
パクベン郡のダムの水源林で行われている焼畑の様子。
地域住民の土地・森林利用の実態を無視した様々な政策の
実施が、地域住民の土地・森林利用の混乱を引
き起こしています。
メコン・ウォッチは、地域住民の生産活動と森林保全の両立を目指し、
調査・提言活動を行っています。
ラオス北部・ウドムサイ県パクベン郡では、小規模ダムのための水源林の制定、焼畑抑制制作、農地と森林を分類する土地・森林委譲事業、村落移転政策など、様々な政策の実施によって、森を利用してきた地域住民の森林へのアクセスが制限され、農地の不足や破壊的な森林利用につながっています。
メコン・ウォッチは、パクベン郡において、地域住民の生産活動と森林保全を両立させる水源林管理の仕組みを作り、地域住民主体の森林管理を実現することを目指して、調査・提言活動を行っています。
2007年度は、ラオス国立大学林学部及びパクベン郡農林事務所と協力し、@パクベン郡の土地・森林利用に関する調査、Aこれまで行われてきた土地・森林政策の評価、A水源林の環境モニタリング、C水源林の利用と保全のあり方を話し合う水源林管理委員会の設立支援、D水源林内の土地利用・森林保全計画の策定支援などの活動を実施しています。
ラオスでは今も農村部の人たちの多くが、自給的な米作と、森林からの非木材林産物に依存して生活を営んでいます。森林は生活のための無償の糧を与えてくれます。また、焼畑農業も生活には欠かせない場合がほとんどです。ところが、様々な開発や政策によって、森林が破壊されたり、あるいは村人の森林へのアクセスが制限されたりし、村人たちの生活手段が失われるケースが目立ってきました。
社会主義国ラオスでは、村の森林を伐採する開発プロジェクトや、国の政策に正面から批判の声を挙げることは困難です。重要なのは、ラオスにある法律や制度をうまく使いながら、村人たちが森林の利用に関する自らの権利を行政に認めさせ、村人が主導権をとって森林利用を行なえる環境を整えることだと考えています。
そこには海外のNGOだからこそ果たせる役割があると考えています。ラオスに溢れている、カネとモノを上から投入する援助ではなく、問題を抱えている村人たちと行政のコミュニケーションのギャップを埋め、村人と行政官がともに問題を考える場を提供することによって、問題解決につなげる試みを行っています。
メコン・ウォッチがラオスの土地・森林政策に関わるきっかけとなったのは、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES、本部神奈川県葉山町)の森林保全プロジェクトです。2000年4月から2004年度まで、事務局長(当時)の松本悟が、客員研究員としてラオスにおける調査活動などに関わりました。
IGESの森林保全プロジェクトの調査対象地の1つがラオス北部・ウドムサイ県パクベン郡でした。2005年度からは、ラオス国立大学林学部の協力のもと、パクベン郡において、メコン・ウォッチ独自で、村人の土地・森林利用に関わる問題とそれを取り巻く土地・森林政策についての調査活動を行ってきました。
2006年度からは、スタッフがラオスに駐在し、郡の行政官や村人とともに問題解決の方法を探る活動を開始しました。
※2005年度〜2007年度のプロジェクトは、独立行政法人環境再生保全機構の地球環境基金の助成を得て実施しています。
※2008年度〜2009年度のプロジェクトは、三井物産株式会社の三井物産環境基金の助成を得て実施しています。