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カンボジア国道1号線(無償)>影響住民の貧困化、現地NGO報告書が指摘

メコン河開発メールニュース2008年2月28日

これまで数回にわたって、カンボジア国道1号線のADB融資区間の問題についてお伝えしてきました。ADBが融資したのは、国道1号線のうち、メコン河を渡るネアックルンからベトナム国境バベットまでの区間です。一方、プノンペンからネアックルンまでの区間については、現在日本のODA(無償資金協力)で改修工事が進められています。

カンボジアの現地NGOやメコン・ウォッチは、事業が計画段階だった2003年頃から、無償資金協力区間においては、ADB区間の教訓を生かし、公正な補償を行うようJICA・日本政府に求めてきました。しかし、教訓は十分に反映されないまま改修工事は開始され、沿道の住民は不十分な補償しか受け取らないまま移転を余儀なくされています。

2007年8月に、カンボジアNGOフォーラムの住民移転ネットワークが、国道1号線の影響について現地住民への聞き取り調査を行い、昨日報告書を発表しました。この中では、補償額が移転費用に満たず苦しんでいること、移転によって以前の収入を失っていること、移転地のインフラが未整備であること、苦情処理メカニズムが機能不全を起こしていることなど、多くの現地住民の苦しみが明らかにされています。

日本政府は改修工事の第3期分の交換公文を2008年度に予定しています。既に多くの住民が受けている被害をそのままにして第3期分の支援に踏み切るのか、外務省の対応が注目されます。

以下、カンボジアNGOフォーラムが27日に発表したプレスリリースの日本語版をお送りします。なお、報告書はカンボジアNGOフォーラムのウェブサイトからダウンロードすることができます。

報告書全文(PDFファイル、1.3MB)
http://www.ngoforum.org.kh/Land/Docs/RAN/Layout_Resettlement%20Project%20On%20Road.01_ResettlementProject.pdf
国道1号線改修事業について
http://www.mekongwatch.org/env/cambodia/hw1-oda/index.html


2008年2月27日

カンボジアのODA道路事業 移転住民を貧困化
~ 日本の環境社会配慮ガイドライン違反現地NGOの調査報告書が指摘~

(訳注:このプレスリリースは、カンボジアNGOフォーラムが27日に発行したものをメコン・ウォッチが和訳したものです。)

カンボジアでは援助国・機関の支援によって幹線道路が次々に修復・拡幅され、道路周辺に住む人々の移転や貧困化が深刻な問題になっている。現在、日本政府の ODA(無償資金協力)によって進められる国道1号線改修事業も例外ではない。本事業によって移転を余議なくされた住民は、不十分な補償や生計手段の喪失などに苦しんでいることが現地NGOの調査で明らかになった。NGOは、住民が抱える問題を放置することは国際協力機構(JICA)のガイドライン違反であると指摘する。

近年、カンボジアでは数々の道路修復事業が開発援助によって行われてきた。これら幹線道路網の構築は、メコン川流域国の経済統合と開発を目的とした「大メコン地域経済協力」(GMS)のもと進められている。GMSの基幹事業の一つである「南部経済回廊」は、タイの首都バンコクからカンボジアを抜けて、ベトナム南部のホーチミン市までをつなぐ。国道1号線はこのルートの一部である。

国道1号線改修事業において移転の対象となる人々は1800世帯以上にも及ぶ。本事業は、移転手続きおよび補償内容が不十分であるとNGOによって批判され続けてきた。過去の道路事業では、不適切な移転手続により地域社会の生活は多大な影響を被ってきた。カンボジアNGOフォーラム事務局長のチット・サムアット氏は、「開発事業は歓迎している。しかし同時に、事業が引き起こす環境社会影響に十分対処するためのメカニズムが導入されているべきだ。このようなメカニズムがなければ、国道1号線の改修事業は、カンボジアの過去の道路事業と同じ過ちを繰り返してしまうと懸念している」と述べた。

「家と店の引っ越しで借金を背負ってしまった」と、2007年8月に事業のために移転した女性は語った。彼女は政府が用意した移転地に住んでいる。「その上、(道路から離れた場所に移転した後は)誰も店に立ち寄らない。子どもたちは家族を支えるために学校をあきらめたよ。」

移転行動ネットワーク(RAN)が本日発表した調査報告書によると、国道1号線事業はJICAのガイドラインに違反している。日本の援助機関である JICAは、当事業においてカンボジア政府に実施支援を行っている。JICAの環境社会配慮ガイドラインは、JICAが支援する事業において、被影響住民が適切な時期に十分な支援を受け、最低でも事業前と同水準の生活レベルを回復すべきことを定めている。

調査を行った現地NGOのひとつ、CD Camのカイ・レアック氏は、「カンボジアと日本政府、JICAが、周辺住民の直面する深刻な問題を解決することに調査結果が役立つことを願っている」と述べた。報告書は、被影響住民に対する公正な補償を支払い、事業においてJICAガイドラインを遵守するようカンボジア政府と日本政府に求め、具体的な対策を提言している。

「国道1号線改修事業の住民移転による影響に関する現地調査報告書」は、カンボジアNGOフォーラムのウェブサイト(www.ngoforum.org.kh)からダウンロードすることができる。

○カンボジアNGOフォーラム(NGO Forum on Cambodia)とは
カンボジア国内および国際NGOをメンバーに持つカンボジアのネットワークNGO。カンボジアの開発、社会・環境問題に関する情報発信やアドボカシー活動を行っている。
○移転行動ネットワーク(RAN)とは
カンボジアにおける移転や居住権の問題に取り組むNGOのネットワーク。


(本文 福田健治/メコン・ウォッチ、翻訳 杉田玲奈/メコン・ウォッチ)

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