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メコン本流ダム>パクベンダム>売電決定をタイが延期

メコン河開発メールニュース2018年5月31日

ラオスで計画が進められているメコン河本流のパクベンダムについて、売電合意が延期されました。同事業については、環境社会影響評価の不備や、絶滅危惧種のメコンオオナマズを含む魚の回遊への影響が指摘されており、今回の延期によって、事業の見直しが行われることが期待されます。

パクベンダムは、メコン河下流域の本流ダムとしては、すでに工事が始まっているサイヤブリダム、ドンサホンダムに続いて、3番目に進められようとしている水力発電事業です。ラオス北部ウドムサイ県にあるパクベンという町から7キロ上流に位置し、設備容量は912MWで、毎年4,700GWhの電力を作ることが見込まれており、そのうちの90%の電力はタイへ売られ、残りの10%の電力はラオス電力公社を通じて国内に供給される計画です(注1)。

アメリカに本部を置くNGO、International Rivers(IR)が3月13日に発表したプレスリリース(注2)によると、2018年2月中旬、タイの地域コミュニティグループである「チェンコンを愛する会(Rak Chiang Khong Group )」は、タイ発電公社(EGAT)から、タイ電力開発計画(PDP)の見直しが完了するまで、パクベンダムからの買電をするかどうか、決定を延期するという旨の書簡を受け取りました。

この件は、日経アジアレビューなどでも紹介されています。
Greens take on China's infrastructure projects in Southeast Asia (3/26)
https://asia.nikkei.com/Politics-Economy/Economy/Greens-take-on-China-s-infrastructure-projects-in-Southeast-Asia?page=1

パクベンダムは当初からメコン河での漁業や河の流れに影響を与えるとして多くのメコン河下流域の地域住民から反対の声が上がっており、加えてタイの政府機関がダムの情報公開などの責務を果たしていないとして住民が訴訟を起こし現在も行政裁判が続いています。

以下、IRのプレスリリースの翻訳をお届けします。

【プレリリース】タイ、パクベンダムからの買電合意を延期

2018年3月13日


2月中旬、タイ発電公社(EGAT)はタイのメコン住民ネットワークである「チェンコンを愛する会」に書簡を出した。この書簡には、現在行われているタイ電力開発計画(PDP)の見直しが完了するまで、ラオスのパクベンダムからの電力購入合意(PPA)に署名するかどうかの決定を延期することになったと書かれていた。

912MW規模のパクベン水力発電ダム事業は、メコン河下流の本流において事業が進められることになったものとしては3つ目で、ラオス北部のウドムサイ県に位置する。主要な開発事業者は中国の大唐集団公司であり、他にタイのEGATの子会社であるElectricity Generating Public Company Limited 社(EGCO グループ)、そしてラオス電力公社(EDL)である。作られた電力の90%を、タイへ売ることが提案されていた。

EGATから チェンコンを愛する会に送られた書簡は、パクベンダムのスケジュールの遅れを認めている。ラオスは以前に2017年中に建設を開始すると発表していた。

報道によれば、PDPの現在の見直しは、浮上してきた破壊的技術(訳者注:既存の市場やシステムでは考えられなかった新しい技術)のタイのエネルギー部門における役割や、風力や太陽光といった再生エネルギー源が世界のエネルギー市場において急速に主流化しているという認識に影響を受けていると伝えられている。PDPの見直しは3月末には完了する見通しである。EGATの書簡は、昨年、EGATがこのタイの住民グループに対し、この事業の電力購入合意はまだ締結に至っていないと文書で確証したものを追認するものであった。

「PDPの見直しは、パクベンダムのような近隣諸国での環境破壊的なエネルギー事業へのタイの投資について真剣に考え直す機会だ」とIRのタイ・キャンペーン・ディレクターであるPianporn Deetes氏は述べた。

「EGATのウェブサイトを見ると、タイの電力供給予備力が巨大であることがわかるだろう。専門家によると、タイは少なくとも10年は新たな発電所を必要としない。今必要なものは、インフラではなくソフトウェアだ。つまり、エネルギー部門のガバナンスを、透明性があり説明責任を果たす様式に変えられるものだ。」

「さらに、代替案。再生可能エネルギーや省エネ対策を含む代替案は選択肢としてあり、それらは環境や地域住民に対して低リスクである。電力計画を立てる過程においてきちんと考慮されなければならない。」

パクベンダムはメコン河下流諸国の市民社会団体や住民から、メコン河における、漁業、堆積物の移動や水の流れの規則に対する影響への懸念から、かなりの反対の声が上がっていた。タイのメコン河流域で暮らす地域住民は、この事業の貯水池による流れの滞留や逆流を含む、国境を超えた影響への深刻な懸念を表明している。

パクベンダムはまた、2017年6月にタイの住民がタイの行政裁判所に訴訟を起こし、現在係争中のケースでもある。

訴訟では、1995年にメコン河委員会で合意された「通知、事前の協議および同意の手順(PNPCA)」に基づいて、タイの事前協議プロセスが妥当であったかどうかについて異議を申し立てている。さらに、訴訟ではタイ国内メコン河委員会や天然資源・環境省の水資源局を含むタイの政府機関が、情報提供、国内のコミュニティとの協議、さらに地域のPNPCAを通じて地域住民の懸念を伝えるなどの責任を果たしていないと強く主張している。この訴訟は、当初、下級裁判所で棄却されていた。2017年11月、最高行政裁判所が控訴を受理した。

「国境を越えた環境保全を可能にし、地域の生計手段を守る、そういった地域の法律が確実に実施されることが重要だ」と、タイ北部のチェンコンを愛する会の一員で、この行政訴訟の原告の一人であるNiwat Roykaew氏は語った。

(注1)International Rivers. 2017. A Dangerous Trajectory for the Mekong River: UPDATE ON THE STATUS OF MEKONG MAINSTREAM DAMS.
https://www.internationalrivers.org/sites/default/files/attached-files/mekong_mainstream_damsupdate_2017_english.pdf

(注2)International Rivers. Press Release | Thailand Delays Decision on Power Purchase from Pak Beng Dam (Tuesday, March 13, 2018)
https://www.internationalrivers.org/resources/press-release-thailand-delays-decision-on-power-purchase-from-pak-beng-dam-16784

(文責・翻訳:メコン・ウォッチ、翻訳協力:メコン・ウォッチ インターン)

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