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【ナムトゥン2ダム・キャンペーン】第12号 
世界銀行がナムトゥン2ダム支援を承認 「貧困削減」のもとに行われた誤った決定

(特活)メコン・ウォッチ 2005.4.1

世界銀行は3月31日の理事会でラオスのナムトゥン2ダムへの支援を決定しました。理事会での議論の細部についてはわかり次第お伝えしますが、極めて残念な結果となりました。以下は、緊急に出しましたメコン・ウォッチのプレス・リリースです。

ラオスの人々の生計手段を奪い、環境破壊を進めるプロジェクトに、世界銀行やアジア開発銀行の資金が使われないよう、皆さんの力を貸してください!

<プレス・リリース>

世界銀行の理事会がナムトゥン2ダム支援を承認「貧困削減」の名のもとに巨大インフラ事業を推し進める誤った決定3月31日、世界銀行の理事会で、ラオスのナムトゥン2ダムプロジェクトへの支援が承認された。世界銀行が「貧困削減」の名の下に、大きな環境社会影響、経済的リスクを抱える13億ドルという巨大インフラ事業を推し進めようとする誤った決定が行われたことになる。

IDA(国際開発協会)による部分的リスク保証5000万ドルおよび贈与2000万ドル、MIGA(多国間投資保証機関)の政治的リスク保証2億ドルが供与される。

同事業については、以下のような問題が挙げられている。

○伐採後の環境アセスメントと住民合意への疑問

・1993年乾季に水没予定地でダムを前提とした激しい伐採が開始され、伐採後に環境アセスメントや住民の合意形成が行われた。

・1995年11月9日に世界銀行調査団がラオス政府に渡した援助覚書に違反し、伐採会社による住民移転が行われた。

○「貧困削減のためのダム」への疑問

・タイへの売電収入を貧困削減につなげるとしているが、同様に世界銀行が「貧困削減のための石油開発」を標榜したチャド・カメルーン石油開発プロジェクトはうまくいっていない。

・特別会計が作られたとして、貧困削減のために運用するには財政制度や適切な公共政策、それを実施するためのキャパシティが必要だが、ラオスには困難。

・事業費は12〜13億ドルとラオスのGDPの約70%にあたり、重債務貧困国のラオスにとっては経済的リスクが大きい。

○被害住民のリスクの大きさ

・山岳民族など自給的な生活を送る6200人の人々が移転を強いられる。

・過去のダムプロジェクトでは十分な補償がされないまま。

・パイロット村では、市場のない商品作物を作らされるなどすでに問題が生じている。

・発電後の水が転流されるセバンファイ川では、増水により川沿いの10数万人が影響を受ける。

○アジア象など希少な野生動物の生息地の破壊

○タイにとって不必要な電力

・タイでは現在35%が余剰電力

・不要でコストの高い電力を買うことで再生可能エネルギーの促進が妨げられる。

これらの問題に対し、世界銀行の「非自発的な移転に関する政策」や「先住民族に関する政策」、「環境アセスメントに関する政策」、「自然環境に関する政策」、「森林に関する政策」などに違反している可能性がある。

また、世界銀行は自ら、ナムトゥン2ダム計画の「意思決定枠組み」という文書のなかで、3つの柱(@貧困削減と環境保護を目的とした開発枠組み、A技術的・経済的・財政的な健全性と世界銀行の環境・社会配慮政策の遵守、B国際的な援助国・機関や国内外の市民社会からの十分な理解と幅広い支持)を定め、それが満たされなければプロジェクトを支援するかどうかの意思決定を理事会に提案しないとしていたが、これらが一つとして満たされないまま、今回の決定が行われた。

これまで、世界銀行は同事業が大きなリスクを抱えていること、プロジェクトを管理するためのラオス政府のキャパシティは不十分であることを認めてきた。そのようなプロジェクトは当然中止すべきであるにもかかわらず、世界銀行が同事業への支援を決定したことは、全く理解することができない判断である。

しかし、世界銀行がラオス政府のガバナンスの弱さを認めたうえで、リスクの高いプロジェクトを承認したからには、これまでの世界銀行のプロジェクトのように、プロジェクト開始後に生じる環境・社会・経済影響の責任を現地政府や事業者に押し付けることがあってはならず、世界銀行自身の責任が問われることになる。

同事業への支援決定を皮切りに、世界銀行が「貧困削減」の名のもとに再び大型インフラ開発支援に傾き、それによって多くの貧困が作り出されることが懸念される。

◆ナムトゥン2ダムとは・・・

ラオスのナムトゥン2ダム計画は、日本が第2の出資国となっている世界銀行が支援をするかどうかで、国際的に最も論議を呼んでいる大規模インフラ事業です。

約6000人の立ち退き住民を含め10万人を超える農村住民に被害をもたらし、アジア象など貴重な野生動物の生息地を破壊します。総事業費は、ラオスのGDPの70パーセントに相当する13億ドルで、そのうち70パーセント以上を海外からの借金でまかなうことになります。計画の実現は資金が集まるかどうかにかかっており、そのカギを握っているのが世界銀行の支援です。もし世界銀行が協力を約束すれ

ば、それが「お墨付き」となって民間銀行団の金利の高い融資が、重債務貧困国のラオスに流れ込むでしょう。経済的にもリスクが高いプロジェクトなのです。

NT2ダム・キャンペーン

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