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ミャンマー・ダウェイ経済特区>事業再開計画を考え直して、現地市民グループが声明

メコン河開発メールニュース2018年3月7日

ミャンマー(ビルマ)南部タニンダーリ管区の区都ダウェイ近郊に、超巨大工業地帯(約2万ヘクタール。霞ヶ浦とほぼ同じサイズ)を造成し、貯水池や発電所に加え、隣接する深海港やタイ国境までの道路整備などを行うとする「ダウェイ経済特別区(SEZ)開発事業」。事業は2008年の基本合意後、タイ建設大手のイタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)社を中心に、主に2010年から2013年にかけて初期工事が実施されていました。その実施過程は、強制移転や生計手段の喪失、トラなど絶滅危惧種の生息する森林や、貴重なマングローブ林の破壊など、深刻な人権侵害や環境破壊を伴うもので、影響は今日まで至っています。

ダウェイ経済特別区開発事業の経緯および問題に関する報告書等はこちら
http://www.mekongwatch.org/report/burma/dawei.html

事業は2013年にITDが資金調達難に直面したことからスローダウンし、2016年に新政権が発足してからも再検討が続いていたようでしたが、報道によると再開する計画が持ち上がっています【1】。これに対し、ミャンマーの市民社会が、再開計画を考え直すよう、日本政府を含めた全実施主体に向けて声明を発出しました。

声明は、既存の問題が解決されていないこと、事業地全体の環境アセスメントが実施されていないこと(ミャンマー法違反)、適切な情報が提供されていないこと、コミュニティーの意味ある参加が欠如していること、を指摘しています。加えて、SEZありきでこの地域の発展を考えるのではなく、この地域の既存の生活や生計手段、自然環境を活かした代替的な発展戦略や政策の推進を求め、一部の人の利益追求のためではなく、ダウェイ社会全体、ミャンマー全体のためにどうするのかという視点から、事業再開を慎重に考え直すよう求めています。

以下、現地市民グループ36団体が2月20日付で発出した声明「政府によるダウェイ経済特別区(SEZ)開発事業の再開計画に関する声明」を和訳でご紹介します。

現地市民グループ36団体から、日本政府を含めた全実施主体に向けた声明


政府によるダウェイ経済特別区(SEZ)開発事業の再開計画に関する声明

ミャンマー国タニンダーリ管区ダウェイ
2018年2月20日

私たちは、ミャンマー政府がダウェイSEZ開発事業を再開する計画について、深く懸念しています。ダウェイの地域社会(ダウェイの町や隣接する地域のみならず、海から高原の地域に至るまで、また、現在ダウェイに住む家族や友人たちから、海外で働くダウェイ出身の労働者に至るまで)は、SEZ開発事業によって、長年にわたって著しい影響を受けることになります。ダウェイの地域社会の土地や生計手段、共有する歴史や伝統、生態系や文化、そして共通の未来を築く地域の力、これらすべてが脅かされているのです。

私たちは、ダウェイSEZ開発事業の全実施主体に対して、再開計画を早急に再考することを求めます。私たちは、ミャンマー、タイ、日本の各国政府、および現在タイで環境不祥事の渦中にあるイタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)社などの事業請負業者に対して、以下を要求します。

1)これまでに起きた問題すべてが完全に解決されない限り、事業を再開しないこと。

ダウェイSEZ開発事業地域では、水田が破壊され、また広大な土地が、法的手続きなく押収されています。河川、小川、漁場は堰き止められたり、汚染されたりしています。村人の中には生計が破壊され、深刻な生活難に直面している人々もいます。これらの被害は、これまでの事業実施で起きたものです。村人が満足できる形で問題が完全に解決されない限り、事業を再開してはなりません。

