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ラオス>著名な社会活動家誘拐される(11)

メコン河開発メールニュース2013年12月18日

ラオスの社会活動家ソムバット・ソムポーン氏の強制失踪から1年目にあたる12月15日、ビエンチャンでは、ソムバット氏が創設した団体「参加型開発研修センター(PADETC)」が、「PADETCの特別記念フェア」と題して、同団体の業績を振り返り、同団体の支援者に感謝し、創設者であるソムバット氏に想いを寄せるためのイベントを開催しました。


ソムバット氏に祈りを捧げ、PADETCの活動の発展を願う「バーシー」(仏教セレモニー)

ソムバット氏が長年活動してきたPADETCの事務所で行われたイベントは、ソムバット氏に祈りを捧げ、PADETCの活動の発展を願う仏教儀式「バーシー」で始まりました。続いて、PADETCの現代表カムプイ・サイタラート氏による開会の挨拶が行われ、PADETCの歴史が紹介されました。カムプイ氏の開会の辞の一部を紹介します。

「PADETCは開発の4つの柱という理念に基づいて活動しています。想像してみてください。“経済開発”、“環境の調和”、“文化の振興と保全”、そして“精神的な充足”に支えられた、頑丈なグッド・ガバナンスと教育の上に家が建っているところを。こうした要素は、共に、真の国民の幸福(Genuine National Happiness)と暮らしやすいラオス(Livable Laos)という屋根(つまり最終目標)を支える役割を果たしているのです」。

「これまで長年にわたってPADETCを支えくれた全ての開発パートナーに心から感謝を申し上げます。(中略)また、PADETCの全てのスタッフ、ボランティア、その家族たちにも感謝を述べたいと思います。言うまでもなく、彼らはPADETCの屋台骨であり、ソムバットの理念を心に受け継いでいる人たちであります。PADETCのスタッフとボランティアは献身的に活動を行っていますが、これは「暮らしやすいラオス(Livable Laos)」を創るための真の取り組みだと私は信じています」。


ソムバット・ソムポーン氏のシンガポール人のパートナー、
ウン・シュイ・メン氏によるスピーチ

カムプイ氏に続いて、ソムバット氏のシンガポール人のパートナー、ウン・シュイ・メン氏によるスピーチが行われ、「ソムバットと共に活動し、彼の活動を支えてくれた多くの人たちが今日、この場に集まってくれました。残念ながら、今日、ソムバットは物理的にはこの場に参加することができませんでした。しかし、彼の魂は私たちと共にあると信じています」とシュイ・メン氏は参加者に語りかけました。

さらに、PADETCの活動を振り返る映像が上映され、精力的に農村開発や開発教育に取組むソムバット氏の姿が映されました。また、ソムバット氏と親交のあった参加者が順に、彼との思い出や彼の無事を願う想いを語りました。

こうしたイベントは、ソムバット氏と共に活動してきたPADETCのスタッフや、PADETCで学んだユース・グループの若者たちを含むボランティアによって運営されました。また、PADETCと関わりがあった国際機関やNGOの関係者や、ソムバット氏の理念に共感し、彼の無事を願う多くのラオス人・外国人が参加しました。

参加者は、PADETCやソムバット氏に対するそれぞれの想いを綴り、会場に設置された「創造の木」に結びつけました。日本や海外から送られたメッセージも「創造の木」に結ばれました。メコン・ウォッチに寄せられた8通のメッセージも、届けさせていただきました。いくつかのメッセージを匿名で紹介します。


参加者は「創造の木」にソムバット氏やPADETCへの想いを
結びました。日本や海外からのメッセージも届けられました。

「ソムバットさんの無事を祈り、ご家族のお気持ちに思いを馳せます」

「ソムバットさんの無事と、ラオスが自由に発言できる社会になることを願っています」

「ソムバット氏を直ちに家族の元へ帰してください。ソムバット氏の思慮深い提言は、ラオスにとっても、世界にとっても価値のあるものです」(注:原文英語、メコン・ウォッチ訳)

最後にソムバット氏の姪でPADETCの活動に携わっているソムチットさんが彼に宛てたメッセージを紹介します。

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おじさんへ

おじさんがいなくなってから一年が経ちました...

