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タイ汚水処理>環境大臣、調査の開始とともに現地も訪問
メコン河開発メールニュース2003年1月15日

このメールニュースでも度々お伝えしているタイのサムットプラカン汚水処理プロジェクトについて、急な動きが出てきています。

 これまで汚職や環境影響について問題にされてきたこのプロジェクトについて、担当大臣であるパパット環境大臣は、12日に独自の調査を行うことを発表し、13日には唐突に現地訪問を行いました。一方で、タクシン首相はプロジェクトの建設続行に言及しています。

 以下、バンコクの土井からの報告です。


1月12日、建設計画管轄官庁トップのパパット大臣が、「汚職」、「契約締結」、「プロジェクトの妥当性」の三つの側面から調査を行なうと発表しました。さらに翌13日には急遽建設現場のクロンダン区を訪れ計画に反対する住民からも話を聞きました。

実はパパット大臣があらたな調査を始めることは関係者の間では周知で、現場訪問についても踏み込んだ発言をしたわけではありません。しかし、一連の出来事は複数の新聞で写真入トップ記事として扱われ、現地訪問の様子はテレビでも放映されました。ラジオでも意見聴取番組が編成されるなど、世論喚起には大いに貢献したと思います。

肝心の計画の行く末ですが、派手な見出しの報道から受ける第一印象とは逆に予断を許しません。すでにタクシン・チナワット首相が、「汚職に手をそめた者は処罰するが、これまで投じた資金を無駄にしないために計画は完成させる」と発言していることが複数のメディアで伝えられています。パパット大臣も「サムットプラカン県に汚水処理施設は必要」と微妙な発言をしています。

ここしばらく焦点となってきた汚職の件に加えて、環境と生業への悪影響、汚水処理技術の妥当性、長期的な採算性、運転資金の目処など、広い視野に立ってこの計画を再検討する必要を痛感します。以下、パパット大臣の調査開始宣言についての現地報道をマネージャー紙(タイ語、木口要約)、バンコクポスト紙(英語、土井翻訳)でご紹介します。

パパット、クロンダンの詐欺師を狩る調査3チームを結成

マネージャー紙2003年1月13日(要約)

パパット環境・天然資源省大臣は、クロンダン区での計画について汚職、契約締結、プロジェクトの妥当性の3つの側面から調査することを表明した。

マネージャー紙では1998年の計画開始からこの問題を追及しているが、今月12日になって最新の動きが明らかとなった。パパット環境・天然資源省大臣は11日、クロンダンでの汚水処理施設建設について、今後の対応を記者会見で明らかにした。発表内容は以下の通りである。

  1. 情報収集したところによると汚職があったことがほぼ明らか。関係した人間を洗い出し法的に処罰する。
  2. 政府が不当な違約金を支払わされないように契約内容を調査する委員会を設置する。
  3. 計画を継続することが妥当である調査をする中立委員会を設置する。

大臣は、一・二週間のうちに上記の委員会が設置されるだろうとの見通しを示した。早急に調査を行うが、詳細を発表するのは証拠がそろってからだという。また、13日には現地を視察し、将来の決断の参考にするとしている。

この建設計画はタイ政府の公害管理局(PCD)の予算とアジア開発銀行(ADB)からの融資で行われている。パパット大臣はこの三ヶ月、住民の声や首相の命を受け精力的にこの件を調査してきたという。

計画は総額で229億バーツがかかると見られている。パパット大臣は「政府の汚職制圧政策に従い計画の透明性を確保し各方面に対し公正に対応する」と述べている。「タイ版FBI」、不正事件に踏み込む

契約と違反に関する調査を委託

バンコクポスト2003年1月13日

Anchalee Kongrut

「タイのFBI」と呼ばれる法務省の特別調査局(SID)が、論議を呼んでいるサムットプラカン県の汚水処理計画(総工費230億バーツ=約700億円)の調査を委託されることになりそうだ。

国家汚職防止委員会がクロンダン区で行なわれているこの計画を調査しており、タイ開発調査研究所はすでにその報告でこの計画が汚職まみれだと指摘している。

昨日(1月12日)パパット・パンヤチャートラック環境・天然資源大臣とPlodprasopSuraswadi秘書官は、Noppadol SomboonsapSID長官(陸軍大将)と会見を行なった。環境・天然資源省がSIDから調査結果を受け取り、その情報を用いて刑事訴訟を起す予定であるという。

不正に関与した人物は共謀して複雑な仕組みを通すことで建設計画の費用を水増しし、おそらく東南アジア最大となる汚水処理施設を作り上げた。この人物の中には公害管理局の幹部や政治家も含まれている。

計画は1995年にチュアン・リークパイ政権(当時)の下で、科学大臣が推進したものである。

この計画は当初より汚職まみれとのそしりを受けてきた。また、地元住民からも計画反対の声があがっているが、これは排出された処理水が沿岸の環境に悪影響を与えるとの懸念によるものである。

タイ開発調査研究所によれば、政治家が計画の全ての段階で甘い汁を吸った。不正の兆候は入札段階にすでに現れた。

ある企業連合一社のみが入札を行なうに至った。結局この企業連合が工事を受注するが、入札規則では入札がやり直されるはずであった。

この企業連合に属する企業は、閣僚経験者とつながっている。

建設用地は標準を10億バーツ(約30億円)以上も上回る価格で購入された。この用地はチャワリット・ヨンチャイユット政権(当時)の複数の閣僚が所有していた。

この計画の技師をつとめたことのある男性が政府に請願書を提出し、材料と仕様の変更で費用が当初計画の12億バーツから23億バーツに跳ね上がったと主張している。元技師の主張については、上院の委員会が別途の調査を行なっている。

一方パパット大臣は本日(1月13日)クロンダン区を訪問して情報を収集すると語った。

またパパット大臣によると、高度化する犯罪に対処するべく最近編成されたSIDが来月期限の切れる工事契約の処遇について環境・天然資源省をサポートする。

昨日(1月12日)の時点で工事は94%完成し、工事を請け負ったNPVSKG社にすでに20億バーツが支払われた。NPVSKGは、North West Waterインターナショナル、Prayoonvisavaエンジニアリング、Vichitbhan建設、Si Sang Karn Yotah(1979)、Krung Thonエンジニア・アンド・ゲートウェイ開発からなる企業連合である。

ある筋の情報によると、政府はかなり以前に建設計画を中止にすることもできたが、この企業連合との契約に義務が発生した。処理施設はターン・キー契約によって建設が行なわれている。

2001年に地元住民が建設現場を封鎖し工事が数日間中断した際に、公害管理局(PCD)が企業に対して一日につき百万バーツの損害賠償金を支払わざるを得なかった経緯がある。

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