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ドンサホンダム>ラオス政府、事前協議の終了を宣言

メコン河開発メールニュース2015年4月13日

前回に続き、ドンサホンダム関連のニュースをお伝えします。国際的にも流域各国からも強い懸念が示されている同ダムの計画ですが、ラオス政府は推進の姿勢を崩していません。メコン・ウォッチでは、専門家の協力を得て環境アセスメント関連の文書の中で提案されている魚や漁業への影響緩和策について検討しましたが、事前調査の期間が短く、また定量的なデータが十分には提供されていないこと等が分かり、メコン河員会に対して意見書を提出しています。

2013年ドンサホンダム環境アセスメント報告書へのコメント(原文英語)
http://www.mekongwatch.org/PDF/DonSahongEIA_Comments_by_MW_201412.pdf

以下は、メコン河委員会の「通知、事前の協議および同意の手順(PNPCA)」に則った協議が終了したとする、ラオス政府の見解を伝えるVientiane Timesの報道の翻訳です。

ラオス政府は今後も関係者と協議を続けるとしていますが、一方で南部の発展にこのダムは必要、と主張しています。しかし、4月2日に本メールニュースでお伝えしたように、ラオスの経済・社会発展のために鳴り物入りで建設されたナムトゥン2ダムでも、深刻な失敗が明らかになりつつあります。

ラオス・ナムトゥン2ダム>世銀・ADBの支援決定から十年、課題は山積
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20150402_02.html

また、研究者はドンサホンダムの建設予定地を「生態学的に見て最悪の場所」といいます。事前の調査内容から見ても、ラオス政府の主張するような影響緩和が可能とは思えない状況です。このままでは、甚大な環境・社会影響の発生は避けられないと強く懸念します。

ドンサホンダム事前協議が終了

2015年2月7日
『Vientiane Times』

(ラオス)政府はチャンパサック県のドンサホン水力発電事業の事前協議プロセスを終了したが、セーフガード(注:不測の事態に対する対応策など)の方策については引き続き議論していく、とエネルギー部門の高官は述べた。

「だが、この事業は8年前から評価の高い専門家による研究と検討が進められてきた。近隣諸国と開発パートナーとは、環境面でのセーフガードをどのように向上させるか、建設開始後であっても魚の回遊路は確保されることを協議してきた」。

「一部の人びとは、完了した6ヶ月の事前協議は、1995年のメコン協定【注1】により義務付けられプロセスだが短すぎると言う」エネルギー鉱山省エネルギー政策部のDaovong Phonekeo部長は語った。

260メガワットの流し込み式【注2】であるドンサホンダムの実現可能性調査は、2006年に始まった。ラオス政府は政府間機関であるメコン河委員会に2013年9月に通知したが、この時から近隣諸国との情報共有を開始した。

2014年6月、ラオスは協議のレベルを加盟各国が合意したメコン協定の定める6ヶ月間の正式な事前協議プロセスに上げることに合意した、とDaovong氏は語った。(訳注:当初、ラオス政府はドンサホンダムがメコン河本流の一部しか使用せず、本流ダムのための協議は不要と主張していた)

「事前協議手続きには、終止符をうたなければいけない。これは着工前後に利害関係者が関与する全プロセスの一部でしかないのだから」と彼は付け加えた。

「プロジェクト推進の決定は、今、ラオスの最南端の人びとに大きな経済的機会とより良いライフスタイルをもたらすためになされた」「しかしラオス政府は、持続可能性を改善する方法についてステークホルダーとの対話を継続する」。

Daovong氏は先週の月曜日、チャンパサック県パクセー郡で米国国務省によって開催された、メコン河下流域フレンズ(FLM)特別会合の中の、セーフガードを通じたメコン河の持続性の改善についてのパネルでこう語った。

エネルギー鉱山省副大臣Viraphonh Viravong氏は、経済統合と環境の持続可能性に関する座談会において、タイやその他の国へのエネルギー輸出は、ラオスの人びとの生活改善のための水力資源の開発を可能にした、と述べた。

米国ミシシッピ河川に関する委員会Stephen Gambrell最高経営責任者(CEO)は、同河川委員会は利害関係者との会合を半年ごと150年の間持っていると述べた。

Viraphonh氏はラオス政府がこの先何年も、ドンサホン事業のステークホルダーと持続可能性への対話を継続することができると述べた。

「建設の開始は、協議の終わりを意味するものではない。ミシシッピ川のように常に協議があるだろう」と彼は言った。

世界銀行グループの国際金融公社(IFC)Kate Lazarusシニアオペレーションオフィサーは、IFCはラオス政府と協力し、同国と民間の開発者とのコンセッション契約【注3】における環境·社会的セーフガード基準を構築してきた、と会合で語った。

パクセーでの会議に出席する前、Viraphonh氏とラオスのジャーナリストはヴンカーム村近くに建設中のドンサダムと本土の国道13号線をつなぐ橋の工事現場を訪問した。将来的には、ダム建設地のサダム島は、地域住民や観光客のための道路で(隣接する)サホン島とも橋でつながる予定だ【注4】。

「現地の人びとは、ドンサホン事業が前進した際行われるとした約束が届けられることを望んでいる」とViraphonh氏は言った。「彼らは過去に住みたくないのだ」。

【注1】メコン河流域の持続可能な開発のための協力協定。1995年に結成されたメコン河委員会の設立の基盤になっている。
【注2】流し込み式ダムは、河川を流れる水の力をそのまま利用するという方法とされるが、実際にはダムを作り貯水をし、その水を用いて発電する。貯水池はほかのダム方式に比べ小さい。
【注3】コンセッション契約:事業者が免許や契約により独占的な営業権を与えられ行われる事業の方式。
【注4】ドンサホンダムはメコン河本流が分岐する、サダム島とサホン島の間を流れる分流フーサホンに建設される。

(翻訳・文責 木口由香/メコン・ウォッチ)


記事の原文はこちら:
http://www.vientianetimes.org.la/sub-new/Previous_032s/FreeContent/FreeConten_Don_sahong.htm

 

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