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 メコン下流本流ダム>サイヤブリダムの行方(その8)〜建設の是非は大臣に

メコン河開発メールニュース2011年4月21日

4月19日、メコン河委員会(MRC)は、ラオス・サイヤブリダム建設計画の是非をめぐって、ラオスの首都ビエンチャンで合同委員会(JC)を開催しました。伝えられるところでは、ラオス政府が協議手続きの完了とダム計画の実施を強硬に主張し、結局、合同委員会は計画の是非について各国の大臣の判断をあおぐことで合意しました。今後の手続きの詳細については不明です(MRCの記者発表は、以下のサイトで閲覧可能)。
http://www.mrcmekong.org/MRC_news/press11/Lower-mekong-coutries-take-prior-consultation19Apr11.html

MRCの記者発表などによりますと、合同委員会の席でカンボジア政府は、サイヤブリダムによる国境を越えた累積的な環境影響や緩和策を精査するために、協議手続きの延長を提案し、一方タイ政府は、国内協議会で参加者が指摘した漁業への打撃をはじめとする懸念点を列挙しつつ、やはり協議手続きの期間延長を提案しています。

メコンデルタの農業・漁業に甚大な影響を被るベトナム政府は、ラオス政府に対して外交的な言い回しを駆使しながらも、サイヤブリダムにとどまらず、11カ所すべての下流本流ダム建設計画を最低10年凍結するよう主張しています(各国の立場を報告したReply Forms from Notified Countriesは以下のサイトで閲覧可能)。
http://www.mrcmekong.org/PNPCA/PNPCA-technical-process.htm#EIA

サイヤブリダム建設計画は、流域国政府間の不協和音に発展しかねません。もしサイヤブリダムが建設されるようなことがあれば、流域の漁業や河岸農業が大打撃を受け、何千万人もの人びとの食糧確保に障害が発生し、流域全体の不安定にもつながりかねません。

以下では、流域国内での不和を回避するためにも、ラオス政府とチョー・カンチャーン社(サイヤブリダム建設計画に関与するタイ企業)がサイヤブリダムの工事を即座に中止すべきだと呼びかける、タイ8県メコン住民ネットワークの声明(原文タイ語)を日本語訳で紹介します。

声明:ラオス政府に対して、サイヤブリダムの建設を止め、メコン河流域4カ国合同委員会の決定に従い、流域諸国間の不和を回避するよう要請します。

仏歴2554年(西暦2011年)4月20日

私たち、タイ8県メコン住民ネットワークは、ラオス政府によってメコン河本流で進んでいるサイヤブリダム建設計画が流域の生態系と下流4カ国に住む6,000万人を超える人びとの暮らしに及ぼす影響を憂慮することから、これまで一貫して、この計画の成り行きを注視し、反対の立場を表明してきました。私たちは、タイ国家メコン委員会(TNMC)が主催したタイでの協議会に参加し、東北タイでは8県の住民による民衆フォーラムを5度にわたって開催してきました。また、私たちは、タイ・ラオス両国の首相、タイ上院議員、東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府間人権委員会に請願書を提出し、サイヤブリダム建設をめぐる判断が十全で、流域の人びとの幸福を視野に入れたものとなるよう、環境影響調査に関わる報告をすべて公開し、幅広い意見が聞け、さらに多彩な人びとが参加できる協議手続きが確立されるまで、サイヤブリダム建設をめぐる判断を延期するよう要求しました。

仏歴2554年(西暦2011年)4月19日、ビエンチャンで、サイヤブリダム建設計画をめぐる決定を下すために4カ国合同委員会(JC)が開催されましたが、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム政府は、同建設計画の扱いに関して合意することができなかったため、さらに上位の大臣レベルで判断を下すべきとの結論に達しました。

他の加盟3カ国政府がダムの影響、技術的な情報、とりわけ国境を越える影響への緩和策に対して懸念を示す一方で、ラオス政府は、手続きは完了したと言い張り、国境を越えた影響は発生せず、追加調査をするには(【訳注】協議手続きで定められた期間である)6カ月以上の時間がかかり、すべての加盟国を満足させることはできないため、協議手続き期間の延長は必要ないとくりかえしています。また、工事がすでに開始されており、地元住民の移転が始まっているとの報道もあります。

つまり、ラオス政府は、メコン河の資源を共用している隣国の意見に耳を傾けるつもりはない、というかたくなな態度を示しているわけです。

私たち、タイ8県メコン住民ネットワークは、ラオス政府とチョー・カンチャーン社に対して、サイヤブリダムの建設工事を即座に停止し、4月19日に開催された4カ国合同委員会の決定に従うことを要請します。

これは、メコン河流域4カ国の間での不和の発生を回避し、メコン河を共有財産とする流域の平和・生活・自然を守るためです。

私たちは、永遠に私たちのものであるメコン河に害をなす動きに反対するため、監視をはじめとする活動を続けていきます。

タイ8県メコン住民ネットワーク

(文責・翻訳 土井利幸/メコン・ウォッチ)

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