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世界のNGOら、石油大手シェブロンに対し国軍に資金が渡らないよう要請

メコン河開発メールニュース2021年4月26日

 

2月1日のクーデター後、ミャンマー国軍が実権を掌握したとされる公社や、国軍とのビジネスに関係する企業に対し、世界から厳しい目が向けられています。日本の官民が関わる事業についても、例えば以下のメールニュースでお伝えしている通りです。


ODA事業(バゴー橋建設)に国軍系企業子会社との関係が指摘される

「制裁を科すべき」リストに日本企業や日本人理事も

 

3月23日、メコン・ウォッチを含む世界140以上の団体が署名し、米石油大手のシェブロン社に対し書簡(※1)を送付しています。以下に和訳でご紹介します。石油・ガス産業の支払いが、ミャンマー石油ガス公社(MOGE)または国軍に渡らないようにしてほしいと、ミャンマーの市民社会440以上の団体が2月24日に呼びかけており(※2)、書簡はそれを支持するものです。

残念ながらシェブロンはMOGEが制裁対象に指定されないよう、米国政府にロビー活動を行なっていると4月22日に報道(※3)されています。同社は自社の利益を優先せず、国軍によるクーデターに抗議し、必死に市民不服従運動(CDM)を展開しているミャンマーの人びとの声に耳を傾けるべきです。


