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J-Power発電所>建設ありきの発電事業が住民の反対で移転

メコン河開発メールニュース2010年9月28日

日本の電力卸会社大手のJ-Power(電源開発株式会社)はタイで2つのガス火力発電所の建設を計画しています。同社は2007年、タイ発電公社(EGAT)から IPP(独立発電事業者)の枠を入札で獲得し、2つの事業会社を立ち上げて、建設に向け環境アセスメント(EIA)など必要な手続きを進めていました。ところが、双方の予定地で地域住民の強い反発が巻き起こり、今年7月にチャチュンサオ県サメッタイ地区(タイの報道ではバンクラ郡と称される)の発電所の事業地移転が決まりました。また、サラブリ県ノンセン地区の発電所も、行政裁判でその土地利用の正当性が争われています。

この問題について、現地報道や関連のプレスリリースを5回に渡ってご紹介します。

この事業についてはこちら以下をご参照ください。

第1回:建設ありきの発電事業が住民の反対で用地移転

チャチュンサオ県バンクラ郡は、水産業や果樹栽培が広く行われている第一次産業が盛んな地域です。ここに、J-Powerは現地の企業を通してサイアム・エナジー社を設立、IPP(独立発電事業者)枠で発電所を建設する計画を進めていました。 タイ国内法の適切な手順を踏んでいるとはいえ、地元の住民強い反発が巻き起こりました。事業がいくつかの候補地で検討されるのではなく、既に買収されている用地での建設が前提で環境アセスメントが計画され、建設ありきの状況で始まったからです。結果、バンクラ郡の住民は、団結して道路封鎖などの強い抗議行動に出た上、調査に全く協力しないという手段で事業を中断に追い込みましました。 調停に腐心していたタイ政府は、最後に事業地の移転を閣議で決めたのです。

今年の7月23日、J-Powerは「タイ国での当社IPP事業に係るタイ国政府の決定について」と題したプレスリリースで、
http://www.jpower.co.jp/news_release/news100723.html

・立地問題の解決策として、発電所建設予定地を変更すること
・上記に伴い、電力購入契約(PPA)の改定をタイ国電力公社(EGAT)と行う
と発表しました。

また、「サメッタイ地点での本IPP事業の実施は難しくなったと考えられることから、同地点の開発に要した費用等について、平成23年3月期第1四半期において損失引当金を計上する予定です。損失引当金計上額は概算で約47億円(連結ベース)となる見込みです」とも公表しています。

様々な検討を経て、タイ政府は最終的に新しい建設地をアユタヤ県ロジャナ工業団地に移すことを企業に提案した模様です。もう一つ、ノンセン地区の事業も行政裁判の俎上に上がっていることから、企業側には今後、更に負担が増えることも予想されます。

この件はタイに投資する日系企業にとって、投資の障害と考えるべきではなく、むしろ教訓としてとらえるべきものなのではないでしょうか。タイ国内法の手続きに則って事業を進めても、事業ありきで反対する人々の声を真摯に聞かなければ、場合によっては大きな損失が発生するのです。本来、世界中どこにいても、最低、日本で行っているような環境社会配慮をしながら企業活動すべきですが、従来は「途上国」ではそこの基準に合わせて(下げて)、事業を行ってきたと見られる事例が少なからずあります。地球環境の危機が叫ばれ人権意識が世界的に高まる今、そのような態度は逆に投資リスクを高める、という認識の変革が強く求められていると考えます。

(文責 木口由香/メコン・ウォッチ)

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