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中国環境政策>EIAの住民参加

メコン河開発メールニュース 2006年1月27日

メコン河と並ぶ東南アジアの国際河川であるサルウィン川は、下流域ではタイとビルマ軍事政権のイニシアティブで巨大ダムの計画が進められる一方、上流域の中国では「怒江」と呼ばれ、ダム開発をめぐる熱い議論が続けられています

怒江のダム開発をめぐる中国国内の議論では、環境影響評価(EIA)報告書の公開や、EIAプロセスにおける住民参加が大きな論点となっています。

こうした中、中国政府が、EIAプロセスにおける住民参加を推進する動きを見せています。

以下は、チャイナ・ウォッチに掲載された分析を、メコン・ウォッチの大澤香織が翻訳したものです。原文は以下のサイトで読むことができます。

 


EIAにおける住民(公衆)参加を促進する中国

2005年12月9日

チャイナ・ウォッチ、Yingling Liu

2005年11月初旬、中国の国家環境保護総局(SEPA)は環境影響評価(EIA)プロセスにおける住民(公衆)参加を促進する目的で、一般からドラフトへのコメントを募集した。【注1】【注2】

新しい規則には情報の公開性、参加者の権利のセーフガード、意見調査やコンサルタント、セミナー、議論、公聴会などを含む住民(公衆)参加の手続きと方法について規定されている。これはSEPA、あるいは中国政府全体として初めて、国家の開発イニシアチブに関する一般からのインプットの扉を開いた出来事である。

従来、20年間にわたり中国のEIAは、国のより大きな環境保護法の一部にすぎなかった。しかし2002年10月、これは新たな国家EIA法として格上げされ、2003年9月から発効した。予防策(再発防止策)として、この法律は、専門家および一般の人々を含むすべての関連グループが、開発プロジェクトによって起こりうる開発影響、開発プロジェクト、開発プログラム、自然と人間環境に関する様々な計画について評価することを要求している。

しかし施行から2年を経ても、中国のEIAのプロセスにおける住民(公衆)参加はきわめて限られてきた。情報へのアクセスはしばしば不十分、あるいは阻止され、参加は限られ、十分にステークホルダーを代表したものではなかった。結果として、住民(公衆)からのフィードバックは最低限かつ非効率であった。さらに、EIAの評価者はSEPAとその支部によって訓練され、資格を与えられ、事業者、地元政府、投資者とのあまりの近さがそれらの機関によるEIA報告書の信頼性を損なってきた。

こうした問題は、EIAプロセスについての住民意識と教育の欠如によって、参加が阻害されることにより、ますます悪化してきた。またEIA法における手続きと住民参加の方法についての規定は不透明であり、それが中国の教育を受けた市民でさえガイドラインに従うことを難しくしてきた。

しかし、SEPAは2005年になって、EIAシステムを改革するいくつかの試みを行ってきた。5月には人事部と協力してEIA専門家としての資格を与える初の全国的な試験を行い、全国から1万4000人の応募があった。3ヶ月後、これは新たな「EIA機関の質の管理に関する措置」として制定された。SEPAは水準に満たないと判断された機関による評価の停止を命じ、10月には中国のトップの大学、北京大学の支部であるEIAセンターが評価事業の停止を命じられた。

住民(公衆)参加を促進することは中国のEIA法の効率性を高めるためSEPAが最近見せた努力である。より広範な住民からの意見を集めるため、SEPAはすべての中央政府機関、政府部門、SEPAの支部に規則のドラフトを送り、またウェブサイトに掲載した。2005年11月11日から12月7日まで、ドラフトに対するパブリックコメントを受け付けた。

この試みは中国の環境保護グループに大きな拍手をもって迎えられた。これはまた中国の市民社会を再形成する重要な可能性を秘めている。環球中国環境専門家協会(PACE)を含むいくつかの市民社会がSEPAの試みに応えて自らの要求を提出し、またパブリック・コメントを集めたり、EIAがどのような意義を持つのかを人々に教育したりするための会議を開いた。生物多様性と伝統知識研究会(CBIK)も提出に向けてSEPAへの包括的コメントを集めている。

中国では人口の12分の1しかインターネットを使用していないことを考えれば、こうした包括的な住民のフィードバックの代表性についても、まだ今後見守っていかねばならない。しかし、それでも新たな規則のドラフト(草稿)は、中国の開発における環境面での懸念を主要な流れとし、EIAの質と包括性、効率性を保障し、ステークホルダーのグループからEIA機関をチェックし続けることを可能とするための重要なステップである。

(ワールドウォッチの特派員 Lila Buckleyによる北京からの報告)

【注1】 中国国家環境保護総局(SEPA)のコメント募集のHP(中国語)

【注2】 関連記事(中国語)

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