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ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ベトナム・原発輸出の準備だった?バックアイ揚水発電所は中止すべき <第2回>バックアイ揚水発電はベトナムに必要か?

ベトナム・原発輸出の準備だった?バックアイ揚水発電所は中止すべき

<第2回>バックアイ揚水発電はベトナムに必要か?

メコン河開発メールニュース2016年12月1日

前回のメールニュース(11月30日配信)で、ベトナムでの原発建設が白紙撤回されたことと、バックアイ揚水発電所が原発の関連事業ではないかとの懸念をお伝えしました。今回はその理由についてお伝えします。

電力需要は、1日のうちに使用量が大きい時間と少ない時間があり、電力の安定供給には需給のバランスをとることが不可欠です。ベトナム発電公社(EVN)がJICAに伝えたところによれば、ベトナムでは日中と夕方に使用量の大きいピークがあり、現在、北部の水力発電所で電力の出力調整を行っています。しかし、大規模水力発電所の適地が国内になくなってきていること、これから南部で石炭火力発電所が増え出力を一定にしないと発電効率が下がるので他のシステムで発電量を調整することが求められている、そこで揚水発電所が必要だ、というのがJICAの主張です。

揚水発電所は、上下2つ以上の貯水池を持ち、夜間など電力需要の少ない時間に水を下部池から汲み上げ上部池に貯水し、電力ピーク時など必要な時に下部池に流し、タービンを回して発電するものです。揚水にかかる電力を10とすると発電で取り返せる電力量はその約7割しかありません。また、汲み上げた水の量しか発電できないので、稼働時間は限られます。つまり、揚水発電所は「発電所」ではなく、夜間に余る電力を水のエネルギーに変え、その水を放水して昼間のピークに発電する巨大な蓄電施設なのです。

揚水発電所の仕組み(九州電力)

(11月16日閲覧)

数百億円をかけてこのような施設を作る理由を、電力会社は電力需要の負荷平準化で説明しています。しかし、原子力発電所に関心を持ってきた市民の間では、出力調整の難しい原子力発電所の夜間余剰電力を消費するため、二つがセットで開発されてきたと考えられています。そして、バックアイ揚水発電所は、日本とロシアの支援で2か所の原子力発電所が計画されていたニントゥアン省に建設予定です。なぜ、ニントゥアン省なのか。この事業は原発輸出の準備だったのではないのか、と私たちは疑念を持っています。

JICAはこの見解を否定しており、事業では将来増える石炭火力発電所のための整備だと主張しています。

バックアイ揚水発電所 案件概要書

 

JICAがプロジェクト地選定の根拠として挙げている調査は、「ベトナム・ピーク対応型電源最適化計画調査(平成16年)」です。この調査で、南部と北部で2つの優先開発地域が選ばれています。バックアイはその一つです。

ベトナムでは北部と南部の系統の連携が弱く、現状では南北それぞれに電力平準化をする必要があります。北部は、一般水力発電所で発電量を調整し、南部では調整が容易なガス火力発電所の建設が遅れており、揚水発電所が必要であるというのが ベトナム発電公社(EVN)の主張です。しかし、実際には南部の石炭火力発電所の建設も遅れています。また日本貿易振興機構「ベトナム電力調査2015」によると、2014年の段階で出力調整が容易なガス火力発電所8施設は、すべてバックアイ揚水発電事業が計画されている南部にあります。後ほど詳細をご紹介しますが、莫大な債務を抱えるEVNにとっては、南北の系統の融通性の強化や、温暖化物質発生の問題はあるにしても、新しい発電所を作るより既存のガス火力発電所を改良または増設してピーク対応を行った方が財政負担が少ないのではないか、と疑問が生まれます。

一方、北部では石炭火力発電所が増え14施設(2014年時点)あります。現状では大規模水力発電所で出力調整を行っているそうですが、電力平準化や効率的な運転を考えるのであれば、北部の揚水発電所も積極的に進めてもよさそうなものです。しかし、EVNは北部の揚水発電所計画には民間投資を活用し、バックアイ発電所では民間銀行よりも低利で借りることのできる日本の円借款で進めたい意向です。揚水発電所はその蓄電池的な性質から利潤のでる発電所ではなく、民間の電力会社から投資があるとはまず考えられません(10月20日のメコン・ウォッチを含むNGOとの会合によると、JICAもその点は認めています)。

バックアイ揚水発電所が他の電力平準化手法に優先され、かつニントゥアン省に優先的に作られるという理由は説得力がない、と私たちは考えます。一方、立地と社会・環境条件、そして他の電源と比べてコストが安い、というのがEVNとJICAの主張です。しかし会合の中では、このEVNのコスト計算が現実的ではない点が明らかになりました。それについては、次回のメールニュースでお伝えします。

 

(文責:木口由香/メコン・ウォッチ)

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