2)ミャンマーの法律に定められているとおり、事業地域全体の環境アセスメント(EIA)を実施すること。

SEZ開発事業の初期段階では、10の事業に対してEIAが実施されています。しかし、事業地域全体のEIAは、ミャンマーの法律で定められているにもかかわらず、実施されていません。事業地域全体のEIAが実施される必要があります。そしてそのEIAでは、過去のEIAの実施方法についての地域住民の長年にわたる懸念が、適切に対応される必要があります。地域住民との有意義な協議が行われず、地域住民が事業について意見を述べる機会はほとんど、あるいはまったく確保されていなかったことなどです。事業地域全体を対象としたEIAが実施され承認されない限り、事業を再開してはなりません。

3)事業実施のすべての側面に関して、正確な情報をアクセスが容易な形で、適時に提供すること。

事業開始当初から、事業実施主体らは、村人の生活や生計にとって最も重要な基礎的情報を提供してきませんでした。事業実施主体らは、移転、補償、雇用機会、環境への影響に関して、正確な情報を適時に提供する必要があります。 また、ジェンダー、収入、年齢、生計手段(職業)にかかわらず、すべての人々が容易にアクセスできる形で提供しなければなりません。政府による誇張された雇用見積りなどといった誤解を招く情報は、村人に偽りの期待を抱かせ、同意形成を操作することになります。事業の実施主体らが、正確な情報をアクセスが容易な方法で適時に提供することに誠実に取り組まない限りは、事業を再開してはなりません。

4)事業に係るすべての意思決定において、地域住民の有意義な参加を確保すること。

地域社会は、補償、移転、調査プロセスなどの特定の要素だけでなく、事業自体に同意または反対する機会を得る必要があります。事業実施主体は、補償と賃金労働の提供が地元の人々にとって最善で当たり前の解決策であるという前提に立っていますが、そのような事業のシナリオを変える必要があるということです。そのような狭いアプローチではなく、地元の人々は、事業実施主体が与える限られた選択肢を超えて、自分たちの将来についての選択肢を立案し、選ぶことが可能でならなければなりません。事業実施主体が、事業に係るあらゆる意思決定において、このような有意義な地元住民の参加を確保することに誠実に取り組まない限り、事業を再開してはなりません。

5)持続可能な農業、漁業、地域住民が主体となった観光業など、事業の代替となる発展戦略を、遅滞なく進めること。

ミャンマー政府は、環境負荷が高い産業を基盤としたトップダウン型の事業の代わりに、ダウェイ社会の既存の生活と生計手段に基づいた発展戦略を早急に推進する必要があります。政府は、小農、漁業、畜産、慣習的な森林利用のような、小規模で労働集約的な慣行を保護し、発展させる政策を促進しなければなりません。これらの慣行はダウェイの大多数の人々のために生計手段を与え、(依拠できる)環境を維持します。さらに、地域の人々の社会的結束を強め、近代産業と市場資本主義こそがいずれの社会もが行き着く自然な終着点であるという前提に、疑問を投げかけるような生活様式を下支えします。このため、ダウェイの市民社会組織らは、持続可能な農業、漁業、地域住民が主体となった観光業などといった代替的な発展戦略と政策を推進しています。私たちは、政府がこれらの代替戦略を、直ちに誠実に進めることを求めます。

最後に、ダウェイ社会のために、SEZ開発事業の再開によって誰が利益を得るのかについて、正直かつ開かれた考察が行われるべきです。誰が利益を得て、誰が損失を被ることになるのでしょうか。環境負荷が高い産業や資源の搾取による真の受益者は、一部の政治的、経済的、軍事的なエリートのみで、私たちは、これについて深刻な不安を持っています。この理由と上記すべての理由から、私たちは事業実施主体らに対し、ダウェイSEZ開発事業の再開計画を慎重に再考することを求めます。ダウェイ社会のみならず、ミャンマー全体のために、ダウェイSEZ開発事業を再開するのではなく、私たち全員が、事業に代わる未来を築いていくべきです。

連絡先:
Dawei Development Association
Tavoyan Women’s Union
EarthRights International

署名:
上記3団体を含む36団体

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【1】Myanmar Times記事
https://www.mmtimes.com/news/dawei-sezs-grave-human-rights-violations-forced-evictions-and-flawed-eias-come-under-fire.html

(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)

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