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ゴム植林のために焼かれる林
自給自足的なラオスの農村生活は、1990年代の市場経済導入後、大きな変容を余儀なくされています。森は水源となり林産物、薬草などの恵みをもたらし、水位が上下する川は魚や沿岸の畑、豊かな土壌を村人たちに与えてきました。しかし近年、自然と調和した生活スタイルは崩れ、貧富の差が拡大しています。その背景には、ダムなどの大型開発の推進といった政策的な要因のほかに、農村の人々の中にある開発への盲目的なあこがれや、環境変化がもたらす深刻な影響への認識不足があると考えられます。
開発や環境に関わるこうした問題の所在や様々な解決策を伝えるべきマスメディアは、ラオスにおいては一党支配の人民革命党・政府の宣伝や会議取材を報じることが多く、自然と調和した農村での開発のあり方について情報を提供することはほとんどありません。プロパガンダ的な番組や報道を好まない一般視聴者は、言語が似ていて聞き取れる隣国タイの電波を受信しています。そのことが、ラオスの言語や文化をタイ化させるのではと危惧する声も聞かれます。

水田風景
こうした中で、メコン・ウォッチは1999年から、ラオスの開発と環境について積極的に取材・番組制作を行いたいと考えている県のテレビ局や、それに協力するラオス国内の民間教育機関などを支援してきました。活動を行うにあたっては、ラオスの民間教育機関である参加型開発研修センター(PADETC)や各県の地方テレビ局と密接に協力しています。
2004年からは、カムアン・チャンパサック・サバナケット・アタプー県の各局との協力関係を強化しました。ラオスでは国立テレビ局が全国ネットで放送を行っていますが、各県も県内のニュースの報道、独自の番組制作を行うことが定められています。4県の局では「ブン・バーン・ハオ(私たちの郷を見よう)」という番組放送枠を確保し、ラオスの環境問題を取り上げる番組を制作・放映しています。現地コーディネーターを中心に番組制作指導を行った結果、現在では各県のスタッフが定期的に番組制作を実施することが可能となり、3年間で約30本の番組が制作、放送されました。また番組ソフトはラオス情報文化省管轄の国立アーカイブに納められたほか、ラオス国立大学などの教育機関から寄贈要請があるなど、現地で高く評価されています。
番組では、自然資源に頼る人々の生活や文化的な活動を取り上げ、資源の持続的な利用を呼びかけています。また、地域独自の資源管理の成功例、生活向上のための自然資源利用の取り組みなどと共に、急速な開発がもたらす負の影響を紹介しています。また、日本の経済発展の過程でどのような問題が発生しているか、といった情報提供も開始しました。メコン・ウォッチではこの活動を通じて、開発と環境に関するラオス各地の教訓や、解決に向けた具体的な取り組みを広く共有することができ、結果として問題の回避や解決策の促進につながると考えています。
このプロジェクトは、環境事業団(現環境保全再生機構)地球環境基金および日本経団連自然保護基金の支援を受けています。
伐採される大木

番組取材風景