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カンボジアダム開発>国境を超えるダム被害のその後(1) 

メコン河開発メールニュース2011年9月29日

セコン、セサン、スレポックというメコンの支流は、地図で見るとメコンの左岸に扇のようにカンボジア東北部、ラオス南部、ベトナム中部高原に広がっています。3つの河川の流域はその頭文字をとって、3Sと表記されることもあります。
カンボジアのラタナキリ州は、この3つのうちセサンとスレポック川が流れています。森林も多く緑の美しい場所です。13の民族が暮らす州内は、様々な文化や生活様式のあるところです。セサンとスレポックはセコンに合流してからメコンに注ぎますが、合流点はカンボジア、上流はラオスとベトナム、という国際河川となっています。

この流域には、2000年に操業を開始したベトナムのヤリ滝ダムをはじめとし、数多くの水力発電ダムが計画・建設されてきました。ダム建設の影響は国境を超えて広がっています。特に、カンボジアでの影響は深刻です。メコン・ウォッチでは、2008年に「水の声:ダムが脅かす村びとのいのちと暮らし」として、現地の人々の暮らしと国境を越えたダム開発の影響についてまとめました。

冊子では、人々の日々の暮らしに対する考え、望んでいることからダムの影響までを写真を交えてお伝えしています。この地域での個別のダム建設計画は、50−58ページに紹介しています。現地ではその後も状況が改善されず、人々は未だにダムの放水による洪水被害に悩まされています。2011年7月に現地を訪問した際も、その暮らしは困難を極めていました。

今回は、現地の情報を3回にわたってお届けします。初回は、ラタナキリ州の中心バンルンから40kmほどのヴォンサイ郡PコミューンのF村の状況です。

村の抱える問題

この地域で、米は1期作、晩生や早稲を育て洪水や干ばつのリスクを分散する栽培がおこなわれてきました。村人の生業は、水田での稲作を中心とし、畑作、川での漁業、森での林産物採取を営む自給自足に近いものでした。しかし今、村人の多くが米の不作に悩まされています。スッさん(女性・56歳)はヤリ滝ダムができてから、村は顕著な洪水被害を受けるようになったと言います。

「1993年、ベトナム側でヤリ滝ダムの建設が始まり、1996年から影響がひどくなりました。以降、連続で洪水被害を受けています。最初の年は3回洪水があり、すべての水田がダメになりました。今も、1日3回もセサン川の水位が変わることがあります。」

「(放水の影響で)河岸が崩れ川の淵を埋めてしまい、魚の生息場所がなくなりました。また、乾季に水位が自然な状態よりも大きく下がり、淵に集まった魚を村人が一網打尽にしてしまいます。そのため、魚は減っています。」

同じくF村のヌピットさん(55歳、男性)の家をたずねましたが、ラオスやタイでは川沿いの村では必ず見かける漁具が、彼の高床の家の下にはありませんでした。

「川魚が減った理由の1つは、戦争です。爆撃と兵士が爆弾漁をしたため、減ってしまった。でも、それよりもダムの放水が決定的に魚を減らしました。(自分の記憶では)約70種いた魚が5-6種類になってしまった。100種類もあった川の野草もなくなった」と話していました。彼は既に漁をすることを諦めています。

村人は口をそろえて、食糧の安全保障がダムによって脅かされ、そのために持続的でない漁業もおこなわれるようになったといいます。それだけでなく、自然な状態でも水が少なく流れの穏やかな乾季に川の水が干上がり、かつ放水があると川は急流になります。この村の周辺では、延べ29名以上の方が、流されておぼれるなどして亡くなっています。村人は、セサン・スレポック・セコン保全ネットワーク(3SPN)をNGOと共に立ち上げ、政府やメコン河委員会に問題を改善するよう交渉し続けています。しかし、改善はほとんど見られないといいます。

スッさんは「3SPNのネットワークができるまでは全く情報がありませんでした。(ネットワークが設立された後)村人の抗議を受けて、ベトナム政府はプノンペンにある水資源省にダムの放水を連絡することになりました。しかし、仮に連絡あったとしても、意味がないでしょう。国から州、郡、コミューン、村という順に連絡があるため、水のほうが早く村に着くからです」と話しています。

今、この村の抱える問題は、ベトナムのダムの影響にとどまらなくなっています。現在、村が抱える新たな問題を次回のメールニュースで報告します。

(文責/木口由香 メコン・ウォッチ)

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