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バルーチャン第2水力発電所改修計画(ビルマ・ミャンマー)

日程 JICA 外務省 その他
2004.4.9 河野洋平外務大臣が来日中のミャンマー外務副大臣へバルーチャン第2水力発電所の改修のために30-35億円の無償資金協力を行うと約束(プレッジ)。
2004.4.24 カレンニー民族進歩党がこの改修計画への資金協力に反対する声明。要点:ビルマ軍の支配で発電所の周辺から強制移住が行われ、地雷も埋葬されている。水利用は発電所優先。農地への水供給は制限された。援助は軍政を長引かせる
2001.6.1 田中外務大臣:河野議員の質問に対し案件調査を言明 衆議院議員河野太郎氏が外務委員会で質問。要点:強制労働の懸念、水利用の優先問題、地雷、紛争助長可能性の懸念、等。
2001.6.5 衆議院議員首藤信彦氏:質問主意書提出。強制労働等の人権侵害の懸念や不正等の問題を指摘し、日本政府の見解を尋ねた。
2001.6.11 田中外務大臣:福島議員の質問に対し政治的な問題もあるが、民衆に役立つように行いたいので、今後様々な角度から情報収集をして行きたいと言及。 参議院議員福島瑞穂氏:行政監視委員会での質問。要点:アメリカのパウェル国務長官が時期的にビルマへの援助を行うべきではないという発言やILOのビルマへの制裁を考慮し、この案件への援助は不適切ではないか。
2001.6.18〜27 無償資金協力課の現地調査(首藤議員の質問主意書に答えるための調査)。結果は特に問題なし。
2001.7.19 メコン・ウォッチ情報公開請求(無償資金協力課の現地調査報告書)
2001.7.26 環境社会配慮を行うために必要な調査事項と考慮すべき点を要請文にし、メコン・ウォッチが外務省無償資金協力課に提出。36団体(内、ビルマ人が中心の団体10団体)が賛同。
2001.7.30〜8.6 首藤信彦議員の現地訪問。帰国後、プロジェクトには問題無いと発言(注:軍事政権関係者と常に同行)。
2001.8 基本設計調査 JICAの基本設計調査の一部は社会影響調査と外務省が説明する。環境には影響がないはずなので、環境影響調査は特に必要がない。環境と関連する情報(例:川の水量など)は入札に影響を与えるので、公開できないと発言。
2001.8.20 7月19日付けのメコン・ウォッチ情報公開請求に対して部分開示
2001.9.2〜29 メコン・ウォッチ調査(タイ・ビルマ国境とヤンゴン中心)。発電所の周辺地域から逃れてきた難民を中心に調査。タイへ逃げてきた主な理由は強制労働。
2001.10 基本設計調査
2001.12.15 アメリカの国会議員から小泉首相へ書簡:バルーチャン第2水力発電所の改修のために援助を行うことが決まって非常に残念に思う。
2001.12.17 日本の国会議員15人から田中外務大臣への要請文。要点:強制労働や発電所の運営上の水利用問題、紛争助長の可能性の懸念があるので、条件無しで援助を行うべきではない。
2002.5.10 交換公文(E/N)
2002.9.19 メコン・ウォッチが基本設計調査の報告書の情報公開請求。(特に社会影響調査)
2002.10.18 メコン・ウォッチの基本設計調査報告書情報公開請求に対し、不開示。 主な理由:入札への影響
2002.7.26 カレンニー進歩党書記長、カレン民族同盟外務担当の来日。国会議員や外務省を訪問。ビルマへの援助への懸念を説明し、厳密なモニタリングを要請。
2002.7.29 カレンニー民族進歩党が川口外務大臣へ手紙を送る(川口大臣のビルマ訪問の直前)。要点:バルーチャン改修のための援助はビルマの本来の国家建設につながらない。プロジェクトのモニタリングは絶対必要。民主化のプロセスには様々な民族の参加も不可欠。
2002.7.30 谷博之修議員、質問主意書提出。要点:基本設計の一部として行われた社会影響調査の具体的な手法の説明を求める。
2002.8.27 谷博之議員の質問主意書への答弁: 要点:社会影響調査の手法はJICAの関連するガイドラインに基づいた。

問題点

  1. 環境社会影響調査を含む基本設計調査の前に日本政府がコミットメントを約束(プレッジ)をしている。環境社会配慮が日本政府の意思決定に十分反映されるような制度になっていないのではないか?
  2. 無償資金協力では基本設計調査に先立ってJICAが予備調査を行い、その報告書を公開することになっているが、本件について当該報告書が公開されていることが確認できない。どのような案件検討と予備調査が行われたか不明である。
  3. JICAによれば「平成13年度以降にJICAが基本設計調査を行う全てのプロジェクトの「事業事前評価表」を、資金協力に係る相手国との交換公文(E/N)締結後に公表」するとあるが、本件については公表されていない。
  4. JICAの基本設計調査で社会影響調査が行ったと外務省が説明しているが、調査報告書は非公開とされた。
  5. ミャンマーのような軍事政権下で政府が同行する社会調査は信憑性に疑問がある。
  6. バルーチャン第2水力発電所があるカレンニー州は、紛争地帯であり、事業が紛争助長する恐れがある。こうした社会面での影響調査が考慮されていない。
  7. ILOはタイ国境に逃げた避難民を正当な情報源と捉えているが、日本政府・JICAはその証言を無視している。

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