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ビルマ・ティラワ経済特区>「移転問題への対処を」住民、日本に再度訴え

メコン河開発メールニュース2014年4月9日

日本が官民を挙げて進めている「ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業」の先行開発区域(フェーズ1)では、68世帯(約300人)が移転を強いられましたが、現在、代替の生計手段がなく、以前より苦しい生活を余儀なくされている住民が出ています。4月7日、現地住民グループがこうした移転・補償問題への適切な対処を再び日本に求めました。

ビルマの最大都市ラングーン(ヤンゴン)近郊で約2,400ヘクタール(東京ドーム513個分)をSEZとする同事業のフェーズ1(400ヘクタール分)は、三菱商事・住友商事・丸紅など日本企業の関わる共同企業体が、2013年11月に土地造成作業を開始。国際協力機構(JICA)は現在、政府開発援助(ODA)の民間向け「海外投融資」制度で、私たちの税金を使って同事業へ出資しようと検討中です。

JICA環境社会配慮ガイドラインによれば、JICAは120日間、環境影響評価(EIA)をウェブサイトで公開後、出資を決定できるとあり、ティラワSEZフェーズ1の場合、JICAは早くて4月10日頃に出資契約を締結できることになっています。

現地住民グループは、これまでにもJICAにレターを提出し、生活水準の回復など適切な対処を訴えてきました。しかし、JICAは移転の一義的な責任は現地政府にあるとし、レターへの回答をしてきませんでした。今回のレターで住民グループは、「JICAはティラワSEZへの出資を決定する前に、住民の意見に耳を傾けるべき」とし、4月23〜25日の間の会合を申し入れています。JICAは現地住民の訴えを真摯に受け取るべきです。

以下、4月7日付で現地住民グループが発出したプレス・リリース、および、JICAへのレターを日本語訳でご紹介します。

ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業地域の住民グループ(ティラワ社会開発グループ)によるプレスリリース
(2014年4月7日付)(原文はビルマ語。同英訳を和訳)

プレス・リリース
ティラワ社会開発グループ

2014年4月7日

「ティラワ経済特別区における移転問題への対処を」
ティラワ住民、日本に再度訴え

ミャンマー・ヤンゴン発――ヤンゴン近郊のティラワ経済特別区(SEZ)の住民グループ代表らは、本日、国際協力機構(JICA)が資金提供しようとしているSEZ事業について、同事業に伴い起きている深刻な人権侵害に対処するよう、5度目の訴えをしました。

「ミャンマー政府は、同事業が世界銀行、および、国際的な水準に則って実施されると私たちに言いました。しかし、そうはなっていません。」今日、会合を要請するレターをJICAに届けたティラワ社会開発グループのリーダーU Mya Hlaingはこう述べました。「私たちは、2013年10月15日にJICAと会合を持ち、私たちの懸念を伝え、要求を示しました。それ以降、私たちはフォローアップのレターを三度送りましたが、JICAからは一切返答はありません。私たちのコミュニティーは、同事業により苦しみ続けており、今後も苦難は続くでしょう。ですから、私たちはJICAと再度会合を持とうとしているのです。」

JICAがティラワ事業に出資する場合、ミャンマー政府はJICA環境社会配慮ガイドラインを遵守する義務があります。これまでミャンマー政府は、そのJICAガイドラインの要件を遵守していません。例えば、ミャンマー政府は、農民が長年農業をしながら暮らし、税金を納めてきた土地に対する十分な補償、あるいは、代替地を提供できていません。また、ミャンマー政府側の直接的な脅しにより、補償合意書への署名を強要された住民もいるほか、事業に関する情報が適切な方法で公開されていない、つまり、住民移転計画や環境影響評価の策定にコミュニティーが意味ある参加をできていない状況があります。

昨年、ティラワSEZ事業フェーズ1区域の400ヘクタールでは、脅されて強制的に移転合意書への署名をさせられた住民がいました。68家族は、2週間で移転するよう言われましたが、そのとき、移転地はまだ泥まみれで、半分浸水した奥地のままでした。国際的なプレッシャーがあり、移転日は延期されたものの、移転地は依然として、(代替)農地や生計手段、また、教育・保健医療・清潔な飲料水へのアクセスの面で、不十分なままです。

