすでに取り組みをはじめ、2党がこれから、1党は取り組みを予定していないという回答です。設問(7)の、「ビジネスと人権の国家行動計画」の中で、国の「開発協力・開発金融」においてどのような取り組みがこれまで行われてきたかについては、自由民主党だけが十分であるとし、4党は不十分と回答しています。

(8)では、私たちは日本の政府開発援助(ODA)以外の公的資金(OOF)である、国際協力銀行(JBIC)の出融資・保証(参考:2019年度出融資・保証承諾額は約1.7兆円。ODA有償資金協力は約1.5兆円)や、新たに設立されたJOINなど官民ファンドの出資等において、非軍事分野での協力、紛争の助長への関与の防止などの理念や方針が明文化されていることが必要と考えていること、その点に関しご意見を伺いましたが、クーデター前からあったミャンマー支援のそもそもの問題、日本のODA以外の公的資金が軍事や紛争に関わる可能性を防止する規定がないという点、ODAとOOFの違い、日本のODAを規定する「開発協力大綱」の理解が十分ではない、といった点がご回答から見受けられました。今後、市民社会から議論を深める必要がある課題であると認識できました。

 

アンケートを実施した背景:
日本はこれまで、多大な経済支援をミャンマーに対し実施し、政府開発援助(ODA)のうち円借款の累積供与額は1兆円を超えています。これらの事業の一部では、現状、関係を断つことが国際的に求められている国軍系企業との繋がり等が確認されています。
また、ODA以外の公的資金では、経済産業大臣はイェタグン・ガス田事業での権益を国費を投じて保有しており、同ガス田の生産に伴う各種支払いが国軍を利する可能性が指摘されています。財務省所管のJBICは、ヤンゴン都市部の複合不動産開発において国軍を利すると指摘されている事業に対し融資を実施し、クーデター以降も停止に踏み切っていません。国土交通省所管の官民ファンドであるJOINは、ミャンマーで5件の出資事業を実施していますが、クーデター以降、いずれもミャンマー国軍の経済活動との関係が懸念される状況となっています。
円借款、そしてJBICやJOINの資金原資は、財政投融資資金や外国為替資金借入金等の公的資金です。現在、ODAである円借款よりも、OOF(その他政府資金)と呼ばれる各種の民間投資を支援する公的資金が、日本の経済協力の主力を担っている状況です。
国連ビジネスと人権指導原則に関し、日本政府は2020年10月、企業活動における人権尊重の促進を図るため、「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定しています。しかし、「開発協力・開発金融」分野に関しては、既存のODAに関する「開発協力大綱」やJBICの「環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン」に触れるのみで、これからどのように、日本の中で指導原則の理念を強化していくのかが、明らかではありません。特に、この指導原則を尊重するために必須と考えられる、ODA以外の「開発協力・開発金融」資金において、非軍事分野での協力、紛争の助長への関与の防止などの理念や方針が明文化されていないことも、大きな問題と考えています。

 

参考:
国連ビジネスと人権に関する指導原則に関する外務省の関連サイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_001608.html

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