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進まぬASEANの働きかけ、議員連盟からの声

メコン河開発メールニュース2022年3月29日

 

日本政府は2021年の4月から、ミャンマー国軍に対し(1) 暴力の停止、(2)被拘束者の解放、(3)民主的政体への回帰、の3点に加えて、以下のASEANの「5つのコンセンサス」;

1. ミャンマーにおける暴力行為を即時停止し、全ての関係者が最大限の自制を行う。
2. ミャンマー国民の利益の観点から、平和的解決策を模索するための関係者間での建設的な対話を開始する。
3. ASEAN議長の特使が、対話プロセスの仲介を行い、ASEAN事務総長がそれを補佐する。
4. ASEANはASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)を通じ、人道的支援を行う。
5. 特使と代表団はミャンマーを訪問し、全ての関係者と面談を行う。

が、着実に実施されるよう、ASEAN諸国を含む国際社会と緊密に連携し事態の改善に向けて最大限努力をしていく、と繰り返しています。

しかし、ASEANの議員の中から、この「コンセンサス」にまったく前進がない、という批判の声が上がっています。国連の報告書を引きながら「ASEANの他の加盟国は、現議長国であるカンボジアに対し、ミャンマーでの危機に対処する具体的な行動を取るよう促さなければならない」と主張するASEAN人権議員連盟:APHRのプレスリリースをご紹介します。

ASEAN人権議員連盟(APHR)は現役議員や元議員で構成されるネットワークで、東南アジアでの人権と民主主義を推進するために活動しています。創設メンバーにはエヴァ・クスマ・スンダリ氏(インドネシア)、ウォルデン・ベロ氏(フィリピン)、リム・キットシアン氏(マレーシア)、ソン・チャイ氏(カンボジア)などがいます。

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Myanmar: MPs demand ASEAN action in response to damning UN report
【APHRプレスリリース】ミャンマー:ASEANは国連の断罪的な報告書を受けて行動するべき

2022年3月16日

(ジャカルタ)東南アジアの国会議員らは東南アジア諸国連合(ASEAN)に対し、国連人権高等弁務官事務所が今週、国連人権理事会に提出した報告書を受け、ミャンマーの人びとの苦しみを軽減するために直ちに緊急の措置を取ることを求めた。この報告書は、ミャンマー国軍が「組織的で広範な人権侵害や虐待」を行なっており、その一部は戦争犯罪や人道に対する罪に相当する可能性があることを明らかにした。

「ASEANが『5つのコンセンサス』に達してからまもなく1年が経つが、これらの項目についてASEANはまったく前進していない。このため、この国連報告書が非常に重大な人道に対する罪に相当するかもしれないと結論づけている行為をミャンマー国軍がすることを実質的に認めていることになる」と、APHR議長でマレーシアの国会議員であるチャールズ・サンティアゴは述べた。「治安部隊は人間の生命をあからさまに軽視し、人口密集地に空爆や重火器を用い、故意に民間人を標的にしている」

「その間、現ASEAN議長国であるカンボジアのフン・セン首相はミンアウンフライン率いる犯罪的な軍政との関与を勝手に試み、ASEANがミャンマーの人びとの命を救うために取り得た重要な措置を損ない、遅らせている。ASEANには、軍政が直接引き起こしたこの悲惨な状況に対処する政治的、道徳的責任がある」とサンティアゴは述べた。

国連の報告書は、国軍の国家統治評議会(SAC)が「軍による統治を容易にするための法的枠組み」を操作していると非難したほか、国軍による権力掌握によってミャンマーが恣意的拘束、平和的な抗議者に対する不必要で過度の実力行使、超法規的処刑、収容中の虐待や拷問など「大変な規模の暴力」に直面していると述べた。

国連の報告書が発表された日に、ASEAN議長のフン・センの息子であるフン・マニットがプノンペンで、第19回ASEAN軍事情報会議に出席するミャンマー国軍の代表団を迎えた。APHRはこの会合を、ミャンマーの人びとに対する犯罪行為を続ける軍政を正当化しかねないものとして非難する。

APHRは加えて、国連の報告書がASEANの名前を具体的に出して、目に見える成果を上げていないと述べたのも無理はない、と述べた。ASEANの他の加盟国は、現議長国であるカンボジアに対し、ミャンマーでの危機に対処する具体的な行動を取るよう促さなければならない。国連の報告書は、ASEANの対応が明白かつ緊急に必要であること、対応しなければすでに低下しているASEANの信頼性がますます傷つけられる危険があることを、なおいっそう裏付けるものである。

ASEANと特にその議長国は、暴力が止まり、すべての政治囚が解放され、成熟した民主主義を求める人びとの望みが聞き入れられるまでは、軍政の他のどんな代表もASEANの公式会合に招待することを直ちに止めなければならない、とAPHRは述べた。

ASEANは国民統一政府(NUG)とも対話を始めるべきである。これはASEANの5つのコンセンサスの内容にも従うものであり、また国連の報告書にある、「国際社会はミャンマーの人びとを支援し、この人権危機を機会に変えるためにできることをすべてするべきである」という要請にも応えるものである。

「ミャンマーで人口の5分の1に当たる1400万以上の人々が救命のための人道援助を必要としているのに、ASEANはいまだに新型コロナウイルス感染症対策への支援しか提供していないのは道理に外れている。ASEAN人道援助センターを通じて援助をするという『5つのコンセンサス』の下の計画は当初から失敗する運命にあったが、今からでも遅すぎることはない。ASEANは、困窮している人びとを助け、すでに援助の分配に関して人びとが信頼している現地の非国家主体やネットワークを支援することに組織としての政治的意志を向けるべきである」とサンティアゴは述べた。


原文:
Myanmar: MPs demand ASEAN action in response to damning UN report, APHR Press Release, March 16, 2022
https://aseanmp.org/2022/03/16/mps-demand-asean-action-in-response-to-damning-un-report/

参考:
ASEAN人権議員連盟(APHR)
https://aseanmp.org
メコン河開発メールニュース「クーデターから1年後の被害状況」(2022年3月18日)
http://mekongwatch.org/resource/news/20220318_01.html
JETROビジネス短信「ASEAN首脳級会議を開催、ミャンマーへの特使派遣など5項目を発表」(2021年4月27日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/04/3eb7ac03b8129ca6.html

(文責 メコン・ウォッチ)

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