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メコン下流本流ダム>サイヤブリダムの行方(その1)〜流域国政府、4月に特別会合を開催

メコン河開発メールニュース2011年4月7日


中国領を除いて、史上はじめてメコン河本流を遮ることになるかも知れない、ラオスのサイヤブリダムですが、その建設の是非をめぐって、早ければ3月中にも決断を下すとみられていたメコン河委員会(MRC)合同委員会が、4月下旬に結論を出すための特別会合を開催すると発表しました。

MRCが特別会合を設定する背景には、魚類など、メコン河の自然資源に依存して生きる何百万人もの人びとからあがった、ダム建設に対する懸念や反対の声があります。さらに、その根底には、数多くの専門家が指摘してきたサイヤブリダムの問題点、とりわけ、メコン河流域の生態系や社会におよぼす甚大な悪影響があります。また、耐震性をはじめ、今後も検討を要するさまざまな課題や、流域に住む人びとに対する情報公開や参加の不徹底といった手続き上の問題も残っています。

メコン・ウォッチでは、4月下旬のMRC合同委員会の開催に向けて、サイヤブリダム計画の問題点を再度まとめてみなさまにお伝えしていきます。今回はまず、MRCが4月に特別会合を設定したことを伝える『サイゴン』紙の報道(原文英語)を日本語訳で紹介します。

なお、サイヤブリダムのサイト下流本流ダムのサイト もあわせてご覧下さい。

メコン流域国、懸案のサイヤブリダムで特別会合を開催

2011年3月26日
サイゴン(Saigon)

金曜日(3月25日)にメコン河委員会(MRC)が発表したところによると、ベトナム・カンボジア・ラオス・タイのMRC加盟四カ国は、懸案となっている、ラオス政府のメコン河本流サイヤブリ水力発電所計画への対応を決定する前に、事前通報手続きに関する特別会合を開催することで合意した。【1】メコン河流域下流四カ国は、3月24日から同26日まで、カンボジアのプレア・シハヌーク特別市で開いた第33回MRC合同委員会の席でこの決定を下した。

MRCによれば、四カ国は(サイヤブリダム計画について)結論を出す目的で、2011年4月21日に設定された会合にあらためて参集する。MRCは、メコン河流域の持続可能な管理のための協力をつかさどる国家間機関である。

ラオス政府が提案したサイヤブリダム計画には、MRCの通報・事前協議・合意手続き(PNPCA)が適用される。この手続きでは、通報後六カ月以内に、MRC加盟四カ国が協議して結論を下すことになっている。手続きの正式な期限は2011年4月22日である。

今回のMRC会合では、その他の組織・運営・手続き上の課題とともに、タイとラオスで消費する電力を供給する目的で考案されたサイヤブリ計画も議題となった。

MRCによると、各国1名の上級職員で構成する合同委員会が、サイヤブリ計画への結論を下す目的で、特別合同委員会をラオスのビエンチャンで開催することに合意した。

メコン河本流下流部で第1号となるこのダム計画が通報されて以来、四カ国は、影響を受けることになる地元住民も含めて、利害関係者(stakeholders)らと国内協議会を開催し、関係各方面の意見や見解を推しはかってきた。【2】

MRCの活動を担うMRC事務局も、漁業・堆砂・ダムの安全設計などの分野の専門家からなるチームに、ラオス政府が他のMRC加盟国に提出した環境影響評価(EIA)などの資料の検討を委託した。

MRC事務局は、事前協議手続きを進める役割も担っている。

金曜日にMRCが発した声明によると、合同委員会はまた、四カ国がサイヤブリダム計画の検討材料の一部として活用したMRCの技術的評価(technicalreview)を一般に公開することにも合意した。【3】

この評価は、土曜日のプレア・シハヌーク特別市での会議の席で報告されたが、まだ加盟国から正式なコメントは提出されていないとMRCは説明している。計画を通報したラオス政府は、この評価がサイヤブリダム計画や同様の開発プロジェクトを検討する上で貴重な資料であると述べつつ、詳細なコメントは後に提出するとした。

通報・事前協議・合意手続き(PNPCA)では、MRC加盟国がメコン河本流および支流で水力発電所計画に代表される大規模基盤整備事業を実施する場合、特に事業が国境を越えて下流の住民や環境に甚大な影響を及ぼしかねない場合、MRC合同委員会に通報しなければならないと定めている。

サイヤブリ水力発電所は、中国領を除いたメコン河本流の下流部分でこの要件に該当する第1号事業である。発電量は1,260メガワット(MW)で、電力の大部分はタイに輸出される。

このダムは、ラオス北部ルアンパバーン市の下流約150キロに位置し、高さ32メートル、幅810メートル、発電量は1,260メガワット(MW)である。貯水池の面積が49平方キロで、貯水量は1,300立方メートル。事業者は、タイの民間、チョー・カンチャン(Ch. Karnchang)社である。

サイヤブリ県では地震の発生が懸念されている。

3月24日夜、タイ・ラオス両国国境に近いミャンマー(ビルマ)東部でマグニチュード6.8の地震が発生し、揺れはベトナムの首都ハノイにも達した。この大きな地震によって、ミャンマーで74名、タイで1名が亡くなったと両国政府が発表している。

原文は以下のURLを参照
http://www.saigon-gpdaily.com.vn/National/2011/3/90820/

【訳注】
1.特別会合の開催を周知するMRCの発表は以下のURLを参照
http://www.mrcmekong.org/MRC_news/press11/Mekong-countries-agree-to-convene26-Mar-11.htm
2.ラオス政府は、環境影響評価(EIA)作成の過程で協議を行ったと主張し、他の三カ国が実施したような国内協議は開催しなかった。
3.「技術的評価」(MRCS Technical Review of Proposed XayaburiProject)をはじめ、主な調査・資料はMRCの以下のサイトに掲載されている。
http://www.mrcmekong.org/PNPCA/PNPCA-technical-process.htm#EIA

(文責・翻訳 土井利幸/メコン・ウォッチ)

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