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 メコン上流開発>北タイの川海苔への影響 

先日、国立環境研究所のメコン河生態系長期モニタリングプロジェクト(MeREM) の一環としてメコン河流域国のジャーナリストと科学者を招いてのワークショッ プやシンポジウムが東京で開催されました。 以下は、そこに招待されたタイの記者が帰国直後に書いた記事をメコン・ウォッ チの大澤香織が翻訳したものです。


川海苔の望みが枯れる 主婦たちは中国のダムが貴重な植物喪失の原因と主張

Anchalee Kongrut記者、バンコクポスト

2005年6月12日

チェンライ県チェンコン郡のBan Hat Karaiの主婦たちはメコン河の母なる自然 がもたらす川海苔、地元ではガイと呼ばれる植物に感謝している。

1993年から協同グループを作っているこの主婦たちは、チリ・ペーストや海草ス ナック、乾燥海苔など、川海苔から作られた商品を売ることで毎年、約25万バー ツを稼いでいる。ガイを利用した食べ物は次第に人気が出てきている。

しかし、彼女たちは中国のダムが主な原因だと信じられている生態系の問題によっ て、ガイがすぐにでも川から失われてしまうのではないかと心配し始めた。もし そうなれば、商売もできなくなってしまう。 主婦たちは、たいてい3月から6月にかけて水草を採取するが、中国のダムが植物 を一掃してしまうと信じている。今年、彼女たちは以前のような弾力と伸縮性の ある水草のかわりに、破れて、川の泥でいっぱいになり、濡れてグニャリとした 潅木しかみつけることが出来なかった。

「上流からの大量の水が水草を押し流してしまう。このままではわれわれの商売 は危うい」Manee Jinaraiさん(53)は言った。

この小規模コミュニティベースの商売は34人のメンバーによって行われている。

このグループは自分たちの商品に誇りをもっている。昨年のOne Tambon One Product(OTOP)フェアでは四つ星の評価を獲得した。

日本と韓国の企業は彼女たちのグループに、独占的に輸出を行いたいと申し出た ことがある。

しかしManeeさんは、採り過ぎによって川海苔が絶滅してしまうことを恐れて、 この申し出を断った。

乾燥し引き伸ばされたガイはチェンライの地元の市場で売られる。「ガイの供給 は自然に依存している。しかし、川は今では上流のダムを通じて中国によってコ ントロールされている」と彼女は言う。

中国ではメコン河は瀾滄江(Lancang River)という別の名前を持っている。 中国とチベットの境に源流を持ち、4200kmの川はタイ、ラオス、カンボジア、ベ トナムを流れる。

中国はすでに南部での2つのダム建設を終え、さらにこの川のうえに6つのダム を作る計画を立てている。

2002年にはメコン河の浅瀬は、タイと中国政府のあいだで合意された貨物船の輸 送ルートを拡張する計画に基づき破壊された。

「瀾滄江という名前を持つことが、中国政府がこの川を国際河川ではなく、国内 の川だとして扱っていることを説明している」チェンライのRalabhat大学の生物 学者、Sriwan Chaiyasook助教授は言う。

「中国政府は電力を生み出すためにダムの水門を開くだろうし、下流の貨物船が 航行するために水を放水するだろう」とSriwan助教授は言う。彼は長年、村人と ともにガイの保護について研究を行ってきた。

ダムと早瀬の爆破はメコン大ナマズに対しても打撃を与える。カンボジアは中国 のダムの水門が開いたことで、自国のナマズが年間4匹から2匹におちたと非難 している。

地元の村人やタイの環境保護論者たちは環境影響への懸念から、早瀬の爆破に対 して抗議している。

タイ科学技術資源協会(TISTR)の生物学者、Aparat Mahakan氏は、生物学的な 研究がガイを絶滅から守ることができるかも知れないと言う。

水草の専門家であるAparat氏は、ガイを研究室で育てる野心的なプロジェクトを 始めた。この植物は敏感な種であることで知られており、メコンや北タイの一部 の河川など自然の川でしか生息しない。

日本では、ガイ、日本語で「マリモ」【訳注】は絶滅危惧種に数えられており、 北海道の村人たちは毎年この植物を崇拝するイベントを行っている。

「ガイは自然環境の中でしか育たないため、研究室で育てることは難しい。しか し、われわれはそれを保護する方法を探ろうとしている」と研究者は言った。

この計画のもとでは、研究室は石をしきつめた川底や正確な水流などによりメコ ン河に似た環境を作りださなければならない。

TISTRは珍しい種類の生物を栽培することで知られている。 彼らは新しい環境で20年間生息しつづける珍しいキノコを保護するのに成功した 経験がある。

このプロジェクトはメコン河生態系モニタリング(MeREM)のもとで行われてい る多数の科学的プロジェクトのひとつである。MeREMは日本からの財政援助によ り流域の研究者グループによって2003年に設立された。

【訳注】原文ではMoramiとなっているが、文脈からマリモのことだと思われる。

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