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怒江ダム開発>世界遺産委員会(日本政府)に申し入れ

メコン河開発メールニュース 2006年7月8日

貴重な文化遺産や自然遺産を守ろうという世界遺産は、日本ではマスコミや旅行会社に大々的に取り上げられています。その1つ、中国の「三江併流」世界自然遺産が、巨大ダム計画によって危機に直面しようとしています。

今月8日から、リトアニアで世界遺産委員会の年次会が開催されるのに合わせ、去る4日、メコン・ウォッチは世界遺産委員会のメンバーである日本政府に対して、中国の怒江ダム計画に脅かされている「三江併流」世界自然遺産を「危機にさらされている世界遺産一覧表」に指定するなどして、同委員会で適切な措置を採るよう要望書を提出致しました。

中国雲南省を流れる国際河川、怒江(サルウィン川上流)では、2003年8月に13の連続ダム計画が発表されて以来、ダム建設によって引き起こされると懸念される社会・環境影響をめぐって国内外における大きな議論を呼んできました。このうち9つのダム計画は「三江併流」世界自然遺産近くの自然保護地区内に位置しています。
( 雲南省 怒江ダム開発のページをご覧ください)

現地では、正式な建設許可がないまま、すでにダム建設の準備や、公道建設などの関連工事が進められ、河岸の渓谷では深刻な地滑り、がけ崩れなどが発生しています。このままでは、人類共通の財産と言われる世界自然遺産の豊かさが壊されてしまうでしょう。

日本政府は、ユネスコ事務局長を輩出し、世界遺産委員会のメンバー国です。8日から始まるリトアニアでの世界遺産委員会年次会合において、「三江併流」世界自然遺産の保護に積極的な役割を果たすことが求められます。

以下、メコン・ウォッチが外務省に提出した要望書です。


2006年7月4日

麻生 太郎 外務大臣

特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
代表理事 松本 悟

中国「三江併流」世界自然遺産に関する要望書

今月8日から第30回世界遺産委員会がリトアニアで開催されるにあたって、中国北西部の三江併流世界自然遺産の保護について強い懸念と要望を提出致します。

三江併流世界自然遺産は中国雲南省北西部の山岳地帯に位置し、2003年7月にその豊かな生物多様性によりユネスコ世界自然遺産に登録されました。アジアの大河である怒江(サルウィン川)、瀾滄江(メコン河)、金沙江(揚子江)流域一帯に6,000種類以上の植物を有し、遺存種や絶滅危惧種を含む世界の25%以上、中国の50%以上の動物が生息しています。「中国の絶滅危惧種の中心地」として、河川沿いの森林や湿地には豊かな生物多様性が残されています。また、当地域は文化的多様性にも恵まれ、およそ30万人の少数民族が現在も独特の生活様式を営んでいます。

現在、中国政府は、三江併流の河川のひとつである怒江に13の連続ダムを計画しています。そのうち9つのダムが世界自然遺産近くの自然保護地区内に位置し、ダムによる地域の生物多様性への影響が懸念されます。ダムは河川淡水魚の生息環境に影響を与え、75種類の魚類のおよそ三分の一が影響を受けると懸念されています。また怒江は山岳地帯を流れる河川であり、動植物は山間の限られた場所に生息しています。こうした脆弱な種は河川生態系など自然環境の変化による影響を特に受けやすく、また、下流に生息する野生の稲はダムによる水没が見込まれています。さらに世界自然遺産に近接する地域でのダム建設は、公道や関連するインフラストラクチャー建設を必要とし、これらの事業によって一般の人々や違法開発業者のアクセスが容易になることにより、地域の生態系への多大な脅威となることが懸念されます。

メコン・ウォッチは東南アジア半島部のメコン河流域国の開発が、現地の人々の生活や自然を破壊しないようにモニタリングと提言活動を行っているNPO法人で、怒江連続ダムにつきましても、2004年以来、現地の動きを注視してまいりました。
昨年11月にはスタッフがダム建設予定地である怒江中流から下流にかけて訪問し、ダム建設業者による測量、公道建設など準備が進められている現状を目の当たりにしました。ダムを前提にした公道建設は、すでに河川流域の土砂崩れなど自然生態系の破壊を引き起こしており、実質的なダム建設と同等の影響をこの世界自然遺産に及ぼし始めています。

昨年の第29回世界遺産委員会において、三江併流世界自然遺産については、ダムが建設されれば「危機にさらされている世界遺産一覧表」への記載を検討すると決議されています。また、昨年の委員会では、世界遺産センターと国際自然保護連合(IUCN)の合同モニタリングの実施や、中国当局による包括的な報告書の提出も求めています。公道の建設によって実質的な工事が始まっていることを考えますと、第30回委員会においては、昨年決議されたモニタリングや調査の報告書を公開・審議した上で、特にダム関連工事の進捗状況を慎重に検討することが不可欠です。その上で、ダム関連工事が中止されていない場合は、この三江併流世界自然遺産を「危機にさらされている世界遺産一覧表」に掲載し、保護の必要性を国際社会に訴えるべきだと考えます。

日本政府は、現在二度目の世界遺産委員会のメンバーであり、またアメリカと並ぶ大口の資金供与国となっています。ユネスコ事務局長を輩出している国として、世界遺産条約の理念の実現には大きな貢献と責任を持つ国だと理解しております。
特に、アジア・アフリカに目を向けた世界遺産の保全に日本が主導的役割を果たそうとしていることを考えれば、三江併流世界自然遺産の保全が効果的になされるよう、第30回世界遺産委員会において透明な審議と、「危機にさらされている世界遺産一覧表」への掲載など適切な対応を行うよう強く求めます。

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