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メコン上流開発>ラオスのメディアから見たメコン河の変化

メコン河開発メールニュース2010年3月17日

ラオスとタイの北部では、「カイ」または「ガイ」と呼ばれる川藻の一種が食用とされてきました。この川藻は、乾季にメコン河や支流の水位が下がり、水が澄んだときに採取されてきました。メコンの水は普段、茶色に濁っていますが、乾季の一時期だけ透明度を高めます。また水位が下がると河床に光が届き光合成ができるため、この藻が大量に発生することができるからです。この「カイ」を、海苔のように薄く延ばしてゴマなどをまぶして干し揚げて食べる料理は、地元の家庭料理としてだけでなく、観光客向けのレストランでも人気メニューとなっています。また、支流よりもメコン河の藻が味もいいとされています。

メコン・ウォッチはラオスの映像制作者と協力し、県放送局での環境番組の制作を支援しています。

   >> 詳しくはこちらをご覧ください(ラオス環境メディアプロジェクト)

このプロジェクトで2009年、「カイ」を取り上げた作品をルアンパバン県と制作しました。世界遺産となった観光化が進んだルアンパバンで、「カイ」が村落の貴重な現金収入の手段となっており、なくてはならない産品となったことを紹介しています。

しかし、自給を超えた過剰な採取で資源が枯渇する恐れがあり、長期的な利用のための地元民による管理などを考える時期にきていることも伺えました。更に、人々の行動よりも資源量に大きな負荷をかけている現象が起きていることも確認されました。

ここ数年、急激な水位の上昇で、カイが根こそぎ流れてしまうときがあるのです。地元の人々は、これが上流中国のメコン本流ダムからの放水の影響だと認識しています。

通常、メコン河の水位は雨季と乾季で上下を繰り返していますが、自然な状態では大量の降雨があっても、その上がり方は緩やかです。しかし、ダムの水は1日で大河メコンの水位を目に見えるほど上げ、流速も早いといいます。このような放水は発電のためだけではなく、中国の大型船が浅瀬を通る際に行われています。中国は、自国の船舶が難所を通りやすくするため、ダムの水を利用しているわけ
です。

2月12日のメコン河開発メールニュース「メコン河上流開発:中国側から見た開発の現状」で、お伝えしたように、中国側から見て商業的にはメリットのある上流開発ですが、生態系と下流域の人々の生業に大きな負の影響を及ぼしている側面があります。

実は、こうした影響についてメコン・ウォッチでも、タイ側からの情報として2005年に新聞記事を翻訳し、お伝えしています(2005年7月1日メコン河開発メールニュース)。

上流開発の影響は未だに続いており、今回更にラオス側でも改めて確認されたということになります。

川の藻類は人間だけでなく、数多くの種類の魚の餌であると同時に、産卵場ともみられています。自然資源の枯渇に関して、とかく地域住民の過剰採取が問題とされがちですが、ダムのような構造物のもたらす影響は、広域かつ長期わたり生態系の劣化を招いている怖れがあります。生物多様性の保全が叫ばれている今こそ、この側面でのより詳しい調査が流域全体で必要とされています。

(文責 木口由香/メコン・ウォッチ)

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