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タイ・ラオス導水>計画復活か

メコン河開発メールニュース2008年4月8日

2月初旬、首相に就任したタイのサマック首相の発言を巡って様々なニュースが飛び交いました。首相は、東北タイ(イサーン)の貧困削減のために大規模な導水事業を実施するとしています。これは新しいものではなく、クーデターで失脚したタクシン首相が打ち出していた大型公共事業構想、通称メガ・プロジェクトの中に「ウォーター・グリッド計画」として位置づけられていたものです。事業は、タイ国内や近隣諸国(ラオスとビルマ)にダム貯水池を建設し、そこから長大な導水管を通し東北タイに灌漑用水を供給するというものです。しかし、水の費用負担を警戒する農民グループや、灌漑によって東北タイの塩害が更に広がると懸念するNGOは、以前から反対の声を上げています。

タクシン氏の退場で頓挫していた計画でしたが、「タクシンの代理人」を表明して選挙に勝ったサマック首相が就任早々に調査予算化に言及、物議をかもしていました。今後の動向が注目されます。

河川導水事業の調査に予算を要求

Bangkok Post  2008年2月1日

天然資源環境省は政府に対し、ラオスのナムグム川とメコン河からの導水に関して、実現可能性調査を実施するために10億バーツ以上の予算を求める予定だ。同省の事務次官Saksit Tridech氏によれば、この予算は実現可能性調査と水不足に苦しむ東北タイに水を供給する導水事業の設計をカバーするという。

Saksit氏は導水計画委員会の長であるサマック・スンタラウェート首相に予算を認めるよう要請するという。

調査はメコン河、またはラオスのナムグム川から導水する2つのオルタナティブのうちどちらが妥当かを比較する、と彼は述べた。だが、彼は「しかし、 決定は国益に基づいてなされなくてはならない。」とも述べている。

予算申請は、サマック首相が先月(1月)初旬に着任した時にメコン河の水を引いてくる計画を提案してから、初めての具体的な動きだ。

ナムグム川の導水事業はメコン河からの導水のオルタナティブとして水資源局から提案されたものである。

省の専門家は、ナムグム川は豊かな水資源をもち、その導水手続きは(ナムグム川が)国際河川ではないために、メコン河の計画よりも複雑ではないと語っている。

サマック首相、メコンの導水を計画
イサーン(東北タイ)の計画は実現できるが高価、と専門家

Bangkok Post 2008年2月5日

サマック・スンタラウェート首相のメコン河から水不足に苦しむ東北タイに導水するという野心的な計画は、「技術的には可能」だが、投資には見合わないだろうと水管理の専門家は批判する。

灌漑局局長代理Veera Wongsaengnak氏によると、首相のアイディアは新しいものではない。数年前、同局はメコン河からの導水事業の実現可能性調査を実施している。しかし、この事業計画は膨大なコストがかかり、採算の合う見込みがないので具体化していない、と彼は述べた。

「持続的に東北タイ地方の水不足を解決する、メコン河導水よりも安く効果のあるオルタナティブは存在する」と彼は言う。

それには、この地域で乾季に利用する水を溜めておくための、更なる貯水池の建設が含まれる。Veera氏はまた、国際河川であるメコン河から水資源を利用することの複雑な手続きを懸念している、と説明している。

メコン河は中国に源流を発しビルマに流れ込みタイ、カンボジア、ベトナムを流れる。ビルマ、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム各国から構成される下流域での水の利用は、メコン河委員会(MRC)で調整されている。

(前述の)水管理の専門家による批判は、新しく任命された首相が日曜に、東北地方にメコン河から導水する地下パイプラインを建設するというアイディアを提案した後になされた。

その計画では、メコン河からの水は地下トンネルを通って導水される。貯水池の建設が必要で、敷設されるパイプラインが水を農地まで運ぶ。

天然資源環境省副事務次官Siripong Hungspreug氏は、「事業は技術的に可能である。しかし、問題は投資に見合うかというという点だ。また事業の環境影響も考慮しなくてはならない」と言う。また同省は、(タイの)政策が地域間の合意と調和するように、メコン河の水利用に関するMRCの規定についての最新情報を政府に伝える予定である。

バンコクを拠点とする環境NGO、TERRAのキャンペーン・コーディネーターMontree Chantarawong氏は、サマック政権はメコン河からチー川やムン川への導水を目的とした過去のコン・チー・ムン導水計画から学ぶべきだと話す。

事業は広範な塩害を引き起こしたために棚上げされた。この地域では膨大な塩の堆積があり、水路や貯水地付近で農地を荒廃させている。

Montree氏は、サマック首相が、タクシン政権時代に計画されていた1つの村が少なくとも1つは貯水池を持つ「1村1貯水池計画」の埃を払って持ち出すべきだと進言している。彼は、この事業は水資源管理の正しい方向だったが、運営に問題があったと述べた。

(文責・翻訳 木口由香/メコン・ウォッチ)

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