※1 書簡原文(英語)は こちら

※2 ミャンマー市民社会の呼びかけ(英語)は こちら

※3 ニューヨークタイムズ 2021年4月22日記事

Chevron Lobbies to Head Off New Sanctions on Myanmar

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2021年3月23日

シェブロン・コーポレーション
会長兼最高経営責任者(CEO)マイケル・ワース殿

ユノカル社のミャンマーにおける営業について
貴社の完全子会社(ユノカル・ミャンマー・オフショア社)を通じたミャンマーにおける営業と、最近のミャンマー国軍によるクーデターについて書簡を差し上げます。
ミャンマーの人びとは今回の軍事クーデターに強く反対しています。これは全国であらゆる出身、民族、職業の人びとがクーデターに抗議するデモを行なっていることや、何万人もの公務員が市民の不服従運動(CDM)に参加していることからも明白です。CDMは軍事政権が国を支配するのを妨げる目的で行なわれています。そこには軍事政権が収入を確保する能力を制限することも含まれています。
国際社会もクーデターと国軍による人権侵害を強く非難しています。国連人権理事会はミャンマーについての特別会合を開き、国連安全保障理事会も「深い懸念」を表明しました。カナダ、英国、米国は国軍の高官に対象限定型の制裁を科し、欧州連合(EU)はクーデターを「もっとも強い言葉で」非難しました。ミャンマーの国連大使、チョーモートゥンは国際社会に対し、軍事政権を承認しないこと、また国軍に対して可能な限り強い行動を取ることを求め、ミャンマーの人権状況を調査する国連特別報告者も同様に「われわれはあとどのくらいミャンマー国軍の行動を見逃すつもりなのか?」と問いました。韓国は防衛対話を停止し、オーストリア政府も防衛協力を停止、ニュージーランドも外交関係をすべて停止しました。ミャンマーは採取産業透明性イニシアティブ(EITI)から外され、世界銀行とアジア開発銀行はともにミャンマー政府への資金拠出を停止しました。
この文脈に基づき、私たち下記の団体や懸念する個人はシェブロンとそのパートナーたちに、ミャンマー石油ガス公社(MOGE)とジョイントベンチャーを組んでいる立場を利用し、使用料その他の支払いがMOGEに対してなされないようにすることを求めます。シェブロンその他の企業は、正当性を有し民主的に選ばれた政府が復活するまでは、MOGEではなく保護された口座に対して支払いをするべきです。
2019から20年度の統計によれば、ミャンマーは石油と天然ガスから年間15億米ドルの収入を得ており、そのうち約80パーセントがオフショアの天然ガスセクターからでした。ミャンマー国有の石油・天然ガス企業であるMOGEはその収入の大半を、シェブロンを含む海外の企業とのジョイントベンチャーや収益共有協定を通じて得ています。MOGEは長らくミャンマーでもっとも不透明な経済的アクターの一つであってきたにもかかわらず、オフショアおよびオンショアの石油・天然ガス契約にはMOGEとの生産共有または収益共有協定が必ず含まれています。
シェブロンがミャンマーの石油・天然ガスセクターで行なっている最大の投資は、ミャンマー南西部沿岸沖にあるヤダナ・オフショア天然ガスプロジェクトです。これはトタル、シェブロン、MOGE、そしてタイの石油開発公社(PTTEP)が共同で所有しており、ミャンマー政府にとって非常に大きな収入源となっています。2016-17年度のミャンマーEITI報告書【1】によれば、ヤダナ・プロジェクトはオフショアの石油・天然ガス生産全体の42%を占めていました。ロイターは【2】、シェブロンのヤダナ・プロジェクトへの参加持ち分によって2015年から19年までに6億米ドル近くがMOGEに支払われた可能性が高いとしています。
シェブロンとそのパートナーはMOGEのジョイントベンチャー相手である立場を利用し、こうした使用料やその他の収入の支払いがMOGEに対して行なわれないようにするべきです。これらの収入は不正流用されてミャンマー国軍や正当性のない軍事政権の活動を支えるために使われる危険が高く、クーデターのほか、最近のロヒンギャやその他の民族、またCDM参加者に対して残虐行為を行なっている将軍や部隊を含めた国軍の作戦や利益のために使われる可能性もあります。米国も他のどの政府もー国連もー現軍政をミャンマー政府として承認していません。したがって、軍政に対する支払いはミャンマーの公的資産を盗むのを助けている可能性があります。
これまでのところ、シェブロンは2月12日付の書簡【3】と2月18日の共同声明【4】でクーデターに言及し、国連のビジネスと人権に関する指導原則を遵守し、ミャンマーで「責任ある投資を促進し、現地で商業を支援する」努力をすると述べました。しかしながら、シェブロンの現地の主なパートナーはMOGEという、以前の国軍主導政府に推薦され任命された人物が運営する政府機関であることを記しておきます。MOGEには軍政時代に場合によっては何十億ドルもの金を不正流用するために利用されていた経歴があります【5】。現状では、何も行動が起こされなければ、シェブロンとそのジョイント・ベンチャーのパートナーたちは何億ドルもの金を、まさにその国軍が支配するようになった口座に支払うことになります。国軍は、指導部がジェノサイドを犯した疑いで国際法廷で裁判にかけられており、現時点で250人の抗議デモ参加者を殺しています。これは、自らの商業関係に直接関係する人権への負の影響を防ぐ努力をすることをシェブロンに求める国連の指導原則に違反することになります。
したがって私たちは、軍政に正当性を与えず、石油・ガス分野にいるシェブロンその他の企業は石油・ガス産業からの金がMOGEまたは国軍に渡らないようにしてほしいとのミャンマーの市民社会【6】と連邦議会代表委員会【7】からの呼びかけを支持します。シェブロンとそのパートナーたちはMOGEのジョイントベンチャー相手である立場を利用し、ミャンマー政府へのすべての支払いを停止し、正当性を有し民主的に選ばれた政府が発足するまでは保護された口座に支払いを行うべきです。また、シェブロンが民主主義と文民が指導する政府への回帰と、ミャンマーの文民政治への国軍の介入の停止を公然と支持すること、そしてミャンマーで起きたことを2月12日の書簡に記されているように「現在の状況」と呼ぶのではなく、クーデターであると認めることも求めます。これらの点について私たちと話し合うための会合をなるべく早く開いてくださるようお願いいたします。

1. https://eiti.org/files/documents/4th_meiti_report_30_march_2019.pdf

2. https://www.reuters.com/article/us-myanmar-politics-energy-factbox-idUKKBN2B11XX

3. https://www.business-humanrights.org/en/latest-news/chevrons-response-4/

4. https://www.myanmar-responsiblebusiness.org/news/statement-concerned-businesses.html

5. https://earthrights.org/publication/total-impact/

6. https://earthrights.org/wp-content/uploads/Myanmar-CSO-Call-Concerning-Revenue-Payments.pdf

7. https://twitter.com/Milktea_Myanmar/status/1371805458634305537?s=20

 

(文責:メコン・ウォッチ)

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