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チン州およびミャンマー北西部の人権状況についての報告書

メコン河開発メールニュース2021年11月1日

 

チン人権機構(CHRO)がチン州およびミャンマー北西部における人権侵害状況(2021年8月-9月)について、聞き取りなどを通じて集めた情報をまとめたブリーフィングペーパーを発表しました。

このブリーフィングペーパー(「恐怖による統治 チン州およびビルマ/ミャンマー北西部における国家統治評議会政権による命や資産に対する攻撃」(”Reign of Terror: SAC Junta Attacks on Lives and Properties in Chin State and Northwestern Burma/Myanmar”) によれば、この地域では8月以降、ミャンマー国軍がチンランド防衛隊(CDF)その他の人民防衛隊(PDF)に対する軍事行動を強めています。

国軍は少数民族居住地域で長年用いてきた、敵対する武装勢力の食料、資金、情報、募兵の4つを絶つことを目的とする「フォーカッツ(four-cuts)」と呼ばれる戦術をここでも使い、それが民間人の殺害や恣意的拘束、拷問、生活手段の喪失などを引き起こしているとのことです。

以下、ブリーフィングペーパーで報告されている人権侵害状況をご紹介します。期間は特に記述がない限り2021年8月-9月の2カ月間です。

追記:このブリーフィングペーパーが発表された後の2021年10月29日からミャンマー国軍がチン州の町タントランで砲撃を行ない、報道によれば2つの教会を含む160以上の建物が破壊されたとのことです。

【出典】Chin Human Rights Organization, Reign of Terror: SAC Junta Attacks on Lives and Properties in Chin State and Northwestern Burma/Myanmar (August-September 2021)
https://www.chinhumanrights.org/reign-of-terror-sac-junta-attacks-on-lives-and-properties-in-chin-state-and-northwestern-burma-myanmar/
*多数の表や写真あり。

恣意的な逮捕と拘束

チン州とザガイン管区域で101人(男性85人、女性16人)が逮捕された。また2021年2月1日のクーデター発生後から9月末までにミャンマー全国では612人のチン民族が逮捕、拘束されている。

家屋や教会の破壊

ミャンマー国軍による砲撃などにより、チン州、ザガイン管区域、マグウェ管区域で家屋など一般市民の使う建物が192棟、破壊された。これにはチン州で損傷を受けたか破壊された7つの教会が含まれる。

死傷者

チン州、ザガイン管区域、マグウェ管区域で45人が殺された。うち23人は超法規的な処刑による。またチン州ではミャンマー国軍による銃撃や砲撃により32人が負傷した。

難民と国内避難民

チン州での重大な人権侵害により、クーデター以降、約3万から3万5,000人がインドのミゾラム州に逃げた。チン州ミンダット郡では約2万人が国内避難民となっているほか、同州タントラン郡では9月6日以降新たに約1万人が避難民となった。

CHROは国際社会に対し、ミャンマーの国家統治評議会(SAC)政権がチン州およびビルマ/ミャンマー北西部で民間人住民を標的にするのを止めさせるため、外交、政治、経済面で圧力をかけることなどを求めている。

(報告書タイトル訳・文責:メコン・ウォッチ)

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