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ビルマ・ティラワ経済特区>住民がビルマ政府当局に「言動一致」を求めるレターを提出

メコン河開発メールニュース2013年9月2日

日本が官民を挙げて進めているビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業では、今年1月末、その開発地域2,400ヘクタールで暮らす約900世帯(約3,800人超)の住民に「14日以内の立ち退き通知」が出されるなど、大規模な住民移転が問題となってきました。

これまで、住民グループやNGOが適切な移転・補償対策を日緬政府に求めた結果、住民移転は当面延期。現在は、年内の着工が見込まれる同SEZ早期開発区域(約400ヘクタール)についてのみ、ビルマ政府当局による移転計画の策定手続きが進められています。

しかし、6月11日に続き開催された7月30日の住民協議では、同400ha 向けの移転・補償計画案について、簡単な説明が行なわれるにとどまり、依然として具体的な移転地候補や補償方法の案(金額等)は提示されませんでした。より具体的な移転・補償対策の案が当局により提示される予定ではあるものの、その時期も明確ではなく、「いつ移転をしなくてはならないのか」「補償がちゃんともらえるのか」――住民の不安は解消されていないのが現状です。

こうした曖昧な状況への不安から、住民グループは8月6日、再度、ビルマ政府当局に対するレターを提出。これまでにも、「移転・補償対策の策定プロセスにおける透明性と住民参加」や「国際水準に則った補償」に関し、包括的な合意文書の締結をビルマ政府当局に求めてきましたが、今回のレターでは、「30日以内に合意文書を締結するか否か」回答をするよう求めています。ビルマ政府当局がいくら口頭で説明をしても、住民の目には「口約束」にしか映っておらず、住民側はビルマ政府当局の「言動不一致」を厳しい目で見ています。

このように住民移転に関する課題が依然として山積するなか、8月末、国際協力機構(JICA)は、同400 ha の開発主体となる民間の共同事業体に対し、海外投融資制度による出資を行なうか否かについての審査を開始しました。すでに民間企業からの出資要請を受け、『環境社会配慮ガイドライン』に基づき、同事業を「カテゴリA(環境や社会への重大で望ましくない影響のある事業)」に分類したことを公表しています。今後、日本の民間企業連合(住友商事、丸紅、三菱商事)から同400 haに関する環境影響評価報告書等がJICAに提出され、『同ガイドライン』に基づく環境審査が進められることになります。

同400 ha 向けの移転・補償計画(約80世帯対象)は、残り2,000haの移転・補償計画(計約800世帯対象)の内容を大きく左右することが予想されるため、多くの現地住民が現在進められている移転・補償策定プロセスを注視しています。

近日中に、具体的な移転・補償対策案の提示が見込まれていますが、住民の生計手段の長期的な改善・回復を見据えた対策になっているか、また、対策の策定にあたって、ビルマ政府当局が住民への真摯な対応・協議を行なっているかなど、JICAは継続して注意を払うとともに、慎重な審査を行なうことが求められています。

(参照WEBサイト)
http://www.jica.go.jp/english/our_work/social_environmental/id/asia/southeast/category_a_b_fi.html
http://www.jica.go.jp/english/our_work/social_environmental/id/asia/southeast/myanmar_a02.html
注:早期開発区域以外の区域(2,000ヘクタール)については、現在、JICAがコンサルタントの業務契約に関する公示を出しており、環境影響評価や住民移転計画の策定支援を含む準備調査が9月半ばに開始される見込み。

以下、住民グループの提言(原文ビルマ語)を日本語訳でご紹介します。

ティラワSEZ開発事業に伴い、立ち退きを迫られている住民によるティラワSEZマネージメント委員会 委員長宛ての公開レター
(2013年8月6日付)(原文はビルマ語。同英訳を和訳)

ティラワ経済特別区(SEZ)マネージメント委員会
セッアウン委員長 殿

2013年8月6日

1.セッアウン氏は私たち農民の意見に耳を傾けてくれる方です。交渉役として、両者間がWin-Winとなるような解決法に辿り着くことは容易ではないかもしれないと私たちは理解しています。一方、セッアウン氏は先日、中央銀行の副総裁としての職に就かれ、今後、ティラワ経済特別区(SEZ)マネージメント委員会の委員長の任を続けるのか、私たちには明らかにされていません。よって、私たちはセッアウン氏と地元住民との間での(紳士)協定の記録とすべく、本公開レターを提出します。

2.まず初めに私たちが述べたい点は、セッアウン氏が影響を受けるコミュニティー(農家、および、非農家を含む)と覚書(MoU)を結ぶと口頭で約束したことについてです。この約束が実現すれば(当事業に関わる)初の覚書となり、両者が従い、実施していくMOUとなります。

3.このMOUを結ぶという合意によって、私たちの不安は和らぎ、コミュニティーと事業実施者間の信頼が築かれてきました。私たちは、事業の成功のためマネージメント委員会に協力をしたいと考えています。

4.本レターのパラ2、および、パラ3に基づき、「事業を首尾よく実施できるよう、立ち退かされる農民の社会経済状況の解決に向けた提言」を2013年2月26日に提出致しました。

5.移転計画と、経済特区(SEZ)法第36条に関して伝えるため、「立ち退かされる貧しいティラワ地区の地元住民の現状」というレターを2013年3月7日に提出致しました。

6.3回目のレターとして、本レターのパラ2に述べた覚書のため、9つの要求事項に関する宣言書が2013年6月11日にティラワ地域の農民によって提出されました。

7.最後に4回目のレターとして「セッアウン氏に対する特別提言」を2013年7月5日に提出致しました。同レターでは、2013年9月までに両者間の覚書がまとめられることが要求されています。

8.度重なるレターの提出にも関わらず、口頭での約束しかないのが現状であり、正式な合意や記録などはありません。

9.本レターのパラ1を踏まえ、今までの口頭での約束を正式なものとするか否かを判断する時期であると私たちは考えています。さらに言えば、もし(セッアウン氏が)マネージメント委員会の委員長の任を退く場合でも、書面上の覚書をもって、私たちは議論を進めることができると考えています。

この公開レターと添付したその他のレターは公開を前提としています。

本レターのパラ9を踏まえ、私たちは、覚書に署名するか、そうでなければ、口頭での約束を反故にするかに関し、セッアウン氏が30日以内に返答するよう要求します。

(注:同レターの写しは、在ヤンゴン日本大使館、および、 国際協力機構(JICA)ヤンゴン事務所にも提出済み)

※同事業の詳細はこちら
http://www.mekongwatch.org/report/burma/thilawa.html

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

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