ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ミャンマー >ミャンマー軍政が日本にODA再開を求めているとの報道に関して
メコン河開発メールニュース2026年7月7日
2026年6月30日、ミャンマーの首都ネピドーで開かれた記者会見で、ミャンマー軍政の報道官カインカインソー氏が、記者の質問に答える形で、日本が2021年のクーデター以前に約束していた政府開発援助(ODA)の再開を求めたことが共同通信や日本経済新聞に報じられています。
日本にODA再開求める ミャンマー親軍政権報道官
https://news.jp/i/1444672829607117757?c=39550187727945729
ミャンマー大統領報道官「ODAは市民のため」 日本に再開要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM308UV0Q6A630C2000000/
この記者会見では記者から、中国と協力するチャオピュー深海港等の事業の進捗、日本のインフラ事業が止まっている中、日本に期待することは何か、また、今後もインフラ整備に日本の支援を必要としているのか、について質問があったようです。
日本に関する部分で、軍政の報道官はこれまでの日本の支援に感謝を述べ、鉄道事業など日本の支援の凍結で困るのは市民だ、としています。そして、昨年の中部大地震からの復興においても国際的支援が必要で、国民のために支援をしてほしい、といった発言をしました。また、新規のODAの供与は難しくとも、すでに日本が約束を交わした事業を再開してほしいとの希望を述べました。これが前述の報道につながったものです。
記者会見の映像(ビルマ語)
https://www.youtube.com/watch?si=A6MHm2q80JEjf3SH&%3Bt=1004&v=sMZEeZ8eJdw&feature=youtu.be
ここで忘れてはならないのは、なぜ日本の新規ODAが停止し、既存のODAも一部停止しているか、その理由です。それは、ミャンマー軍が国際社会の呼びかけを無視し、未だに市民に対する凄惨な暴力を継続し、不当に拘束したアウンサンスーチー氏を含む政治囚を解放せず、見せかけの選挙まで行いミャンマーの人々から奪取した権力を手放さないためです。現在も360万人以上の人が国内避難民となり、国民の1/3以上が人道支援が必要な状況に追い込まれています。
報道官の発言は正確でもありません。日本政府は既存の対ミャンマーODAを停止しておらず、例えば軍系企業が下請けに入っていたバゴー橋の建設事業では、クーデター以降も建設と支払いを続け完工しています。
ミンアウンフライン前軍総司令官が軍服を脱ぎ「大統領」になったと主張しても、人々への弾圧を止めない限り、ODAの再開は検討されるべきではありません。また日本政府は、これまでも市民グループが以下の要請などで求めてきたように、ミャンマー軍政を利することのない人道支援事業を除き、実施中のODAも停止すべきです。
[要請書]日本政府は、軍政の見せかけの選挙の実施を止めるための国際協調をリードし、
真の連邦制民主主義の確立に努力するミャンマーの人びとの支援を強化してください
https://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20251006.pdf
以下に、2021年時点での実施中案件(2020年までに国際約束を結んだ案件)と、実施中とされているが未着手、あるいは未了である案件の一覧を紹介します。
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出典「外務省:政策評価法に基づく事前・事後評価」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/index_hyouka05.html
未着手案件(政策決定後5年を経過した時点で貸付ないし贈与契約が締結されていない、あるいは貸付実行ないし資金支払が開始されていない等の案件)
2025年時点
地方インフラ整備計画、都市配電網整備計画、ヤンゴン都市開発計画、ヤンゴン下水道整備計画、ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ3)、ヤンゴン河航路標識改修計画
未了案件(政策決定後10年を経過した時点で貸付実行ないし資金支払が未了である等の案件)
2024年時点
インフラ緊急復旧改善計画(フェーズ1)、 鉄道中央監視システム及び保安機材整備計画
2025年時点
全国基幹送変電設備整備計画フェーズ I
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ミャンマーに対する実施中のODA案件
2021年(令和3年)4月 外務省国際協力局
(注:2021年4月時点のリスト。一部終了案件を含む)
1 有償資金協力
* 貧困削減地方開発計画(フェーズ1)
* インフラ緊急復旧改善計画(フェーズ1)
* ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)(第1期及び第2期)
* ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズ1)(第1期〜第3期)
* ヤンゴン都市圏上水整備計画(フェーズ1)
* ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ2)
* バゴー地域西部灌漑開発計画
* 全国基幹送変電設備整備計画(フェーズ1)
* 通信網改善計画
* ヤンゴン配電網改善計画(フェーズ1)
* 中小企業金融強化計画
* ヤンゴン環状鉄道改修計画
* 全国基幹送変電設備整備計画(フェーズ2)
* 東西経済回廊整備計画
* バゴー橋建設計画
* 貧困削減地方開発計画(フェーズ2)
* 農業・農村開発ツーステップローン計画
* ヤンゴン都市圏上水整備計画(フェーズ2)(第一期)
* 地方主要都市配電網改善計画
* 水力発電所改修計画
* 中小企業金融強化計画(フェーズ2)
* 住宅金融拡充計画
* 農業所得向上計画
* ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズ2)(第一期)
* ヤンゴン下水道整備計画
* ヤンゴン都市開発計画
* 都市配電網整備計画
* 地方インフラ整備計画
* ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ3)
* 東西経済回廊幹線道路整備計画(バゴー―チャイトー間新道路)
* 中小企業金融強化計画(フェーズ3)
2 無償資金協力(国際機関・NGO経由を除く)
* 口蹄疫対策改善計画
* 電力供給緊急改善計画
* 航空機監視システム改良計画
* 農村地域における農業機械及び建設機材整備計画
* 人材育成奨学計画
* ヤンゴン新専門病院整備計画
* マグウェイ総合病院整備計画
* 鉄道中央監視システム及び保安機材整備計画
* 金融市場インフラ整備計画
* 日本ミャンマー・アウンサン職業訓練学校整備計画
* マンダレー港湾開発計画
* ヤンゴン市無収水削減計画
* 経済社会開発計画
* 工科系大学拡充計画
* ヤンゴン河航路標識整備計画
* ダウェイ総合病院整備計画
* ヤンゴン南部水給水計画
* 洪水及び地滑り被害地における学校復旧計画
3 技術協力
* ヤンゴン市開発委員会水道事業運営改善プロジェクト
* イエジン農業大学能力向上プロジェクト
* マラリア排除モデル構築プロジェクト
* バゴー地域西部灌漑農業収益向上プロジェクト
* 送配電系統技術能力向上プロジェクト
* 鉄道車両維持管理・サービス向上プロジェクト
* イネ保証種子流通促進プロジェクト
* ヤンゴン公共バスサービス改善プロジェクト
* ミャンマー日本人材開発センタープロジェクト フェーズⅡ
* 保険セクター育成プロジェクト
* メディカルエンジニア育成体制強化プロジェクト
* 法・司法制度整備支援プロジェクト
* 持続可能な自然資源管理能力向上支援プロジェクト
* 人身取引被害者支援能力向上・協力促進プロジェクト
* TVETの質的向上プロジェクト
* 国家技能標準(NSS)開発支援プロジェクト
* 農村地域基礎保健サービス強化プロジェクト
* 口蹄疫対策のための組織能力強化プロジェクト
* 気象観測・予報能力強化プロジェクト
* 道路橋梁維持管理能力強化プロジェクト
* 通関電子化を通じたナショナル・シングル・ウィンドウ構築及び税関近代化のための能力向上プロジェクト フェーズ2
* MRTV能力強化プロジェクト フェーズ2
(翻訳・文責:メコン・ウォッチ)