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ラオス森林>ADBのユーカリ植林

メコン河開発メールサービス 2001年4月3日


World Rainforest Movement(2001年2月、第43号)の記事を紹介します。ユーカリ植林による問題は、タイなどで長年住民にとって大きなイシューとなってきましたが、次第に隣の森の国ラオスでも深刻な問題になっているようです。

以下は、昨年メコン・ウォッチが実施したタイへのスタディツアーに参加した大嶋さん(上智大学大学院生)が翻訳してくれたものです。


アジア開発銀行の融資がラオスの森林を破壊する

ラオス政府、国際援助機関、森林コンサルタントたちは大規模な植林事業がラオスの森林破壊において緊急に対処しなければならない問題であると口をそろえて主張している。ところが、アジア開発銀行(ADB)が行った1120万$の融資による“商業林植林”プロジェクトは、広範な森林破壊を招き、単一作物のプランテーションへと置き換わる結果となっている。

この計画の下で利益を享受できるのは、BGAラオス森林会社のような私企業である。実際にBGAはカンムアン県とボーリカムサイ県で5万ヘクタールに及ぶユーカリの植林事業を行っている。ユーカリは木材チップとして、ベトナムVinh省Cuo La港経由で日本へ輸出される予定となっている。

BGAはラオス政府、日本政府およびADBから直接・間接に多額の補助金を受けてきており、こうした外部からの援助無しには利益を生み出せない状況である。このようにして、彼らの事業は森林破壊を促進している。

ラオス政府は、5%の株式を取得することと引き換えに、プランテーション用の土地を、この3000万ドル50年のプロジェクトのために譲渡した。政府はこのスキームにおいて、さらに株式の10%を購入している。ラオスの森林法では、このような商業林には土地税の免除が認められており、BGAが支払う税金は5%の所得税だけである。

政府はBGAが「土地移譲プログラム」(ベンディン)を実施することを許可して

おり、同社は移譲された土地においてプランテーションを行う計画である。BGAの代表者は「BGAは土地移譲を行なった。これまでに10か村が地図上に書かれた」とコメントし、村人は自分たちの土地にプランテーションが行なわれることを嫌がっているのではないかという質問に対しても、「いいえ。我々はプロジェクトの説明をしたのだから、誰もノーとは言わなかった」と答えた。

BGAを設立したのは、ゼネラル・ファイナンス社(タイ)、GF・ブライアリ(ゼネラル・ファイナンス社とブライアリ投資社が双方50%ずつ出資して立ち上げた企業。ブライアリはニュージーランドで設立されたが、現在はバミューダに登記があり、本社はシンガポール)、そしてアジアテック(タイのプランテーション会社)の3社である。さらに、GF・ブライアリはアジアテックの株式を22%所有していた。

しかし、1997年のアジア通貨危機以降、アジアテックはプロジェクトから撤退し、ゼネラル・ファイナンス社は大量の不良債権を抱えタイ政府によってつぶされた56の金融会社の1つとなった。タイ中央銀行はゼネラル・ファイナンス社の6人の取締役を、適切な担保を取らずに融資を行ったとして、背任容疑で告発した。現在のところ、BGAへの出資を続けているのはラオス政府とブライアリのみである。

ゼネラル・ファイナンス社の社長である、ナロンチャイ・アカラセーニー氏は、BGA設立に重要な役割を果たした。ナロンチャイ氏はタイ国内や地域の様々な企業の経営を手がけたのみならず、過去何人かの首相に助言を与えた事もある。ナロンチャイ氏自身1997年に商業大臣に就任している。

1997年5月、ナロンチャイ氏は、プラチュアブ・チヤサルン外相と共に3日間の予定でベトナムを公式訪問している。バンコクポスト紙が伝えるところによると、この時タイ側は国道8,9号線に大きな関心を示したという。8号線はタイ・ナコンパノム県からラオスのカンムアン県を通って、ベトナムの港町であるビン市へと通じており、BGAが製造している木材チップ輸出において重要な役割を果たすからであった。日本政府が国道8号線の再建設に資金を拠出した。

ナロンチャイ氏は、訪越中に、貿易問題にも触れ、官僚的な煩雑な手続きによって引き起こされている、ベトナム・ラオス国境における輸出の遅滞を指摘した。ADBは税関での所要時間を低減する方法を探る調査・ワークショップなどを重ね、それを受けてタイ、ベトナム、ラオスの3カ国は1999年11月に、3カ国の流通に関する規制を撤廃する協定に合意するに至ったのである。

BGAが木材チップ工場を完成させれば、トゥン・ヒンブンダムから210メガワット近くの電力が供給される事となっている。ヒンブンダムは、ADBから6000万$の融資を受けて、1998年に完成したダムである。このダムの完成により、川の生態系は破壊され、周辺の漁民たちの生活に大きな悪影響を及ぼした。BGAは、1999年にADBの“商業林プランテーション”プロジェクトから融資を受け、昨年一年間の同社の支出のうち70%がADBプロジェクトからの譲許的貸し付けによってまかなわれていた。

BGAは、650ヘクタールの土地に植林を行っただけであるが、その周辺の住民たちは自らの焼き畑や森林をユーカリプランテーションへと変えてられてしまった。ラオカー村では、BGAはユーカリ植林に先立って自然林を伐採した。ラオルアン村の村人は、植林により住民たちは茸などの林産資源を得るために遠くまで歩かなければならず、ねずみや鳥などの野生動物はプランテーションから離れた残存する森林へと移動していったという。BGAはユーカリ林を単一林として維持するために、年に3回、ユーカリの木の列の間にある再生林に対して除草剤の散布を行っている。

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