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パクムンダム>またしても裏切られる被害住民たち 

世界銀行の融資によって1994年に建設されたタイのパクムンダム。それによって 生活を滅茶苦茶にされた数千人の村人たち。10年以上の闘いの末、やっと勝ち取っ た魚の回遊を取り戻すための年間4ヶ月の水門開放。しかし、それすらも破られ ました。 貧困削減を旗印にしている世界銀行が作った悲劇は、今もタイで続いているので す。パクムンの悲劇を「過去」と片付けて、貧困削減の名の下に新たな巨大ダム をラオスに建設する・・・貧困削減とはいったい何なのでしょうか。 以下、メコン・ウォッチの木口由香からの現地報告です。

理由なき水門開放延長

2002年から年間4ヶ月水門開放を行って運転されることになっていたパクムンダ ム。

昨年、住民の要請が実り、メコン河からの魚の回遊に合わせた5月1日からの水門 開放が決まっていました。しかし、タイ発電公社(EGAT)は突然、「ダムのある ウボンラチャタニ県が旱魃のため水不足で、県から水門開放の保留の申し入れが あった」と開放を延期しました。また水門開放の時期は県の委員会が決めるので、 EGATには決定権はない、と主張しています。

その上更に、県の委員会が5月13日に水門開放の決定を出したにもかかわらず、 18日になっても水門を開かないのです。

パクムンの人々は、ラムタコン揚水発電所の建設で健康被害を受けた住民や、他 のダム問題の影響者と共に、13日から議会前でテントを張り、座り込みを始めて います。同行しているムン川保全ネットワークのソムパーンさんの報告によると、 今日18日は、EGATを管轄するエネルギー省前に赴き、一日中大臣との会見を求め ていました。今日のバンコクは午後からスコールが降り、高齢者や健康状態の悪 い人ばかりの住民は雨に濡れながら門が開くのを待っていたといいます。夕方雨 がやみ、人々が門の前に座って大臣を待っていたところ、中に入り込まれるのを 恐れた職員が警官隊を要請、無抵抗の人々は警官に「荷物のように」どかされた といいます。

座り込みは平和的に整然と行われています。一方で政府機関の決定は、それを行 う理論も理由も見出しにくく、理解しがたいものです。政府委託でウボンラチャ タニ大学が専門家を集めて水門開放時に行った調査では、パクムンダムによって 引き起こされた地域の貧困を緩和するため5年間の試験的な水門通年開放が提言 されています。年間4ヶ月の水門開放ですら、本来は情報に基づいた「科学的な」 決定ではないのです。

路上に座り込む人々は、背景を知らない都市住民に疎まれ、時には渋滞を悪化さ せると非難されることもあります。世界銀行の支援プロジェクトは、地域住民を 貧困化させただけでなく、タイ社会に亀裂を生む役割も果たしています。パクム ンダムが発電している今も、ウボンラチャタニ県は頻繁に停電します。また、世 界ダム委員会の行った事例調査でパクムンは計画された半分も発電していない、 とも指摘されているのです。

いったい、このダムは誰のために作られ、世銀は何のために支援したのでしょう か?

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