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カンボジア・セサン下流2>メコン河委員会のドナーが設計変更を勧告

メコン河開発メールニュース2013年7月11日

メコン・ウォッチでは、カンボジア北東部で建設が本格化するセサン下流2ダムを注視しています。このダムは、セサン川とスレポック川がメコン河の本流に合流する手前に位置することから、「支流のダム」と見なされています。しかし、魚類の回遊を妨げるため、カンボジアだけでなく、ラオス、タイ、ベトナムのメコン河下流域全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。詳細は、以下をご覧下さい。
http://www.mekongwatch.org/report/cambodia/LowerSesan2.html

メコン河開発の調停役を担うメコン河委員会(MRC)は、本流開発については、加盟国に告知や協議を義務付けています。この協議手続きの問題点は、ラオスのサイヤブリダム建設が既成事実化することでもはっきりしてきていますが、支流ダムにいたっては、協議手続きさえ適用されないのが原則です。

ところが、6月末に開催した非公式会合後の共同声明で、MRCの開発パートナー(MRCの活動に資金を提供するドナー国政府など。日本政府・外務省も加わっている)は、「セサン下流2ダムが、現在の設計のままで、流域全体に及ぼしかねない(魚類の回遊、沈殿物の流れ、現地住民の移転といった)損失を鑑みて…カンボジア王国政府に対して、計画の設計に対する再考を勧告する」としました。

これは従来からすれば、踏み込んだ一歩です。ただ、重要なのは、MRC事務局と加盟国への働きかけを継続し、この勧告を実現することです。私たちは、開発パートナーとしてだけでなく、日メコン首脳会談や二国間経済協力を通して、MRC加盟各国政府と強い関係を持つ日本政府の働きかけを期待・注目しています。

セサン下流2ダムに対して、援助国が設計変更を要請【1】

2013年7月4日
Dene-Hern Chen、Khuon Narim記者『カンボジアン・デイリー紙』

アメリカ合衆国(US)、オーストラリア、欧州連合(EU)、世界銀行をはじめとする援助国・機関は、カンボジア政府に対して、同国のストゥントレン州に計画中で、環境団体が魚類への悪影響を指摘する大規模ダム計画の設計を変更し、メコン河委員会(MRC)に提出の上、協議するよう求めた。

これらの援助国・機関は、6月28日付で、水曜日(7月3日)に発表された共同声明の中で、メコン河の二つの支流に位置するセサン下流2ダム(400メガワット)が、魚類に対して広範な被害をもたらし、タイ、ベトナム、ラオスに住む何千もの村人に影響を及ぼすと述べている。【2】

「セサン下流2ダムが、現在の設計のままで、流域全体に及ぼしかねない(魚類の回遊、沈殿物の流れ、現地住民の移転といった)損失を鑑みて、開発パートナーは、カンボジア王国政府に対して、計画の設計に対する再考を勧告する」と声明は述べている。【3】

セサン川とスレポック川の合流地点に位置する問題のダム計画は、広範な社会・環境影響のために、科学者やNGOから批判を受けてきた。各方面からの批判によると、メコン河流域全体で魚類が9%減少し、5,000人の村人が立退きを余儀なくされ、ダムの上下流に住む10万人以上もの人びとに影響が及ぶ可能性がある。

こうした懸念から、援助国・機関は、カンボジア政府に対して、ダム計画を地域協議の手続きに「自主的に諮り」、MRC加盟国が悪影響を防ぐ手段を協議できるようにすることを求めている。「開発パートナーには、ダム計画の効果と持続性を高めるカンボジア王国政府による努力を支援する準備がある」と声明は述べている。

また、援助国・機関は、ラオス政府に対して、サイヤブリダム(1,285メガワット)の設計変更計画、およびカンボジアとの国境から約2キロの地点に位置するドンサホンダムの環境影響評価(EIA)を提出するよう求めた。

ラオス政府は、すでに、サイヤブリダムを持続可能にするために設計に変更を加えたとしているが、変更後の計画を公表していない。

国際NGOインターナショナルリバーズ(IR)のAme Trandem東南アジア・プログラム部長は、セサン下流2ダムをMRCでの協議に諮ることは、「責任上重要な行為である」と語った。「サイヤブリやセサン下流2といったダム計画は、メコン河だけでなく、地域協力へのコミットメントを損なう危険がある」とTrandem氏は述べた。「ラオス政府は、すでに自らの責任を放棄しているが、カンボジア政府が同じような行動を取るにはリスクが大き過ぎるだろう」。

セサン下流2ダムの貯水池(3万6,000ヘクタール)によって水没するスレコー(Srekor)集合村のSiek Mekong村長は、水曜日に発表された援助国・機関の声明を歓迎した。

「セサン下流2ダムは、個人(企業)を利するだけで、地域や国全体の利益にはならない」とMekong氏は語った。「MRCがダム計画の甚大な影響をきびしく検討し、建設中止の結論に至ることを期待する」。

訳注
【1】原文(英語)は、以下で閲覧可能
http://www.cambodiadaily.com/news/international-donors-call-for-redesign-of-sesan-2-hydro-dam-33311/
【2】7月10日現在、共同声明はMRCのウェブサイトに掲載されていないが、メコン・ウォッチが入手した原文も内容は同じで、日本政府も署名している。
【3】共同声明中、セサン下流2ダムに関する勧告の原文(第6段落)は、以下の通り
“Given the potentially detrimental regional effects of the Lower Sesan 2 dam in its current design (including on fish migration, sediment flow and the resettlement of local communities), Development Partners urge the Royal Government of Cambodia to reconsider the project’s design. We also encourage the Royal Government of Cambodia to voluntarily submit the project to Prior Consultation. Development Partners stand ready to support the Royal Government of Cambodia’s efforts to improve the performance and sustainability of this project.”

 

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

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