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メコン本流ダム>重要情報が既存調査のコピペ…日メコン首脳会談、環境への貢献は?

メコン河開発メールニュース2018年10月4日

9月20-21日の2日間、4番目のメコン下流本流ダムとなるラオスのパクライダムについて、地域ステークホルダー会合が開催されました。ラオス南部のセピアンセナムノイダムの決壊事故(7月23日発生)を受けて、ラオス政府は既存・建設中のダムの安全確認や新規事業の中断と再検討をすると発表しています(注1)。会合を主催したメコン河委員会(MRC)は、メコン河流域の水管理のために作られた機関で、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムがメンバー国、中国とミャンマーがオブザーバーとして参加しています。

メコン・ウォッチも参加している、市民グループ・NGOなどのネットワーク、セーブ・ザ・メコン連合(StM) (注2)は、事業を推進することになりかねないこの会合をボイコットし、公開声明を出しました。声明では、ラオス政府がMRCに開発を告知したパクライダムについて、累積影響調査と国境を超えた流域調査を行うまで、開発は見送るべきとしています。

声明で指摘した点は、MRCが2010年には戦略的環境アセスメントを実施し(注3)、2017年にも6年間と470万ドルの費用を費やした本流ダムの影響を含む流域管理調査(注4)を発表しているにもかかわらず、ラオス政府がMRCに提出した資料に、その新しい知見が全く反映されていないことです。それどころか、人々の暮らしに事業がどれだけ影響するかを考えるために重要な累積影響調査の社会的基礎情報の記載の9割が、第3のメコン本流ダム・パクベンダムの資料からのコピペ、つまり丸写しだったことが、StMのメンバーの確認で明らかになったのです。該当部分はダムの名前を変えただけ、そして関与する企業の名前はそのままという有様でした。

StMの声明の全文(英語)は、こちらに掲載されています。
https://savethemekong.net/wp-content/uploads/2018/09/StM-Statement-on-Pak-Lay-assessment-v20Sept18.pdf

この事態は、2つの大きな問題を顕在化させました。まず、ダム決壊事故を受けて、新規ダムの見直しを公言したラオス政府が、実際にはメコン本流の大型ダムの計画を止めていないこと、2点目は、流域の調整機関として作られたMRCが、本流ダムの検討過程で、市民という重要なステークホルダーの参加を実現できていないということです。

10月8-9日には、日本で日メコン首脳会議が開催されます。日本政府は、メコン河の環境に関して、2009年11月の第1回日メコン首脳会議において採択された東京宣言で、「緑豊かなメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブの開始を宣言し、MRCを通じて総合水資源管理(IWRM)のアプローチを促進していくことを謳っています。

「グリーン・メコンに向けた10年」イニシアティブに関する行動計画
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/j_mekong_k/s_kaigi02/gm10_iap_jp.html

現在、このイニシアティブの元、日本の国際協力機構(JICA)は、今後のメコン河流域の自然保全のプログラム形成のため「メコン流域の流域管理・環境保全に係る情報収集・確認調査(注5)」を実施中です。日本が環境分野で流域各国に貢献することは、歓迎される動きです。しかし、その事業のカウンターパートはMRCです。今回StMが会合をボイコットせざるを得なかったように、MRCは長年、市民参加のスペースが不十分なことで批判されており、ドナー国からも厳しい指摘を受けています(注6)。MRCがその役割通りに機能しなければ、日本の行動計画の実現に大きな妨げになります。MRCは、市民からの要求に耳を傾けること、そしてラオスの決壊事故の検証が終わるまでダム開発を進めないようラオス政府に助言すべきでしょう。日本政府には、調査結果を広く一般にわかりやすい形で提供すること、またMRCと今後も協働するのであれば、その機能の不完全な部分を補強する取り組みが求められていると考えます。

(注1)Vientiane Timesの報道 (2018/8/8)
Govt to inspect all dam standards, shelve new hydro projects
http://www.vientianetimes.org.la/FreeContent/FreeConten_Govt_183.php

(注2) セーブ・ザ・メコン連合: NGO、地域の人々などメコン流域国内外の一般市民が集まり2009年に結成。メコン河の将来に懸念を持ち、地域または国際的に意見を発信したい人々のプラットホームとして発言を続けています。

(注3) Strategic Environmental Assessment of Mainstream Dams.
http://www.mrcmekong.org/about-mrc/completion-of-strategic-cycle-2011-2015/initiative-on-sustainable-hydropower/strategic-environmental-assessment-of-mainstream-dams/

(注4) The Study on Sustainable Management and Development of the Mekong River including Impacts of Mainstream Hydropower Projects. 通称、Council Studyと呼ばれている。
http://www.mrcmekong.org/highlights/the-study-on-sustainable-management-and-development-of-the-mekong-river-including-impacts-of-mainstream-hydropower-projects/

(注5)https://www2.jica.go.jp/ja/announce/pdf/20171004_170757_1_01.pdf

(注6)http://www.mekongwatch.org/resource/news/20150626_01.html

(文責/メコン・ウォッチ)

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