メニューを飛ばして本文へ移動。

    English site

[メコン・ウォッチ]

ホーム | お問い合わせ | メールニュース登録 | ご支援のお願い


イベント | メコン河とは? | 活動紹介 | 追跡事業一覧 | 資料・出版物 | ギャラリー | メコン・ウォッチについて

ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ミャンマー >沈黙という共謀、ミャンマーの危機を前に何もしない日本

沈黙という共謀、ミャンマーの危機を前に何もしない日本

メコン河開発メールニュース2023年6月23日

 

ミャンマーに連邦制の民主主義がもたらされることをめざして活動する調査・政策提言団体プログレッシブ・ボイスは、ウィークリー・ハイライトを毎週配信しています。6月9日は日本に関して「沈黙という共謀 ミャンマーの危機を前に何もしない日本」と題した内容でした。

出典:Progressive Voice Weekly Highlight, "Complicit Silence: Japan's Inaction in Myanmar's Time of Need," June 9, 2023
https://progressivevoicemyanmar.org/2023/06/09/complicit-silence-japans-inaction-in-myanmars-time-of-need/


この回では代表のキンオーンマーさんが来日した際の状況や、メコン・ウォッチと共同で発出した以下のプレスリリースにも触れています。

【プレスリリース】「ミャンマー国民和解に関し、関係国政府等と交渉するための日本政府代表」は説明責任と透明性を欠いている (2023.5.31)
http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20230531.pdf

和訳で紹介します。

*****

沈黙という共謀 ミャンマーの危機を前に何もしない日本
プログレッシブ・ボイス ウィークリー・ハイライト 
2023年6月9日

ミャンマーに関する国連特使のノリーン・ヘイザーが今週、6月半ばに辞任すると発表した。辞任するまでの20カ月間で、ヘイザーはミャンマー軍による暴力を止めるためにほとんど何も成し遂げなかった。ヘイザーは、ミャンマーの多面的危機を解決しようとして、効果がないにもかかわらずミャンマーの戦争犯罪人らに注目し続ける何人もの特使のうちの一人にすぎない。こうした特使の中には日本の笹川陽平氏も含まれる。笹川氏は以前、ミャンマー史上もっとも高額の費用がかけられて失敗に終わった平和産業に深く関与しており、平和と引き換えに事業や資金をもたらした。最近では、笹川氏はミャンマー軍政が計画している違法な選挙を支持するという、ミャンマーの人びとの意志に反する発言をした。

日本財団の会長である笹川氏は2013年に日本の内閣によって「ミャンマー国民和解に関し、関係国政府等と交渉するための日本政府代表」に任命された。以来、笹川氏のブログや報道によれば氏は何度もミャンマーを訪れ、任務を遂行してきたようである。しかし氏のマンデートの範囲や詳細が公開されたことはない。笹川氏は2023年2月6日、軍政の違法な見せかけの「選挙」への支持を表明し、メディアに対し「民主化の第一歩は選挙。何が何でもやらないといけない」と述べた。このため、400以上のミャンマーの市民社会団体が深い懸念を表明した。

日本の市民社会団体であるメコン・ウォッチは今週、プログレッシブ・ボイスとともに、ミャンマー市民社会が表明する懸念を外務省にふたたび伝えた。外務省は、2021年の未遂クーデター後、笹川氏はその活動のための資金を日本政府から受け取っておらず、外務省にも報告を行っていないと述べた。2021年2月1日以前は、笹川氏は外務省から資金を受け取り、同省に報告を行っていた。外務省の代表は私たちに、行間を読むために「想像力」を使ってほしいと述べた。笹川氏はもはや日本政府代表ではないのだろうか? 氏を任命した日本政府からの説明がなければ、私たちの想像できることには限界がある。

