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開発に脅かされる先住民(1)海のジプシーと真珠

メコン河開発メールニュース2020年3月27日

ミャンマーのタニンダーリ管区コータウン地区は、ミャンマーの最南端に位置し、タイのラノーン県と接しています。この地域には、「海のジプシー」とも呼ばれるモーケンという少数民族が生活しています。モーケン民族は、移動式の水上生活や素潜り漁に適した特殊な身体能力を持つなど、かねてから研究者に注目される一方、近代化の波に翻弄されてきた存在です。現在、そのほとんどは定住生活に移っていますが、ミャンマー側に住む人たちは、漁を中心とした従来の生活スタイルをまだ残しています。しかし、日本企業の投資による真珠養殖事業が、モーケンや地元の漁民の生活を圧迫する恐れがあると現地では懸念されています。以下に、昨年11月のRadio Free Asia(RFA)の記事を翻訳で紹介します。

地元の市民社会は、企業がモーケンの暮らしを尊重するよう働きかけを行なっていますが、企業側にも国連のビジネスと人権の指導原則等を踏まえた真摯な対応が求められます。


真珠養殖に脅かされるミャンマーの「海のジプシー」

RFA 2019年11月12日(和訳)

 

東南アジアの国ミャンマーの「海のジプシー」、ビルマ語でモーケンやサロンとも呼ばれる漂泊民族の海上生活が、彼らの暮らす同国南部の群島での真珠養殖拡大計画によって脅かされている、と同民族の住民や村の関係者が述べた。

サンゴ礁やビーチのある800以上の島からなるミェイ(メルギー)諸島で、ミャンマー政府と日本の企業による合弁会社が、既存の養殖場を新たに3万エーカー(約1万2140ヘクタール)にまで拡大する申請を出した。

拡大の対象地域には、サロン民族が何世代にも亘って漁業をし、寝泊まりや調理をしてきた島々が含まれる、とサロンの人びとは話す。

ミャンマーの最南端にあり、東はタイ、西はアンダマン海に挟まれたタニンダーリ管区コータウン地区ボピン郡の住民は、この合弁会社であるミャンマー・タサキ社の真珠養殖事業拡大に抗議している。

ミェイ諸島の多くの島が含まれるボピン郡では、アレーマン村落区にあるランガン村の5つの島に230人以上のサロン民族住民が暮らしている。

サロンの住民は、真珠養殖が拡大されて彼らの島でも行われるようになれば海上生活が続けられなくなるとして拡大に反対している。

「サロンと[多数民族である]バマーの両方が計画に反対している」とランガン島のサロン住民の一人、マーナイン氏は言った。「本当に実行されれば生活の場が失われる可能性がある。ここで死んだほうがましだ」。

「私たちサロンは生活手段をなくしてしまう」とマーナイン氏はRFAミャンマー語サービスに話した。「そうなれば深刻な問題に直面する。サロンの生活手段は養殖事業が拡大されない区域に限られている」。

別のサロン住民であるモンガイ氏は、島に対する権利を放棄することになればサロンはミャンマーを出てタイに行くしかないと述べた。

「真珠養殖事業が私たちの生活の場で行われれば、サロンは生計を立てることができなくなる」とモンガイは言った。「生活手段を失えば食べていくことができない。そうなるとタイに移住しなければならなくなる。ここにはサロンがいなくなる」。

ランガン村のテインザン村長は、数が減りつつあるサロン民族の生活に不可欠である区域をミャンマー・タサキ社に渡すのは民族浄化と同様の影響をもたらす可能性があると述べた。

「民族浄化は人を銃や剣で殺すことだけを指すのではない」とテインザンは述べた。「その民族の生活様式が破壊されたり禁じられたりしても同じ結果になる」。

 

契約更新申請

タニンダーリ管区の書類によれば、ミャンマー・タサキ社は1997年以来、チュンス郡のドーメル島を中心に地上と海上を合わせて4200エーカー(約1700ヘクタール)以上の区域で真珠養殖を行う契約を結んでいる。

