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ラオス「持続的な開発のモデル」を検証する(5)

ナムトゥン2ダム:財務省定期協議、特別セッションを振り返る

メコン河開発メールニュース2017年12月1日


2005年4月4日、ナムトゥン2ダム(NT2)への財政支援を投票で決するアジア開発銀行(ADB)の理事会で、米国代表理事(ED)は、NT2の環境・社会上のリスクおよびラオスのマクロ経済環境への不安などを根拠に棄権票を投じました。

出典:US Department of Treasury. Report on Multilateral Development Bank Projects that Support Extractive Industries Conditionality. June 6, 2005.
https://www.treasury.gov/press-center/press-releases/Pages/js4356.aspx

一方、日本代表理事は賛成に回りました。ADB理事会に先立つ3月31日、世銀理事会においても最大の投票権を持つ米国代表理事は棄権していますが、第二の投票権を持つ日本代表理事は賛成票を投じています。

出典:WB. Voting Powers. http://www.worldbank.org/en/about/leadership/votingpowers

両理事会における日本理事の賛成票がNT2の建設を実現したと言っても過言ではありません。では、日本政府はどのように考えてNT2を推進したのでしょうか。

日本のNGOと財務省は、日本の援助政策を議論するため1997年より定期的に会合を開いています。2005年4月12日には、この財務省-NGO定期協議の特別セッションが開催されました。これは、メコン・ウォッチから財務省に対して、世銀・ADBがラオスのNT2の支援を決定したことを受けて、世界銀行の理事会で日本政府はどのような立場を表明し、どのような条件を提示したのか等の公表を依頼し、それを受けて初の臨時会合が開催されたものです。

この会合のなかで、当時の財務省国際局の参事官は、世銀がこれまで長期に渡る準備を重ねており、ダムからの収入が貧困削減に回されること、適切な環境社会配慮を行うことを世界銀行の事務局が確約したことで、日本政府が同事業への支援を決定したと説明しています。また、NT2はラオスにとって大きなチャレンジであり、それを支援するのが国際機関のミッションだと述べています。

この会合の記録はこちらです。

ラオス・ナムトゥン2ダムへの世界銀行及びアジア開発銀行の支援決定について
http://www.jacses.org/sdap/mof/gijiroku/mof28_special.pdf

この会合に参加したメコン・ウォッチのスタッフは、「ここで忘れてはならないのは、そのチャレンジが失敗した時のリスクは世銀でもADBでも日本政府でもなく、ラオスの人々が負っているということだ。そして、今現在、世銀の職員や財務省の担当者がこのプロジェクトに「ミッション」を抱いていたとしても、彼らは数年後にはNT2から離れたポジションに移ってしまう。その時に、NT2への支援を決めた世銀・ADBやその決定を支持した日本政府が、同じ「ミッション」を持ち続けながら国際機関として、ドナー国としての責任を果たし続けられるのかは疑問である」と記録しています。

それから12年後、影響住民の生計回復、ラオスの貧困削減、ラオス政府の環境管理能力の向上のいずれについても、当初の目標達成にはほど遠い状況であるのことが明らかになり、当時の懸念が現実のものになったと言わざるを得ない状況が生じています。

これについて、2017年4月にメコン・ウォッチでは2017年5月4-7日に横浜で開催された第50回ADB年次総会に合わせ、インフォメーション・キット『「貧困削減と持続可能な開発のモデル」を問う-ラオス・ナムトゥン2ダムへのアジア開発銀行と日本の関与』を作成しました。キットではこれまで議論してきたNT2の問題点に加え、最近のラオスの市民社会の状況をまとめています。また、日本政府、財務省に対する提言を掲載しています。

キットはこちらからダウンロード可能です。
http://www.mekongwatch.org/resource/publication.html#ADB-NT2

「持続的な開発のモデル」の行方について、みなさまにも関心を持ち続けていただければ幸いです。

(文責/メコン・ウォッチ)

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