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 カンボジアダム開発>国境を超えるダム被害のその後(3)

メコン河開発メールニュース2011年10月3日

引き続き、2011年7月に、現地訪問をした際のスレポック川流域のコンノム郡Sコミューン、S第2村の状況です。村の人口は668人、やはり、農業と副業としての漁業、林産物の採取で暮らす村です。牛や水牛も約650頭飼われています。集まってくださった8名の村人は、セサン・スレポック・セコン保全ネットワーク(3SPN)のメンバーでした。この村の生活にも、下流セサン2ダムが大きな影を落としています。

頻発する洪水

洪水はダム建設後から毎年起こります。東南アジア一帯で大規模な被害を出したケッサナー台風が来襲した2009年には、洪水は2回発生、村の全ての水田と果樹園の一部が水没し被害を受けました。洪水の影響が出始めたのは2004年で、異常な洪水に驚いた村人は最初理由が分からず、精霊の怒りに触れたのだと考え、祈祷でなだめようしようとしたといいます。2005年になってNGOの情報でダムが原因だと知りましたが、それまでダム建設について聞いたこともなかったといいます。洪水だけでなく川は渇水にも見舞われます。2010年5月14−18日には川の水が干上がり、魚が大量死したそうです。

この村では一部の人は雨季の間の3〜4ヶ月、洪水の被害をさけるため水田がある高地に移動します。10キロほど離れたそこで、かつては水田脇に小屋を作って寝泊まりしていたそうですが、今そこは恒常的な家を建てています。しかし、高台は乾季に水源がないため、農繁期が終われば村に戻ってくるという二重生活を強いられています。

生活を変えたダム

そこまでしても、一年の消費に十分な米がとれるのは、村の世帯の30%ほどで、残りは米を買う必要があります。ダムの被害を受ける前はほぼ100%自給可能だったそうです。今、村人が不足するコメを買う手段は日雇い労働で、州内の大豆農園で11月、カシューナッツ農園で12月から4月まで働いて糧を得ています。以前は頻繁に行われていた河岸での野菜作りも、ダムの放水による河岸の崩落や不定期な水位の変動でできなくなりました。村では、生活用水に雨季の5〜11月は井戸か雨水、乾季の12〜4月は川の水を利用しています。しかし、以前は乾季に澄んだ水を与えてくれた川は、今は濁っています。水が引いたあと岩が白っぽくなり、原因は分からないながら2006年に目の病気が流行し、2007年から皮膚病が出るようになりました。子どもと女性、年寄りに症状が出やすいといいます。家畜が川の水に入った後、病気で死んでしまうこともあるそうです。

人々の問いかけ

村人はこの状況に甘んじているわけではありません。2000年ごろから、カンボジア政府や流域の開発の調整をする機関であるメコン河委員会に対して声をあげています。今では、村人自身がその被害を記録、政府に伝える活動も行っています。2009年からは毎年、被害を国会に報告しているそうですが、政府から返答はないそうです。また、下流セサン2ダムの環境アセスメントに対する批判的な議論も行っています。

この村でも、下流セサン2ダムの建設に反対する住民が多くいます。今年のカンボジア政府の説明会では、補償地が支給されると説明があったそうですが、村人はそれも半信半疑の様子でした。用地には既に耕作している住民がいるからです。移転などせず、先祖も暮らしたこの土地で、自分も最後を迎えたいと人々は話しています。

前回紹介したF村のヌピットさんは、「(発電するなら)小川に小規模水力を設置してほしい。自分たちで管理できる。400メガワットを発電する下流セサン2ダムは私たちのためではなく、外に電気を売るために作られるのです」と話していました。また、様々な問題を語ってくれたスッさんは、「あなたたちNGOに伝えて、大きな政府(カンボジアやベトナムの政府)に声が届きますか?」と私たちに問いかけました。

ここ数年、日本はベトナムにとって最大の援助国です。電力マスタープランや水資源管理のマスタープランも、日本の援助で行われています。2009年度の円借款は1,456億円(交換公文ベース)に達し、過去最高額となり、震災前は官民を挙げてベトナムへ原子力発電所導入を進めていました。その陰で、ベトナムの電力開発はカンボジアの人々を苦しめているのです。

(文責/木口由香 メコン・ウォッチ)

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