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パクムンダム>水門開放で大型漁具復活

メコン河開発メールニュース 2002年7月31日


メコン河支流のパクムンダム(世界銀行融資)が住民の長年の抗議行動によって水門が開放されて1年2か月が過ぎました。魚の回復とともに伝統的な大型漁具が少しずつ復活しています。メコン・ウォッチの木口由香が寄稿したものを、バンコク週報誌の承諾を得てお送りします。


東北タイ  ムン川:ダム水門開放で大型漁具が復活

バンコク週報 総合 6月28日 1016号

 ムン川は東北タイを流れるメコン川の支流の一つ。

 この川がメコンに注ぐまでの下流約三十キロには多くの早瀬(岩瀬)があり、川底の地形は非常に複雑で、魚の成育に向いているという。実際、メコン川から周期的に多くの種類の魚がムン川に回遊していることが確認されている。地域では漁で生計をたてる人々が多く、第二次世界大戦後しばらく、ベトナムから漁業を目的とした移住者もあったそうである。魚の宝庫ということは、それに対する漁の技術も豊かだったということ。百種を超えると言われている魚類に対し、様々な漁具が使われていた。

 しかし一九九四年に河口を塞ぐ形でパクムンダムが建設されると、川の状態は一変した。魚の回遊が妨げられたため、地域の伝統漁業は壊滅状態となり、地元の漁師からダム建設後も激しい反対運動が起きている。

 昨年政府は、住民からの強い要請を受けダムの水門を開き、環境と社会への影響調査を行うことを決定した。二〇〇一年六月からの水門開放は現在も続いている。これにより一部の魚の回遊も見られるようになり、住民も漁を再開した。

 この地域には、群で回遊するプラー・ヨンと呼ばれる魚を取るために発達したトゥム・ヤイ(またはトゥム・プラー・ヨン)という竹製の漁具がある。全長は五〜七メートル、最盛期には一度に百キログラム近いプラー・ヨンが取れたという。

 ダム上流のピブンマンサハン郡コータイ村はこの漁で有名だったが、ダム建設後は漁ができずホテルなどの装飾用として細々とトゥム・ヤイが作られていた。しかし、ダムの水門開放により、先月からこの漁具を使い始める人が出ている。最盛期には百個以上あったというが、今年再開したのは十世帯ほどだ。

 漁師のスントンさんは、昨年から回遊魚が戻っているので、トゥム漁を再開した一人だ。朝の四時ごろには家を出て、仕掛けたトゥム・ヤイを引き上げる。

 「魚は利口です。漁具におかしな匂いがついていたりすると絶対に中に入りません。昔、プラー・ヨンがとれる時期は、この漁一本でした。でもダムが出来てから、全く漁ができませでした」と話す。準備をする間がなかったので、トゥム・ヤイは近所の人から購入したという。

 この漁具の素材は竹である。見たところ単純な作りだが、細かいところに工夫がなされているという話だった。魚が入る口が一番熟練を要するので、経験の浅い人は上手な人からこの部分だけ買い取るという。

 仕掛けるときは、川の中に立てられた竹の支柱に固定される。水深は約十メートル、上部の口は水面から出す。餌は米を煮詰めたものに糠(ぬか)と動物の脂などを混ぜたエキスも加える。小さな船に漁具を引き上げると、漁具の方が船より大きい。漁師たちは器用に船を操って、トゥム・ヤイを陸に揚げる。

 プラー・ヨンは仲間が入っていると、余計に集まってくる習性があるという。現在の漁獲高は一日三キロほどだというが、スントンさんはダムが出来る前のように、数十キロの魚が入る日を心待ちにしている。トゥム・ヤイは川の流れが激しくなる八月には漁期を終える。

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