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グローバル・ウィットネス、ヒスイに関するレポート発表

メコン河開発メールニュース2021年7月12日

 

国際NGOのグローバル・ウィットネス(Global Witness)が2021年6月29日、ミャンマーのヒスイ採掘の問題について報告書 “Jade and Conflict: Myanmar’s Vicious Circle(「ヒスイと紛争 ミャンマーの悪循環))” を発表しました。

報告書 “Jade and Conflict: Myanmar’s Vicious Circle” のページ
https://www.globalwitness.org/en/campaigns/natural-resource-governance/jade-and-conflict-myanmars-vicious-circle/

ミャンマー北部、カチン州パカンには世界で有数のヒスイ産地があります。この報告書は、パカン産のヒスイからの年間数十億ドルもの収入がミャンマー国軍だけでなくカチン独立軍(KIO)、ワ州連合軍(UWSA)、アラカン軍(AA)などミャンマー北部で活動するほぼすべての武装勢力の財源となっていること、2021年2月に起きたクーデターによってヒスイ関連の紛争や汚職がいっそう悪化する恐れがあることについて詳しく述べています。

グローバル・ウィットネスは、国際社会はミャンマー宝石公社(MGE)のほか、ミャンマー・エコノミック・ホールディング・リミテッド(MEHL)やミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)に制裁を科したり、ミャンマー産のヒスイや宝石の輸入を制限したりすることを通じ、ミャンマー国軍がヒスイ産業から得る利益を制限するために行動するべきであると提言しています。

 

以下、要点をいくつか紹介します。

・2016年に政権をとった国民民主連盟(NLD)はヒスイ産業の汚職を一掃するため採掘免許をすべて停止し、ヒスイ産業の規制や環境・社会的悪影響の軽減のための改革に着手した。しかし既得権益を持つ関係者の抵抗によって改革は頓挫し、宝石政策の立案も進まなかった。結果、NLD政権の5年間で国軍をはじめとする武装勢力によるヒスイ鉱山の支配がかえって強まった。

・NLDがヒスイ採掘免許を停止した当時、国軍所有企業であるミャンマー・エコノミック・ホールディング・リミテッド(MEHL)とその子会社が国内の他のどの事業者よりも多くの免許を持っていた。大半は2015年の総選挙後からNLD政権が始まるまでの数カ月間にテインセイン政権(当時)が出したものである。クーデターを通じてヒスイ産業の支配権をふたたび握った国軍が、採掘免許の停止を解除し収入や政治的支持を得るために多数の免許を売り始める恐れがある。

・免許停止前はパカン産のヒスイの50パーセントから80パーセントが中国に密輸出されていたのに対し、免許停止後は最大で90パーセントが中国に密輸出されている。

・国軍内部ではヒスイ関連の汚職がはびこり、例えば採掘に必要なダイナマイトの輸入許可との引き換えに北部司令官に支払われた賄賂が最終的には国軍総司令官であるミンアウンフラインの息子にまで渡っていたことを示す信頼できる証拠がある。

ヒスイ産業によって利益を得ている武装勢力は国軍だけではない。他の地域で敵対している少数民族武装勢力もヒスイ採掘に関しては協力関係にあり、ヒスイからの収入は武器取引に直接絡んでいる。例えば、ワ州連合軍(UWSA)はヒスイ関連税として自分たちの工場で製造された武器をカチン独立軍(KIA)に提供することがよくあり、KIAはこの武器をアラカン軍(AA)に売っていた。クーデター後は武器の需要が高まっていることから、こうしたヒスイと武器の取引は今後も続くと考えられる。

(文責:メコン・ウォッチ)

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