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プラチュアップ・キリカン石炭火力発電所、企業側は建設推進へ

メコン河開発メールサービス 2000年11月17日


以下はタイ南部のプラチュアップキリカン県に建設が予定されているヒンクルット石炭火力発電所に関するニュースです。建設企業体であるユニオン・パワー・ディベロップメント社(UPDC)の3分の1を出資しているのが日本のトーメンで、このプロジェクトをリードしてきました。トーメンは当時の日本輸出入銀行(現在の国際協力銀行=JBIC)に投資金融の支援を申請し、旧輸銀もタイ政府との契約直前まで行っていました。現地住民グループは、発電所による大気汚染、温排水や埠頭の建設によるが漁業被害、観光産業への影響などに危機感を募らせ、1998年後半に文字通り身をとして抗議運動を展開したため、タイ政府自身が環境影響調査のやり直しや公聴会の開催を検討し、JBICは現在このプロジェクトへの支援を「白紙に戻した」と述べています。しかし現実には公聴会と言っても、賛成派だけしか出席せず、今もなお現地住民の中に強い反対があり、影響が大きいと見られるクルット市はプロジェクトへの反対声明を出しています。

タイは現在議会が解散し、来年早々の選挙に向かっていますが、この解散の直前に開かれた閣議で突然この発電所のことが取り上げられ、その閣議でプロジェクトの推進が確認されたという報道がなされました。現地の住民グループは、今回の閣議を受けてJBICがトーメンに対する融資を再び前向きに検討することを危惧しています。

このプロジェクトについては、すでに参議院の堂本暁子議員や加藤修一議員が環境影響と住民参加に関連して国会質問をされており、私たちとしてもJBICの動きを注意深く見守っています。以下は、タイ字新聞の中では信頼が置かれているプーヂャットカーン紙の記事をバンコクの木口由香さんが翻訳したものです。


「ユニオン」ヒンクルット発電所建設を進める
環境政策計画局がEIA承認、許可証を督促

11月15日付け プーヂャットカーン(日刊マネージャー紙)

ユニオン・パワーデベロップメント社は環境政策計画局が環境影響調査(EIA)を承認されたので、ヒンクルット発電所建設を推進すると発表した。同社は住民の反対で以前の許可が差し戻されたため、工業局・港湾局から(建設)許可を再度申請している。

プラチュアップキリカン県のヒンクルット発電所計画の事業主であるユニオン・パワーデベロップメント社、経営広報責任者のナティ・シティプラサート氏は、同事業でのEIAを8月に補足修正した結果、環境政策計画局がEIAを承認したと明らかにした。

同社は、影響緩和策として漁業局から要請のあった、影響海洋漁民への漁業振興事業を当初の10年から25年に延長、反対住民から要請があった珊瑚への影響の緩和策を取り、海洋生物の生態への影響に対する補償金を限度額1億3900万バーツに引き上げたという。同社はまた、珊瑚への影響を避けるため、はしけの建設地を北に50メートルずらし、大気に放出するガス(サルフォール・ダイオキサイト?)を100%除去する装置をつけ、嵐を防ぐフェンスを2重から4重に、廃棄物として出る灰も、車両ではなくパイプで運搬することを明らかにした。

ナティ氏によると、10月10日にEIAは承認され、閣議は事業への理解を深めるための委員会設置を決定、現在、同社は6通の許可証が出るのを待っていることろだという。同社は電力を購入するタイ発電公社との協議の結果、2003年10月に第一回、2004年1月に第二回の売電を行う予定である。

ナティ氏は「反対により、一時的に工事がストップしたが、許可証が出た後はすぐ操業できる状態に持っていけると確信している。融資銀行も支援してくれている。住民の要求にも対処したので、理解が得られると信じている。フィンランドやアメリカの企業が撤退したが、新たな投資者はすぐ見つかるであろう」と語った。

しかしながら、反対住民の運動はまだ続いていく模様である。6日には住民リーダーのクルト村自然環境保護グループ代表チンタナー・ゲオカーオ氏は、200名の住民と共に、アティット・ウライラット科学技術大臣に反対の書簡を提出している。チンタナー氏は、テスコ社の行ったEIAが事実に反すると訴えている。彼女はEIAが承認されたのは、閣議に間に合わせるだけのためであると語った。

住民によれば、EIAの中ではクルト村の漁民が99世帯で漁船100隻となっているが、実際は500世帯300隻であり、他の地域の住民もこの海域で漁業を営んでいるという。また、このEIAは、地域住民による海洋天然資源の利用、全ての海洋生物の調査、フッ化物が事業期間25年の間に植物など生物へ与える影響、という3つの点を検討していないという。

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