日本政府が、日本政府代表としての笹川氏のマンデートと、軍政の見せかけの選挙についての政府の立場とを明らかにしようとしないことは、複数の点で問題である。第一に、それは日本政府の立場について非常に大きな混乱を生む。日本政府はミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者に対して「アウン・サン・スー・チー氏を含む政治犯の釈放なしに、現状のまま選挙が行われても、軍に対する反感は高まるばかりで、ミャンマー危機の平和的解決はさらに難しくなるだろう」と述べたが、特にミャンマーの人びとに対して日本の立場を明らかにする公式声明を一切発表していない。メコン・ウォッチの事務局長である木口由香氏は次のように述べた。「日本政府が透明性のないままの特使のミャンマーでの活動を認め、かつ何も説明しないことで、ミャンマーの人々の不審を招いている。このような状態は、民主主義や法の支配を重んじる日本の国益にもそぐわないはずだ」

日本のミャンマーへの関与は、日本のアジアにおける民主主義国家としての利益やイメージを損なっている。ミャンマーに提供している政府開発援助(ODA)には、ミャンマー軍の関連企業との事業も含まれる。新規のODAは行われていないものの、すでに累積で数兆円(数十億米ドル)が有償資金協力や無償資金協力、技術協力を通じて提供されており、現在日本はミャンマーに対する最大ドナー国の一つである。ODAの大半は融資として提供されており、これはミャンマーの人びとがいずれ返済しなければならない。さらに悪いことに、ODAの一部はミャンマー軍に資金を供給し続けており、軍が国の全土で残虐な犯罪を続けることを可能にしている。ジャスティス・フォー・ミャンマーは最新の報告で、日本の国際協力機構(JICA)が出資するミャンマーの鉄道や橋梁の事業が、違法軍政の支配下で行われているにもかかわらず継続されており、残虐な犯罪を犯すための軍の兵員や武器の移動を助ける危険があることを明らかにした。

日本政府は、日本企業にミャンマー軍とのビジネスを止めさせるためにほとんど何もしていない。日本が最近、ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業のための援助を打ち切ったと発表したことは正しい方向への一歩だったが、日本が消極的であることは、ロヒンギャに対するジェノサイドや戦争犯罪や人道に対する罪を犯している者を富ませ続けている。さらに、日本政府はこの鉄道整備事業の打ち切りについて公式な発表をせず、メディアに報道させた。これは事業がいつでもひそかに再開されるかもしれないという懸念を生む。

日本は、アジアにおける民主主義国家としてだけでなく、特に国連安保理の理事国として、自らのミャンマーとの関与が、2022年12月に採択された国連安保理決議を違法軍政が無視し続けることにつながらないようにするためにより大きな責任を負う。英国が5月15日に開いた安保理の非公式会合(アリア・フォーミュラ会合)で日本は、すべての暴力の即時停止を求めた安保理決議第 2669 号についての追加的措置を呼びかけた。日本がまずミャンマー軍への資金提供を止め、戦争犯罪人を利するすべてのODAを止めなければ、この呼びかけは虚しいものであり続ける。200以上の市民社会団体が述べたとおり、「人権を尊重するアジアの民主主義国家として世界の舞台で指導力を発揮するには、まずミャンマー軍による残虐な犯罪との共謀への加担をやめなければならない」

外務省前で行われた抗議行動でプログレッシブ・ボイスのキンオーンマーはこう述べた。「ミャンマーでは毎日、若者が軍によって残酷に殺されているが、ミャンマーはこれ以上若者を失う余裕はない。ミャンマーが連邦民主制に移行するまでは、すべてのODAは停止されなければならない。日本政府は私たちの要求に応えるべきである」

注1:1988年の民主化蜂起の一年後、旧軍政が突然国名をビルマからミャンマーに変えた。プログレッシブ・ボイスは、国民の大半がミャンマーを使っていることを認めて「ミャンマー」を使用している。しかし、それがすべての民族を含むという嘘と、かつての国家平和発展評議会が人びとの同意なしに「ビルマ」ではなく「ミャンマー」の使用を強いたという歴史的過程は認知され、忘れられることはない。このため、特定の状況下では「ビルマ」が使用される。

(翻訳・文責:メコン・ウォッチ)

このページの先頭へ

サイトマップ
特定非営利活動法人 メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F(地図
電話:03-3832-5034 Fax:03-3832-5039 
info@mekongwatch.org
© Mekong Watch. All rights reserved.