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ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業
「環境アセスメントに係るプロセスについて」意見書を提出

2014年7月4日

昨年11月に着工したティラワ経済特別区(SEZ)開発事業の早期開発区域(約400ヘクタール、フェーズ1)に続き、同事業の第2期(2,000ヘクタール)において、環境アセスメントが始まりました。6月30日、現地で「戦略的環境アセスメント(SEA)に係る現地ステークホルダー協議」が開催され、主に環境コンサルタントから、近日中に調査を開始することが伝えられたそうです。ただ、その調査期間やスケジュール、協議の開催方法・時期等は説明されず、不明な点は多く残っています。

同事業フェーズ2は、現在、国際協力機構(JICA)が協力準備調査を実施中で、同SEA、あるいは、環境アセスメント(EIA)もJICAの環境社会配慮ガイドライン(以下、ガイドライン)に沿って実施される必要があります。

同事業のフェーズ1でEIAが行われた際には、事前の情報周知が不適切であったため、会合への参加者が非常に限られ、多くの現地住民の懸念はEIAの結果に反映されることはありませんでした。

メコン・ウォッチは、今回の2,000ヘクタール区域のSEA/EIAが、こうしたフェーズ1の教訓を踏まえたものとなるよう、また、JICAガイドラインの規定に則った適切なプロセスの下で実施されるよう、7月1日、JICAに対して意見書を提出しました。以下にご紹介します。



>> 意見書本文(PDF)


2014年7月1日

独立行政法人国際協力機構 理事長 田中 明彦 様


ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)整備事業

環境アセスメントに係るプロセスについて

特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
代表理事 福田健治

 

 現在、貴機構が協力準備調査を実施中のビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)整備事業(2,000ヘクタール)について、2013年6月30日、「戦略的環境アセスメント(SEA)に係る現地ステークホルダー協議」が開催されたと理解しております。
 同事業の早期開発区域(約400ヘクタール)の環境アセスメント(EIA)においては、事前の情報周知が不適切であったため、「現地ステークホルダー協議」と称されている2度の会合の場への参加者は非常に限定的でした。また、多くの現地住民はEIA報告書のドラフト版への意見を述べる機会を提供されず、住民の意見・懸念がEIAの結果に反映されることはありませんでした。
 したがって、こうした早期開発区域におけるEIA報告書の策定プロセスから得られる教訓を踏まえ、また、JICA環境社会配慮ガイドラインの規定に則ったしかるべきプロセスとなるよう、今回の2,000ヘクタール区域のSEAEIA報告書の策定プロセスにおいて留意すべき点につき、下記のとおり意見を提出させていただきます。
 すでに上述の現地ステークホルダー協議が開催され、近日中にSEA/EIAの実質的な手続き・調査が開始されるとの理解から、貴機構におかれましては、下記の点をご査収いただき、2週間以内に御回答・御認識を示していただけますよう、よろしくお願い致します。


1. SEA/EIAを開始するにあたり、まずは、以下の点をステークホルダーに対して明示すること。
   @ 同事業におけるSEAおよびEIAの目的・位置づけを明確にすること。(SEAの結果が出た後にEIAを実施するのか等。)
   A SEAおよびEIAの実施にあたり依拠する国内法および国際基準を具体的に明示すること。
   B SEAおよびEIAの各々の方法論(調査範囲・項目だけでなく、実施期間・スケジュール、報告書の完成時期、協議の時期等)を明確にすること。
2. 現地ステークホルダー協議への幅広いステークホルダーの参加を確保するため、特に、以下の点に留意すること。
   @ ステークホルダー分析にあたって、同事業の直接、および、間接的な影響を受ける現地住民を重視し、必ず協議の対象に含めること。
   A 協議の開催にあたって、同事業の直接、および、間接的な影響を受ける現地住民に対して、事前に確実に情報が周知される方法を工夫すること。
   B 協議の公開性を高め、参加者を不必要に限定しないこと。
   C 参加者が多数に及ぶ場合には、同様の協議内容について、一度ではなく、村毎の協議開催等も検討すること。
3. 協議に際しては、事業実施者側の一方的な説明に終わることのないよう、また、SEA/EIAのあらゆる段階で現地住民が意見交換・議論に参加し、住民の意見・懸念が適切に意思決定に反映されるよう、特に、以下の点に留意すること。
   @ 協議の議事事項、および、関連情報については、事前に十分な時間的余裕を持って提供すること。
   A 当該関連情報について住民が理解できるよう、説明に際しては、住民が理解できる言語と様式による書面を用意するとともに、十分な時間を充てること。
   B 住民が当該関連情報を十分に理解した上で、意見交換・議論を行なうため、一つの議事事項に対して十分な時間の充当、もしくは、複数回にわたる協議の場の設定等を考慮すること。
   C 意見交換・議論に際して、通訳が必要となる場合には、住民との信頼関係も考慮し、政府関係者ではない独立した立場の通訳を用意するなど、配慮すること。
4. 協議記録の作成にあたっては、記録の最終版を確定させる前に、参加者が内容を確認・修正できる機会を提供すること。
5. 同事業はカテゴリAのプロジェクトであることから、少なくとも、以下の段階において、事前に情報公開をした上で、現地ステークホルダー協議を行なうこと。
   @ SEA/EIAのスコーピングや代替案の検討時
   A SEA/EIAスコーピング案の最終化前
   B SEA/EIA報告書のドラフト版の最終化前

以上

連絡先:
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F
Tel: 03-3832-5034, Fax: 03-3832-5039

 

Cc:  外務大臣 岸田 文雄 様
JICA 環境社会配慮ガイドライン異議申立審査役
JICA 環境社会配慮助言委員会 各委員



ティラワ経済特別区(SEA)開発事業についての詳細はこちら
http://www.mekongwatch.org/report/burma/thilawa.html

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