同社はこれらの真珠養殖事業に842万ドルを投資しており、生産された真珠の25パーセントを政府に渡す義務を負っている。

今、ミャンマー・タサキは事業拡大も併せ、既存の契約を2020年4月から再び更新するための申請を出している。申請が通れば、同社はランガン列島にあるシスター諸島とも呼ばれる3つの島とその周辺の海上の合計3万エーカー(約1万2140ヘクタール)以上で事業を展開することになる。

サロン民族の住民は、ドーメル島で現在行われている同社の養殖事業には反対していないが、サロンの生存に不可欠な区域を事業拡大の対象から外してほしいと述べる。

ミャンマー・タサキが、公式の許可を得る前にランガン列島の島の1つに建造物を建て、養殖用とみなす区域を示すために海上にブイを置いたとして非難する住民もいる。

そのような非難についてのRFAからの問い合わせに対し、ミャンマー・タサキの従業員でドーメル島での事業の責任者であるタントゥン氏は自分には答えることができないと述べた。

「質問に答えられるのは上司だけだ」と氏は述べた。

RFAは同社の取締役であるチッソー氏にも連絡したが、氏は出張で事務所におらず、代わりにコメントできる者もいないと告げられた。

タニンダーリ管区の天然資源・環境保全大臣であるフラトウェ氏は、ネーピードーの中央政府が事業について管区政府の見解を求めてきたため、管区政府も同社の申請を検討していると述べた。

「認可更新申請についての決定はまだ出ていない」と大臣はRFAに述べた。「元の契約で許可された区域と明け渡す区域とを確認するようミャンマー・タサキに求めており、同社はそれをしているところである」。

フラトウェ氏は、管区政府が関係省庁に同社の申請を検討するよう求めており、現在それが行われているとも述べた。

 

「受け入れられない」

10月、いくつかの市民社会団体が、真珠養殖事業の拡大が地域にどのような影響をもたらすかを調べるために島々を訪れた。

タニンダーリ管区の法の支配・司法問題の調整チーム(注:市民社会グループの一つ)を率いるアウンナインウー氏は、政府の保護を緊急に必要としているサロンの権利を擁護するつもりだと述べた。

「真珠養殖業は沿岸でしかできない」とアウンナインウー氏は述べた。「ここで暮らすモーケンは沿岸で小さな船で魚をとるので、真珠養殖業が始まればモーケンは天然の漁場を失うことになる」。

「この計画を受け入れることはできない」と氏は言った。「政府はモーケンの権利を守るべきである。大統領と国家顧問に状況を説明する必要がある」と氏はウィンミン氏とアウンサンスーチー氏に言及して述べた。

チュンス郡出身の議員であるゾーへイン氏は、政府はサロンの人びとの生活手段を守るようにミャンマー・タサキと交渉することで問題を解決できると述べた。

「ミャンマー・タサキ社の事業がサロンの生存を脅かしているのなら、政府は同社との契約を見直すべきである」と氏は述べた。「政府は交渉をし直して契約内容を変えるべきである。政府はサロンの人びとの生活を長期的に守ることに注力しなければならない」。

以前の軍事政権のもとでは、真珠養殖事業のために多くのサロンの人びとがパール島から立ち退かされた。

彼らによれば、サコー島に移ったがまた同じ理由で立ち退かされた。

メルギー諸島のサロン人口はこの数十年で激減し、1980年には1万7000人だったのが現在は10の島に約1700人がいるにすぎない。

起業家が真珠養殖や観光リゾート開発のために我先に土地を確保したことで、ますます多くのサロン住民がタイへの移住を余儀なくされている。

近年ではサロン住民の間で覚醒剤やアルコールへの依存が問題となっている。特に若い男性が大きな打撃を受けており、精神疾患になる者もいる。

加えて、ミャンマー政府はサロンに海上生活を放棄し集落に定住するよう圧力をかけている。生活の安定や政府からの手当てという誘惑に負けない者は少ない。

報告:RFAミャンマー語サービスのチョールウィンウー
翻訳:イェカウンミンマウン
英文作成:ローザン・ゲリン

出典: Pearl Farm Plan Could Spell Doom For Myanmar’s Nomadic ‘Sea Gypsies,’ RFA, November 12, 2019

https://www.rfa.org/english/news/myanmar/pearl-farm-plan-could-spell-doom-11122019161000.html

(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)

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