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世界銀行のプロジェクトで去年260万人が非自発的移住

メコン河開発メールサービス 2000年10月2日

これは直接メコンウォッチの活動とは関係ありませんが、非常に興味深い記事でしたので、仮訳をしてみました。世銀プロジェクトによって、去年だけで260万人が非自発的な移住を余儀なくされ、その多くが中国であるというニュースです。以下、メコンウォッチ福田健治の翻訳です。


世界銀行のやり方は260万人を犠牲に

Source: FTEP - Financial Times

Sep 26, 2000 6:00

移住プロジェクトに関する文書が、世銀の政策とその世界の環境への影響に関する議論に火を注ぐであろう

By Stephen Fidler in Prague

世界銀行の文書によれば、去年、世界中で260万以上の人々が進行中の世銀のプロジェクトによって非自発的に移住させられた。未だ公開はされていないこの文書の登場は、今年前半の中国西部の貧困削減プロジェクトへの融資承認の是非をめぐる論争によって火がついた世銀の移住政策に関する議論に火を注ぐであろう。この融資によって、57000人の人々が―自発的にとは言われているが―移住することになると予想されていた。

昨年10月の報告書のために世銀がまとめた数字によれば、昨年10月に進行中だったプロジェクトの内223プロジェクトによって、68万世帯、260万人以上の人々が非自発的に移住することになった。このプロジェクトの大部分は世銀の分類での「東アジア太平洋地域」で実施され、そのほとんどは中国である。

昨年5月付けの同報告書の初期のドラフトでは、移住を伴なう全てのプロジェクトの内40%が「重大な環境への影響が起こりうる」とされ、その半分は世銀の「東アジア太平洋地域」で実施された。

残りの移住を含むプロジェクトのほとんどが「負の環境影響の可能性がある」というより低いカテゴリーに分類されていた。しかし、世銀当局によればアメリカ理事室のために用意されたというこの報告書の最終版では、この分類は削除された。世銀は、中国西部プロジェクトにおいて自身のセーフガード政策に従わなかったとして独立パネルから批判された。キャンペーン団体によってFinancial Timesの手に渡ったこの文書は、世銀の融資が現地住民に与える影響が今まで考えられてきた以上に大きいことを示している。

世銀は移住政策の失敗を認め、現在新たにより広範な「業務指令(OD)」が議論中である。さらに世銀は本部のワシントンにおいて「60 ストリング・コンプライアンス・オペレーション」(注:政策と業務が一致しているかどうかをチェックする)を設立した。これは、世銀自身の分権化及び顧客である政府を満足させようというより多くの努力を分権化することが、セーフガード政策の無視につながっているという批判に応える世銀の試みの一環である。最近世銀の社会開発局長に任命されたSteen Jorgenseは、世銀がガイドラインを十分に守ってこなかったことを認めた。

「中国西部プロジェクトが、(ガイドライン無視の)唯一の例でないという点について、批判が正当であることは明らかだ」と彼は述べた。「今、我々がやることになっていることを実行することを信頼されていなければ、議論を別のところへ動かす助けにはならない。問題は、我々が信頼されていないということだ」。

しかし彼は、主張されている非自発的移住の禁止という基準は、おそらく発展を阻害するとも言った。環境団体は、新しい遵守業務(コンプライアンス・オペレーション)の効果を疑問視している。

また、新移住政策の概要に対して批判的な人々もいる。この政策の最新ドラフトでは、移住によって土地を失う人に代替地を用意するという原則をもはや放棄している。ドイツの環境団体UrgewaldのディレクターであるHeffa Schükingは、世銀のプロジェクトによって家を追われる人の数が増えており、この問題は重要性を増していると語った。

彼女は、影響を受ける人の数が1983年には45万人だったのが、今や260万人にまで増えているという数字を引き合いに出した。世銀当局は、この数字は世銀の都市でのプロジェクトの増加を反映していると述べた。都市では、衛生や他のプロジェクトにより多くの人の移転が必要となってきた。

しかし、Schükingは、各国が世銀のセーフガード政策の遵守への監視を強めていることを考えると、世銀の「自発的移住」の定義は寛大すぎると述べた。彼女はまた、中国西部プロジェクトに関する理事会の議論に対して、業務指令(OD)が作成された当時に予期しなかったような「字面どおりの機械的適用」に対する警告という形で答えた世銀総裁James Wolfensohnに対しても批判的であった。世銀当局はしかし、そのようなあらゆるセーフガードの融通の利かない適用は、逆効果になる可能性があると指摘している。結局、中国政府はあまりに多くの要求に従うよう求められたとして融資申請を取り下げた。中国は、このプロジェクトを自己資金で進めるつもりだと述べた。

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