「移転地での生活は5ヶ月経ちましたが、私たちの生活は苦しくなる一方です。補償金はすでに使い切り、何とか生活していくために借金をしなくてはなりません。ティラワSEZマネージメント委員会は、より多くの雇用が生まれるので、私たちの移転地での生活はよくなると約束しました。しかし、ここでは日雇いの仕事を見つけるのさえ、以前暮らしていた場所よりも困難です。以前は自分たちで植えていた野菜や木々を食料や薪に使っていましたが、移転地では、そうしたものを植える場所もありません。」ミャインターヤーの移転地に暮らすDaw Myint Myint Theinはこう述べました。

ティラワSEZ事業フェーズ2では、残りの2,000ヘクタールの開発で、さらに約1,070家族(約4,500人)が移転させられる予定です。同地域の住民は、フェーズ1地域の住民と同様、不備のある移転手続き、また、生計手段や福祉への悪影響に直面するのではないかと懸念しています。さらに、ベイパウク地区の漁民コミュニティーは、国際港の建設事業計画(訳者注:JICAがすでに円借款供与を決定した「ティラワ地区インフラ開発計画フェーズ1」の一部)によって、彼らの漁業活動が妨げられ、深刻な収入の減少が起こるのではないかと懸念しています。どちらのコミュニティーも、各々の事業について、十分な協議を受けていません。

(以下、連絡先)

ティラワSEZ開発事業地域の住民グループ(ティラワ社会開発グループ)から国際協力機構(JICA)へのレター
(2014年4月7日付)(原文はビルマ語。同英訳を和訳)

国際協力機構
理事長 田中 明彦 様

2014年4月7日

ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業(クラスA区域)、
および、ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)に関する
JICA事業担当部署との緊急会合について

拝啓

1. 私たちは、ティラワ住民を代表して、貴事務所に以下のレターを送付してきました。
(a) 2013年10月15日の会合中にJICAに提出した住民の要求に関する参考資料
(b) ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業に関する住民の懸念についてのレター、および、付属文書(2013年10月29日付)
(c) ティラワSEZに関する住民の継続的な懸念についてのレター(2014年1月27日付)
(d) ティラワSEZに関する住民の継続的な懸念についてのレター(2014年2月5日付)

2. 2013年10月15日にJICAと会合を持って以降、私たちはJICAから一切回答を受け取っていません。JICAは、ティラワSEZマネージメント委員会、および、ヤンゴン管区政府が移転地の住民の生計手段や職業訓練に対処していると言い、私たちとの会合を拒否しています。

3. これまで、以下のとおり、JICA環境社会配慮ガイドラインに違反する深刻な問題が起きています。
(a) 影響を受けた住民のなかには、ミャインターヤーにある移転地に移った後、持続可能な生活のための適切かつ効果的な計画がないため、すでに生活の糧がなくなり、あるいは、収入が減り、苦しんでいる世帯が出ています。
(b) 移転は住民の生活水準を悪化させました。例えば、暑季には耐え難いくらい、家屋が密集して建てられています。また、水質も飲料用には適していません。
(c) 2012年12月以降、政府当局が灌漑用水の配給を止めてしまったため、タンリン郡の農家のなかには、乾季の収入が減ってしまった農民らもいます。

4. ベイパウク地域の漁民らは、25、および、26区画に予定されている国際港の建設(訳者注:ティラワ地区インフラ開発計画)によって、さまざまな面で漁業活動が妨げられ、収入が減少するのではないかと懸念しています。

5. 私たちは上記の問題について、貴機構と話し合いを持ちたいと思っています。したがって、4月23〜25日のいずれかの日取りで貴機構との会合を調整していただければ幸いです。2014年4月11日までにご返答いただけますよう、よろしくお願い致します。

私たちは、JICAがティラワSEZ開発事業への出資を決定する前に、私たちの意見に耳を傾けるべきだと考えています。ご回答いただけますよう、よろしくお願い致します。

敬具

ティラワ社会開発グループ(住民リーダーらの署名)

Cc:
外務大臣 岸田 文雄 様
JICA異議申立審査役 各位
JICA環境社会配慮助言委員会 各位

 

※同事業の詳細はこちら
http://www.mekongwatch.org/report/burma/thilawa.html

(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)

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