おばさん(訳者注:シュイ・メン夫人)は、何カ月も眠れない夜を過ごしました。彼女は、おじさんを探し出し、連れ戻すための手助けと方法を見つけるために働き、多くの人と会うことに、彼女の時間のほとんどを費やしています。彼女はおじさんのことをとても心配しています。特に、こんなに寒い季節には。どうしていますか?毛布や温かい服はあるのでしょうか?

昨年、おじさんが瞑想の旅から戻って来た時、尼僧がおじさんに、おばさんのために400回祈りを捧げないといけない、と言ったことを今も覚えています。その理由は分からなかったけれど、おじさんはその時からおばさんのために祈り始めると言いました。おじさんが今もそれを続けていることを願っています。もしすでに400回を過ぎていたとしても、どうか祈り続けて下さい...彼女はおじさんの祈りを感じるでしょう。

おばあちゃん(訳者注:ソムバット氏の母親)は、高齢のため病を患っています。おばさんはとてもおばあちゃんを訪ねたいと思っていますが、それはおばさんにはとても辛いことで、おばあちゃんの容態がさらに悪くなることを心配しています。未だに、おばあちゃんは、おじさんに何が起こったのか、全く知りません。一年前の今頃、おばあちゃんはおじさんを待っていました。おじさんが彼女を訪ねると言ったからです。おばあちゃんはおじさんのことを尋ねましたが、私たちはおじさんが外国で働いていて、おばあちゃんに何が起こったとしても、おばあちゃんに会いに来ることはできないと嘘をつかなければなりませんでした。私たちは、おばあちゃんに、おじさんから電話があり、おばあちゃんのことをとても恋しがっていたと伝えました。今では、おばあちゃんは多くの記憶を失い、座ることも歩くこともできなくなりました。彼女がおじさんのことを話すことはありません。けれど、彼女は私を見ると、痛みのあまり泣き叫びます。彼女は、体は全く痛くないのだと言います。私は、彼女がまだおじさんを待っているのだと思います。どうか、彼女のためにも祈ってください。

昨日(12月15日)で、おじさんがいなくなってから一年が経ちました。世界中の友人たちがおじさんのことを想い、おじさんが無事に戻ってくるためにできる限りのことをしています。おじさんはいつでも皆の心のなかにいます。

PADETCは、素晴らしい仕事をしました。おじさんがラオスの人びとと国のためにしたこと、そしておじさんが親交を持った人びとのためにしたことを、人びとに思い起こさせるためのフェアを開催したのです。200人以上の人びとがこのフェアに参加しました。私たちはおじさんのために祈りを捧げました。多くの人びとがおじさんのために「創造の木」にメッセージを寄せ、おじさんが戻ってくることを願い、メッセージを読みました。私もクーンやムイと同じように木にメッセージを結びました。

おじさんはどこにいたとしても、私たちみんなのことを恋しがっていることでしょう。私たちもおじさんが恋しいです。いつもおじさんがそうであったように、どうか強くいてください。

私は、いつの日にかまたおじさんが家に帰ってくると信じています。私は、おじさんやおばさんが私に教えてくれたように、最善を尽くします。

ソムチットより
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【参考】
1. PADETC のホームページ(英語・ラオス語)http://www.padetc.org/
2. 日本のNGOが安倍首相宛に、ラオス政府に対して、ソムバット事件の真相解明や国内の人権状況の改善を働きかけるよう要請した書簡
http://www.mekongwatch.org/resource/documents/rq_20131212.html

 

(翻訳・文責 メコン・ウォッチ)

 

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