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中国本流ダム>送電網をめぐる議論

メコン河開発メールニュース 2005年10月19日

最近の中国経済時報紙は、中国国内において電源開発のスピードに比べて送電網建設が遅れているため、無駄が生じる一方で、大停電など大きな事故につながる恐れがあると報じています(以下、抄訳記事を掲載)。

こうした声にも支えられて、アジア開発銀行(ADB)は、越境的な送電網整備を牽引しています。ADBをはじめとする国際金融機関や日本の援助機関は、メコン河本流のダム計画への支援は環境・社会影響上の問題が大きいとして融資を控えていますが、一方で、中国がメコン河上流の瀾滄江本流に完成させた大朝山ダムからの電気を雲南省省都の昆明まで送電する事業には融資をしています。

問題が大きいダムの建設は支援しないが、できたダムからの送電線は支援するという、環境社会配慮のダブルスタンダードとも言えるADBのPower Grid支援策に ついて、アメリカのNGOの国際河川ネットワーク(IRN)は、2004年1月末、この 電力網開発がADBのセーフガード政策(環境社会配慮政策)に違反していることを指摘する報告書を発表しました。すなわち、送電網は電気を供給するダムと不 可分であり、国際機関が送電網を支援するならばダムによる環境社会被害についても責任を持ってなくすべきだという主張です。

以下、送電網の拡充を主張する、中国経済時報紙の記事を、メコン・ウォッチの大澤香織(雲南省・昆明)が抄訳しました。

中国の電力網の隠れた危険は多い 大きな事故を招くおそれ

中国経済時報、2005年9月13日、袁子木 記者(抄訳)

最近、本紙のインタビューを受けた中国の電力網業界の人々はそろって中国の電力網には隠れた危険が多く、大きな事故を招くおそれがある、と語った。

彼らの懸念は主に中国の周辺諸国が電力網事故による大規模な停電を経験したこと、中国の電力網が現在、大幅に負荷を超過して運転している現状からくるもの だという。

2003年8月、米国東部およびカナダの大部分の地区で北米有史以来もっとも大規模な停電事件が発生した。米国では多くの主要都市の交通が麻痺し、人びとの生 活は混乱に陥った。今年5月には、ロシアで特大の停電事故が発生し、8月にはインドネンシアで大規模な停電が発生、国民経済が重大な損失を被った。

それでは中国の電力網には類似の隠れた危険があるのだろうか?その疑問に答えるために、本紙記者が調査をおこない、実際、非常に大きな隠れた危険が存在す ることを発見した。

調査によれば、国民経済の急速な発展にともない電力需要は急速に増加し、電力網建設は電源開発よりも遅れている。電力網は中国の電力工業発展のためのネッ クとなっている。それだけにとどまらず、さらに現在、負荷を大幅に超過して運転しているという重大な隠された危険によって大きな事故を招くおそれがある。

また電力網建設が滞っていることは、中国の大量のエネルギー資源が利益水準をよりよく得るための制約となり、大量の電力の非効率につながっている。

中国では電力網会社が保有する資金の多寡が、電力網建設に投入する資金量の多寡を決定している。電力網はひとつの大型国有企業の実力と銀行の借款のみに頼っ て、全中国社会の電源の必要を満たそうとしており、当然ながら意欲はありつつも実力が伴っていない。このため中国電力網建設は、現存の電源開発に追いつい ていないという現状である。中国の電力網の問題に隠された危険もまた、国家の重要問題としてはなかなか出てこないが、関連部門が適切な注視を払うべき問題 なのである。

ここ数年、中国の経済発展は電力需要を増大させており、さらに発電所への投資は短時間でコストが回収でき、また巨額の利潤をもたらすため、大小さまざまな 発電所が雨後の竹の子のように出現している。コストが超過していることと、送電がネックであることを考慮すれば、これらの発電所の絶対多数が水資源、ある いは石炭資源が豊富な地域に存在している。そのため大多数の遠隔地ユーザーは、電力網への依存が非常に強いのである。

電気は特殊な商品である。生産したら、すぐに送電して消費しなければならない。 生産、流通、消費がほとんど同時だ。電力網建設が追いついていないため、多く の地域では発電した電力を送電することができず、電気が滞っている状態だ。

電力網業界の人によれば、電力網の建設と発電所建設は、一種バランスの問題であり、もしもバランスがくずれれば、大量の資源の浪費につながる、という。

片方で数十億の資金を使って建設したのち、電力網が整備されていない、あるいは、その電力網を使うことができない、あるいは一部しか使えない、あるいは一 時期しか使えないのであれば、それは必然的にその発電所のより効率的な収益を妨げる。実際、それは資源の浪費であり、さらにそれはひとつの発電所の資源を 浪費するだけにとどまらず、さらに土地、人力など多くの資源の浪費に繋がる。

われわれの理解によれば、中国における電力網の建設は、国家電力網公司とその所轄の省級電力網公司のみが投資を行っており、客観的みても投資のチャンネル は単一で、有限である。

調査によれば、現在、中国の電力網は多くの地域で電力網の安全性と設備の信頼性を犠牲にし、苦しみながら運転を維持している:各級電力網はすべて負荷を超 える電力を送って、市場での需給バランスを満たしている。多くの電力網業界の人々は内心では非常に心配している。もしもこのままでいけば、それほど遠くな い未来に、使いすぎによって電力網が崩壊する時がやってくるだろう。

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