ホーム > イベント市民の実践から考える「ビジネスと人権」r> 第3回 アフリカの「開発」に関わる日本のODAと官民連携事業を問う―モザンビーク・西サハラを事例に (2025.10.01)
2025年10月1日(水) 20:00-21:30
「ビジネスと人権に関する指導原則」は2011年に国連人権理事会によって支持され、人権を保護する国家の義務、企業の人権を尊重する責任を示しました。2020年には日本政府が行動計画を発表し、官民あげて取り組みが行われています。日本でも大手企業を中心に、人権擁護の方針を掲げることが一般的になり、また、年金を管理する投資ファンドなども、投資先の人権問題への関心を高めています。その一方、日本企業のビジネスや日本の資金が関連する海外の事業では、未だにさまざまな人権侵害が起きています。
この全3回の連続セミナーでは、「ビジネスと人権」の分野で調査や提言を行ってきたBDS Japan Bulletin、西サハラ友の会、メコンウォッチの3団体と協力団体が、具体的な問題事例と具体的な状況改善に向けての取り組みを紹介します。
最終回となる第3回は、モザンビークと西サハラです。前半では、日本の官民が多額の金融支援をするガス事業、「モザンビークLNG」について取り上げます。
事業が位置するモザンビーク北部カーボ・デルガード州では、事業により住民が移転を迫られ、農地や海へのアクセスが制限されることで、食料や収入を得ることが困難となっています。事業会社から約束されていた補償を未だに受け取れていない被影響住民もいます。現地では、慢性的な貧困や不平等な社会構造に対する不満が反乱軍への活動へと繋がり、情勢が不安定となっています。治安の悪化を理由として2021年4月からLNG事業は一時中断されていますが、事業により起きている環境破壊や人権侵害の実態を把握し、関与のあり方を見直すことが日本の官民に求められています。
日本のビジネスがモザンビークに与えている影響について議論します。
後半は、スペインからの独立過程で隣国のモロッコに侵攻され、50年間占領が続く西サハラです。
弾圧、人権侵害が絶えず、西サハラの人びと(サハラーウィ)を周縁化し、モロッコ人移民を優先する開発が進められています。西サハラの資源利用は「天然資源に対する恒久主権」という国際法の原則の下、国際問題になっています。西サハラの海は水産資源が豊富で、スペイン、イタリア、日本等が西サハラの海でとれたタコなどを「モロッコ産」として買っています。日本はモロッコの水産部門への援助を1970年代から行い、モロッコが西サハラの海で漁業を行っているとしりつつ、援助を強化しています。モロッコは2024年に日本の借款で海洋調査船を建造し、モロッコ南部の漁業研究所に配置し、西サハラの海を公然と調査しています。
今回は日本のモロッコ水産部門への援助のがモロッコによる西サハラ占領を強化する役割を果たしていることを明らかにします。
「ビジネスと人権に関する指導原則」の理念の普及と、日本での取り組みの活性化を願う皆様のご参加をお待ちしております。