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ベトナム・ソンラーダム>住民の立ち退き始まる
メコン河開発メールニュース 2003年5月29日

最大出力2400メガワット、立ち退き住民9万人と、完成すれば東南アジア最大となるベトナム・ソンラーダムの住民移転が開始されました。以下、NGOの世界熱帯雨林運動(WRM)の会報誌の記事を、ボランティアの井山美穂さんが翻訳してくれたものです。

巨大なソンラーダムを進めるためにベトナム政府が住民移転を開始

世界熱帯雨林運動(World Rainforest Movement)会報

2003年4月号

ベトナム北西部の山岳地帯では、ソンラー省人民委員会が巨大なソンラーダム建設に伴い、強制的に立ち退きを迫られている9万1000人のうち、まず52人を移住させた。3月、関係当局は白タイ族の8世帯を故郷のムオン・ラー郡から200キロ離れた新しい土地へ移住させた。ダムの貯水池により水没してしまう275平方キロには、少なくとも13の先住民族が生活している。

国民議会は2002年12月、2400メガワットのソンラーダムにゴーサインを出した。ダー川に現在あるホアビンダムから、200キロ上流に建設される予定のこのダムは、ベトナム最大で、国の歴史始まって以来、最大規模の住民立ち退きを求めることになる。

事業費は25億ドルと見積もられているが、ベトナム政府はそのうちの少なくとも7億5000万ドルを、国際的な資金調達を当てにしている。ベトナム電力公社は、2005年に建設を開始し、2012年には発電を始めたいと期待している。

貯水池により水没してしまう3000ヘクタールの森林に加え、ダムはベトナム北西部の森林にも多大な影響を及ぼすものである。ライチャウ省の大部分の水田が貯水池により浸水してしまう。農業のために土地を提供し、ダー川の峡谷から立ち退いた住民のために村の土地を提供するためには、貯水池周囲の丘斜面の森林は、すべて伐採されなければならない。ダム建設には大量の材木が必要である。下流でのホアビンダム建設中には、ダー川の集水域からの国の木材生産量の実に70%がダム建設地へと送られたのだ。

ソンラ事業はベトナム国民議会で集中的に論議された。国民議会は2000年5月、住民移住と補償計画についての更なる情報や、ダムの規模縮小化の実施可能性を求めた。

しかしながら、事業準備は続行された。ベトナム政府は2001年8月、住民移転のために6億6000万ドルを承認した。ライチャウ郡への訪問の際、Nguyen Cong Tan副首相は、省当局者に「2005年までに移転作業を終えるために、住民の移転を始めるように」と伝えた。

国民議会は2002年3月、ダムにゴーサインを出すかどうかの決定を年末まで延期した。国民議会のMai Thuc Lan副議長は、ベトナム新聞トゥオイ・チェに「ソンラー水力発電事業の準備は注意深く行われていない」と語った。

提案されたこのダムは30年以上も調査が行われてきた。ソンラーダムの調査を生み出すための契約によって、いくつもの国際的なコンサルタント会社が利益を得てきた。その中には、モスクワ水力発電・産業研究所、日本の(株)電源開発(原文はElectricity and Power Distribution Companyとなっているが、Electric Power Development Companyの間違いだと思われる)、モスクワのDesigning Research and Production Shareholding社、それにスウェーデンのSWECO社が含まれる。

世界銀行はソンラープロジェクトに資金援助をするつもりはないと言っているが、このダムの調査には資金を出してきた。1995年4月の世界銀行のスタッフ事前評価報告書は、世界銀行が「ソンラー水力発電プロジェクトのエンジニアリング調査」に資金援助した」と記している。4年後、ベトナムのエネルギーセクターに関する世界銀行の調査は、「ソンラー水力発電所は有望だ」と論じている。

SWECOとアメリカの土建会社であるHarzaの合弁会社は1999年、ソンラーダム建設計画を更新するため、ベトナム政府から130万ドルの契約を結ぶことに成功した。

Montgomery Watson Harza社は(Harzaは2001年に水道会社Montgomery Watson社と合併して以来この社名で知られる)、このダム建設のためのプロジェクト管理契約を追い求めていると報じられている。Montgomery Watson Harza社はまた、ラオスのナムトゥン2ダム建設を願っているフランス電力公社との合弁会社にも加わっている。

Montgomery Watson Harza幹部は2001年、ソンラーに対する国民議会の時間のかかる決定プロセスに苛立ったのか、Engineering News Record紙に、ベトナムは「世界最悪だ」と語り、「ベトナムを中央集権的な統制を緩めなければならなくなるだろう」と付け加えた。

ソンラーダムに関する最大の懸念の1つは、地震多発地帯に位置しているという事実である。2001年2月と3月、地震がライチャウ省とソンラー省を襲った。この地震では死者こそ出なかったものの、建物や道路の損害額は1400万ドルに上ると見積もられている。

ダー川に計画されているソンラダム下流のホアビンダムは、ソビエトからの財政援助と技術支援により建設された。ソビエトの専門家は、巨大な洪水がホアビンダムの崩壊を招くだろうと警告し、上流に第二のダムを建設することを勧めた。リスクは計り知れないものである。もし、ソンラーダムが地震により崩壊すれば、ダー川下流へ向かって巨大な洪水の波が押し寄せ、まずホアビンダムを脅かし、次に約300キロ離れたハノイにも脅威を及ぼしかねない。

ベトナム電力公社のDao Van Hung総裁は、地震地帯にダムを建設することについては何も心配していないようである。「ベトナムの声」のラジオ放送は、彼が2002年11月の国民議会で次のように発言したと報じている、「現在、100〜350メートルの高さのダムが300以上もある。ソンラー水力発電所の高さはわずか115メートルである。その事実を鑑みると、ベトナムの労働者や科学者たちが、最大限の安全を確保するために、ダムにとって最適な建設構造や建設資材の量を算定する能力は、十二分にあると思われる」。

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