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ベトナム・セサン川ダム>行き場のない被害住民

メコン河開発メールニュース 2004年5月11日

3月25日にホーチミン市で開かれたメコン河委員会(MRC)合同委員会に関連して、カンボジア東北部で被害を引き起こしているベトナムのセサン川ダム開発について、カンボジアの英字新聞プノンペンポストが記事を書きました。

以下、メコン・ウォッチ(プノンペン)の杉田玲奈の解説と翻訳です。

解説

メコン河の支流であるセサン川上流においてベトナムが建設したヤリ滝ダムは、2000年の操業開始から今まで下流のカンボジア北東部で放流によって約30人の死者を出し、魚の減少や水質の悪化といった深刻な環境・社会影響を引き起こしています。

また、ヤリ滝ダム以外にも現在3つのダム(セサン3、プレイクロング、セサン3A)の建設が、環境影響評価の完成を待たずにベトナム政府により開始されており、さらなる被害が予想されます。セサン川のダム建設は他に2つ(セサン4、Upper Kontum)、セサン川の支流であるスレポック川には3つ(スレポック3、スレポック4、Buon Kuop)予定されています。

被害住民と現地のNGOは、これまで何度となくカンボジア政府に懸念を伝え、ベトナム政府が対策を実施し、被害に対する補償を行うように交渉することをカンボジア政府に要望してきました。しかし、カンボジア政府は、ダムの影響についてベトナムを追求することに全く消極的であるばかりか、ベトナムと共同で4億ドルの発電ダムをカンボジア側のセサン川に建設することを予定しています。

一方、水資源の使用に関して各国間のコーディネーションを強化する取り組みを推進し、会議ではダムの被害住民を支持したMRCですが、各国の意思決定に対するMRCの実質的な影響力のなさを暗示する発言をプノンペンポストの記事が伝えています。

下流への影響について聞く耳を持たないベトナム政府と、自らもダム建設の利益にあずかろうとするカンボジア政府、調停の役割を果たせないMRC。さらなる被害が予測される中、住民の訴えは行き場がない状態です。


セサン川のダム建設計画がメコン河委員会(MRC)の取り組みを促す

Richard Woodd記者

プノンペンポスト Volume 13, Number 7

2004年3月26日-4月8日号

セコン川の水力発電ダム開発により危機にさらされたコミュニティを助けるため、体制を強化するとメコン河委員会(MRC)が発言した。

メコン河委員会(MRC)の合同委員会(*訳注1)は、昨日と今日ホーチミン市で会合を持ち、(MRCの)合意(agreement)に添った形で「水資源利用のモニタリングについての内部調整機能を強化する」取り組みについて議論した。

昨年11月、河川開発に際する事前協議と合意形成についての手続きに、メコン河下流の4か国(カンボジア、ラオス、ベトナム、タイ)を代表するMRC理事会(Council、*訳注1)が合意するという革新的な出来事があった。

MRCは、特にセサン川流域であるラタナキリ県の住民の懸念を支持すると表明した。セサン川にはカンボジア、ベトナム政府が共同で4億ドルの水力発電ダムを建設する計画がある。

ベトナム電力公社が建設したヤリ滝ダムをはじめとするいくつかのダムによる予告なしの放水により、下流の住民は深刻な被害をこうむっていると『セサン保護ネットワーク』は言う。

セサン保護ネットワークを代表してNGOフォーラムが発表した3月16日付けの声明によると、2000年に始まった720MWの発電能力を持つヤリ滝ダムの操業は、30人以上の死者、不規則な放水による異常な洪水、魚の減少、水質悪化を起こしたとセサン川の周辺住民は報告している。

2000年の操業以降の死者や被害に対する補償の約束は実現されていない。

「ヤリ滝ダムのケースにおいて、我々は適正な扱いを受けていない。ベトナム政府と(最新の)ダム建設計画について話し合う前に、(カンボジア)政府が我々と協議を行わなかったことについて非常に憤慨している。政府の計画について知らせて欲しい、意見を言いたい」、ラタナキリ県アンドングメア郡の住民、クラン・レアム氏はそう語る。

「政府の計画について知らせて欲しいし、意見を言いたい」レアム氏は言う。

約90の村、5万5千人がセサン川近辺に住んでいる。セサン川はメコン河の一大支流であり、ベトナム中部の高地からカンボジア北東部のラタナキリ県、ストゥントレン県を流れる。

「2000年の特定の放流に関連したいくつかの死亡事故があったこと、水質の変化による死者についての公的な確認は行われていないこと、水質の重大な変化があったという調査結果はないこと」、それがベトナム政府の認識だと、ポスト紙の質問にMRCは答えた。

ベトナム政府とカンボジア政府の電力担当者は2月、新規の200MWのダム建設についての実行可能性調査を3つの場所で行った結果、セサン川の場所が最適であると発表した。

ベトナムーラオ共同株式投資・開発会社は、メコン河の一大支流のひとつでありセサン川に合流するセコン川に最大5つの発電ダムの建設を提案している。

中国の大規模ダムの影響を受けてメコン河の今年の水位は低く、漁業が影響を受けている。

スウェーデン政府と共同でヤリ滝ダムの送電線を融資した世界銀行は、去年、ベトナム政府がヤリ滝ダムの被害を査定する「緊急な取り組み」を行っているとNGOに保証した。

しかし、NGOフォーラムによると、数年前に約束された環境影響評価も始まってさえもいないという。

「昨年末まで、カンボジア政府はMRCを通じてヤリ滝ダムによる惨害を緩和するようベトナム政府に働きかけてきたが、今までの成果は、将来の調査についての協力の約束とセサン川のダムの放水の事前通告だけだ」とNGOフォーラムの声明は述べている。

「セサン問題についての責任はカンボジア国内メコン委員会から、新しくできた国境を越える『ダムと水路の調整に関する常設委員会』に移されたことを、今年始めにプノンペンで活動する団体は知らされた。この新委員会は、フンセン首相の承認を待っていて、まだ活動を行っていないと聞いている」とNGOフォーラムは言う。

セサンの状況は(MRCの)加盟国政府が合意した「不意打ちなし」協議の約束を笑いものにするものではないか、とポスト紙がMRCにほのめかしたところ、MRCの返答は次のようであった。「MRCは政府を超える権限を持たない。MRCはNGOではなく、加盟国政府の機関である。MRCは加盟国政府を通して、流域の人々のために働いているのだ」

「この件(セサン)に関する政策提言は、加盟国政府に対して長年行ってきたが、決断は主権国家である政府が行うものだ。補償の要求も同様に、カンボジア・ベトナム間に設立された協力の枠組みの中で行われなければならない。そのような要求は今日まで行われていない」とMRCは言う。

ベトナム・カンボジアが共同したダム計画への融資は、長年大規模ダム開発を推進者してきた世界銀行やアジア開発銀行が行う(*訳注2)。


(*訳注1)メコン河委員会の加盟4か国よる機関には、閣僚級による最高意思決定機関としての理事会(Council)と局長級の代表者による合同委員会(JointCommittee)があり、その技術的・管理的なサポートをするのが事務局となっている。

(*訳注2)これはプノンペンポスト紙の推測であり、世界銀行・アジア開発銀行による公的な計画は確認されていない。

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