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ラオス森林>世銀プログラム中止

メコン河開発メールサービス 2001年3月24日

ラオスやカンボジアでは世界銀行の森林関連のプロジェクトがホットなイシューになっています。少し古い話ですが、昨年ラオスで、世界銀行が鳴り物入りで進めていた村中心の森林管理プログラムを中止しました。その前後に、ラオス政府の中で森林セクター改革に熱心だった中心的職員の左遷などもあり、現在ラオスでは再び伐採問題が深刻化しようとしています。

以下は世界銀行のプログラムが中止されたことについて、昨年12月にWorld Rainforest Movementが出している機関誌Bulletin No 41に掲載された記事を翻訳したものです。著者はタイの森林問題に10年以上関わっているノエル・ラジェッシュ氏です。


ラオスが世界銀行の森林プログラムを中止

ラオス政府は「森林管理保全プログラム(FOMACOP)」を5年間のフェーズののちに中止した。理由はプログラムからの伐採収入の管理をめぐるラオス政府と世界銀行を含む外部者の間の困難にある。

ラオス政府が「持続可能な森林管理」を進めるということで始められたFOMACOPは、10〜15年のプログラムとして計画され、最初のフェーズが1995年1月に始まり2000年9月に終了した。FOMACOPには、森林管理と生物多様性保全という2つのサブプログラムがあった。森林管理プログラムは、サバナケート県とカンムアン県で、2万人の住民と14万5千haの土地と森林を含む60村の「村落林業」からなっている。

FOMACOPは総予算が2030万ドルで始められ、そのうち830万ドルが世界銀行からの融資、560万ドルがフィンランド政府からの技術協力、500万ドルが地球環境ファシリティからの無償資金、それにラオス政府が100万ドルを負担した。森林局と郡の森林事務所によって実施され、FOMACOPのコンサルタントは、フィンランドのジャコペリ(Jaakko Poyry)社、ケアインターナショナル(NGO)、それにラオスのブラパ社だった。

このプログラムの主要な特徴の1つは、「村落林業協会(VFA)」を設立することである。それは、400〜600haの規模の「村落森林管理地域」の伐採を含む、村落林業に関する地域コミュニティの研修から成っている。森林はいまも国の所有下にある一方で、プログラム地域の村人たちは伐採権料(ロイヤリティ)と他の税金を支払えば、伐採からの収入を得る。

プログラムが困難に陥ったのは2000年の初頭。世界銀行の評価ミッションが2000年2月5日付けの「ミッション援助覚書」の中で、「投資計画に付随して、プロジェクト設計は政策的枠組みの大きな改革を期待していた。これらには材木の輸出平価や森林管理を実施する規則の発効を世界銀行が満足いくように確実に行なうために、セクター立法や、木材についての市場コントロールの規制緩和が含まれていた。こうした手段の遵守はゆっくりで部分的だった」

「タイムラインが示しているのは、相変わらずの政策変更のパターンや不完全で一貫性のない方向性、VFAによる管理や商業行為への行き過ぎた介入である・・・。こうした疑いは、政府によって課された木材販売手続きの力によって失った収入に関するミッションの評価と一致している。政府が得損なった収入はおよそ80万ドルにのぼり、VFAの損失もおよそ70万ドルになると見積もられている」

「これだけの規模の損失は正当化できない。こうしたことから連想されるのは、経済やプロジェクトによって想定された受益者に重大な犠牲を強いて、優遇された地元の木材購買者に特恵的な扱いをしていることである」

援助覚書はまた、「村落林業モデルは・・・持続可能な貧困削減と政府の収入増加に貢献する大きな可能性を持っている。この可能性が無視されたという見通しは、深く心配されることであり、世界銀行のマネージメントとフィンランドの外務省を伴ったミッションによって取り上げられるだろう」。

FOMACOPの元チーフ技術アドバイザーだったMarko Katila氏は、村落林業管理において、「村人たちは丸太を売ることができ、他の人々同様に税金を払うことができる。村人たちは、地域の開発目的のためのみにバランスを保つことができるし、将来の保全や管理の試みへの資金供与もできる。平均して、それぞれの村は年間3000ドルを受け取っている。これは多くないと聞こえるかもしれないが、村人たちにとってはかなりな巨額である」と語った。

ラオス政府がプログラムを中止した理由について、Katila氏は「主な問題は政策レベルにあった。FOMACOPは多くの方法でラオスにおいて、コミュニティフォレストリーの領域のプロジェクトを開拓してきた。多くの政府林務官や産業界の人々にとって、コミュニティ/村落林業という考えは、非常に新しかったため、それを受け入れるスピードが非常に遅かった。それはある意味で理解できることである。なぜなら伝統的に林業とはラオスにおいては、国家主導、産業中心だったからである」と語った。

「また、FOMACOPはパイロットプロジェクトだったので、たぶん、たった1つのプロジェクトがそんなに迅速にものごとを変えることを期待するのが現実的ではないのかもしれない。しかしながら、実際には、あるグループが林業を今まで通りのビジネスとして営み続けたいと思ってきたわけで、もちろんそれはプロジェクト地域において、例えば丸太の販売の分野で、問題を引き起こしている。1つの問題は、ラオスが未だに村落林業や森林資源に関する村人の権利と義務について認識した明確な政策と法的な枠組みを持っていないということである」

このプログラムは6年間の第1フェーズにおいて、予定していた830万ドルの融資のうち、わずか180万ドルしか使わず、ラオス政府は残ったお金を世界銀行に返還した。プログラムは止まっているが、ラオスの森林管理保全プロジェクトの前の代表だったBuahong Phantanusi氏によれば、フィンランド政府は、FOMACOPによって始まった仕事を継続するために、ラオス政府に対して1万8千ドルの無償資金を供与することを申し出た、ということである。

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