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スレポック川ダム>ダムからの放水による洪水がカンボジアで発生か

メコン河開発メールニュース 2006年8月21日

セサン川と並んでベトナム中部高原からカンボジア北東部に流れるメコン河の国際支川スレポック川で異常な洪水が発生しました。下流のカンボジア北東部で深刻な被害が起きています。地元の郡長は自然現象だと主張する一方で、コミューン長や村長はベトナムのダムからの放水だと説明しています。

スレポック川のベトナム側で建設が進むブオンクオップダムに対して、住友商事が発電機を受注し、日本の国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しています。

スレポック川ダム>国際協力銀行が融資検討中

これに対して、カンボジア北東部の住民組織は、JBICや監督権を持つ日本の財務省に融資をしないよう求めてきました。

スレポック川ダム>現地住民が日本政府に融資しないよう請願
以下、今回の異常な洪水について、現地の住民組織ネットワークの3SPNが緊急に出した記者発表を、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)が翻訳しました。

カンボジア・スレポック川で深刻な洪水が村人の生活を直撃

セサン・スレポック・セコン川保全ネットワーク(3SPN)
カンボジア国ラタナキリ州バンルン町
電話075-974-112

記者発表

2006年8月16日

2006年8月12日以来、ラタナキリ州のスレポック川沿いに住む村人たちを激しい洪水が襲っている。スレポック川の水がすさまじい勢いで村に流れ込み、家屋・学校・寺院・道はすっかり水没してしまい、状況は日ごとに悪化している。
村人によれば、スレポック川の水が村に達しはじめたのは8月12日の正午ごろで、たちまちのうちに家屋と道路が浸水した。8月14日には洪水の被害は川岸から1.5キロも離れた家屋や水田にまで広がり、水の高さも3〜4メートルにまで達した。
スレポック川の水深は8月14日の測定で13.5メートルあり、2日後にはさらに1メートル増水した。

チェアイ・オダム(Cheay Odam)コミューンには、トゥマイ(Thmey)、ディロウ(Deilou)、ルンパット(Lumphat)、オゥカン(Oukan)、サムカ(Samkha)、スレチュック(Srechhuk)の六つの村があり、約693世帯の人びとが住んでいるが、六ヶ村すべてが今回の洪水で深刻な打撃を受けた。従来バイクで往来していたところを今は船で行き来しなければならない。一時は緑に茂った水田も水の底に沈んでしまった。村人の大半がすでに今年の田植えを終えていた。

「昨年もひどい洪水が一度ありました。でも、今年の洪水はさらにひどい。村が毎年このように水没するなんてありえません。何世代にもわたる常識です。もし毎年水没するなら私たちはここには住めなかったはずですから」と、ルンパット村のヌオン・コム(Nuon Khom)さんは語った。ヌオンさんはまた、すでに田植えを終えた二ヘクタールの水田も水没したと述べた。洪水で米が台無しになれば、この先食べていくものがない。

家財道具を守るために、村人たちは家畜や貴重品を水没していない高台に移した。
8月16日、最も被害の大きかったルンパット村で少なくとも30世帯が身の安全を確保するために家を捨て水の届かないところに移動した。「チェアイ・オダム・コミューンの各村で少なくとも100ヘクタールの水田が被害を受けました。全体で少なく見積もっても600ヘクタールの水田が水没したということです」とクロゥト・サン(Klout Sun)ルンパット郡長は語った。

スレポック水系では上流のベトナム側でベトナム電力公社(EVN)が3基のダムを建設している点が注目に値する。ルンパット郡の村人の大半がスレポック水系のダム建設のことを知っている。最近は降雨量も多いが、村人の多くは生計を悪化させる洪水が自然のものではないと勘付いている。この大洪水の原因についてはいろいろな説や考え方があり、ダムによるものなのか、雨のせいなのかは誰にも分からない。

「今回の洪水はまったく天然のもので、ラタナキリ州や上流で降り続いた豪雨のせいですよ。中国に発生した台風の影響かも知れません」とクロゥト・サン郡長は語った。ベトナムはクロゥト・サン郡長にスレポック川上流でのダム開発のことは知らせてきたが、ダムの放水については通知してこなかったという。

しかし、チェアイ・オダム・コミューンの村人の大半は、村長やコミューン長から8月12日〜14日の3日間ベトナムがダムからの放水を計画していると聞かされている。村人たちはスレポック川の水が村に達しはじめた8月12日にこの連絡を受けた。

この情報について、チャンタ・ソンポン(Chantha Somphorn)コミューン書記官は、「ハー・ネン(Har Nen)ルンパット副郡長が電話で私にベトナムが3日間放水をすると言ってきたんです。彼の指示にしたがって私は荷物をまとめて川から離れるよう村人に連絡したんです」と説明した。

私たちはハー・ネン副郡長に説明を求めようと電話をかけたが返事はなかった。

「コミューン書記官からベトナムが3日間放水をすると聞かされて、私は村長たちに手紙を書いて、村人に荷物をまとめて川から離れるよう伝達してほしいと言ったんです」とマイ・サルーァン(Mai Saroeun)チェアイ・オダム・コミューン長は語った。

ラタナキリ州気象水資源部のユン・チェタナ(Yun Chetana)部長はベトナムから放流については聞いていないと述べた。

クロゥト・サン郡長の話では、コン・モム(Kon Mom)郡のスライ・モングル(Serei Mongkul)、スレ・アンクロン(Sre Angkrong)両コミューンの少なくとも七ヶ村でも洪水の被害が出ている。


注:記事中、英語表記から推測してカタカナ書きにした地名・人名については原文英語表記を併用した。

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