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タイ揚水発電>放置されたままの健康被害

タイの住民組織のネットワークが先日バンコクで行った抗議行動について、現地 の木口由香の報告です。


5月13-19日、政府の開発によって生活に負の影響を受けている人々のネットワー ク、サマッチャー・コンヂョン(貧困者の会議 / Assembly of the poor)のダム 影響住民グループがバンコクで抗議行動を行いました。


この中に、世界銀行と日本の国際協力銀行(JBIC)が支援したラムタコン揚水発 電所の建設による健康被害を訴えている人々も参加していました。


住民の一人Aさん(*)の話によると、現在影響を受けた2か村に住む人々のうち、 70代の男性が肺がんの末期でナコンラチャシマ県の病院に入院しています。また、 そのほかにも70代の4名、60代の8名、50代1名が週に2回は病院に通い、酸素吸入 や点滴などの対症療法を受けています。全員に、呼吸困難、咳、疲れなどの症状 があり、日常生活を送ることが困難だということです。また、この中の数名が癌 と診断を受けています。

プロジェクトの影響を受けた南北のカオヤイティアン村(行政区6区と10区)の 人口は約千名で、そのうち15名という数字は多くないように感じるかもしれませ ん。しかし、住民リーダーのメサニ・ガサンさんが集めた資料によると、1996年 から1998年の間に亡くなった10名の方が確認されています。死因は、呼吸器の疾 患2名、癌3名、心不全3名、高齢のため1名、17歳の少年の機能不全によるショッ ク死です。メサニさん自身も昨年の3月皮膚癌で亡くなられました。異常な事態 が起きている、と考える方が妥当ではないでしょうか。

この間、住民は政府による問題解決と事業実施機関であるタイ発電公社に補償を 求めてきました。エネルギー省大臣の命で中立な作業部会による調査が始まりま したが、いまだに結果が出ていません。

今回、人々はエネルギー省に赴き他のダム影響者と共に大臣との交渉を求めまし たが、実現しませんでした。雨季が始まり、バンコクは連日スコールが降りまし た。体調の悪い人もいる中、路上の歩道にレジャーシートを張って座り込んだ人 々は、雨が降ると立ってしのぎ、夜も眠らずに過ごしたのです。

【ラムタコン揚水発電所問題】

東北タイ、ナコンラチャシマ県に建設されたタイ初の純揚水式発電所。総工費は 4億7540万ドルで事業実施主体はタイ発電公社(EGAT)。このプロジェクトに対 して国際協力事業団(JICA)が1991年に事前の開発調査を、また1994年に国際協 力銀行(JBIC)が世界銀行との協調融資を行っている。(JBIC:182億4200万円、 世銀:1億ドル)そして、特殊法人電源開発(現J-Power)が工事の施行管理を行っ ているという日本と関係の深いプロジェクトである。

工事の際、近くのカオヤイティアン村(行政区6区と10区)に、粉塵が2年7か月 もの間降り注いだ。この粉塵が農作物や家畜、そして住民の健康にまで被害を引 き起こした。粉塵には、火薬や添加剤由来の重金属や様々な化学物質が含まれて いたと見られるが、詳しい調査は行われていない。

*注:情報提供者が村の中で嫌がらせを受ける可能性があるので、匿名での報告 と致します。

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