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ホーム > イベント > 人びとの生物多様性 > 連続セミナー「人々の生物多様性」 第1回:ラオスの森林と開発、そして生物多様性 開催報告

連続セミナー「人々の生物多様性」
開催報告 第1回「ラオスの森林と開発、そして生物多様性」

国際環境NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチは、地元コミュニティの視点から、生物多様性の価値および開発の影響を、ラオス、インドネシア、ロシア、マレーシアなどアジア各国の事例を通して問い直すことを目的に、連続セミナー「人々の生物多様性」を開催しています。
第1回は「ラオスの森林と開発、そして生物多様性」と題して、2009年9月8日に開催しました。

「失われる生物多様性と地元コミュニティ〜森林開発の現場から」
グレン・ハントさん/日本国際ボランティアセンター

まず、日本国際ボランティアセンターのグレン・ハントさんから、「失われる生物多様性と地元コミュニティ〜森林開発の現場から」というテーマでお話を頂きました。

グレンさんは、まずラオスの森林の概況、地元の人々の森林利用の概況についてご紹介いただきました。人々は、建材として、またキノコや木の実、薬草、樹液、ラタンなどを食用や工芸品の材料、塗料、薬用などさまざまな用途で利用しています。また、世界でもっとも古い農業システムとしての焼畑を営んでいる少数民族もいます。焼畑はたとえば8年ほどのサイクルで順々に畑を移し、もとに戻るころには二次林が回復しているという農法で、米ばかりではなく、多くの他の林産物や野菜も栽培されています。一方、人口増加や従来利用していた森林が他用途に転換されることにより、焼畑のサイクルが短縮されたり、他の森林地域に拡大したりすることにより、焼畑が非持続的なものになってしまうこともあります。


近年、植林コンセッションも広がってきています。植林コンセッションの中には、本当に植林を目的にしたコンセッションもありますが、中には森林を伐採し樹木を売り払うことを目的にしたコンセッションもあります。一方、植林を目的としたものの中にも、荒廃林という名目であったとしても豊かな森や地元コミュニティが利用していた森林がコンセッションに設定されたり、保護地域に指定されたりすることもあります。

ラオスにおいては、基本的にすべての土地は国家の所有とされていますが、土地森林委譲(注)システムとして、村に対して、森林の利用区分を行ったうえで、森林を管理・利用する権利を委譲するシステムがあります。こうした土地利用とコンセッションが競合することもあります。

グレンさんは最後に、豊かな生物多様性を有しているラオスにおいて、複雑な状況の中で森林の生物多様性が危機に瀕していること、それにより森林を利用してきた村人たちが負の影響を被っていること、問題の根底には土地取得のプロセスがあることを指摘して、お話を締めくくりました。

「森と人との乖離〜ラオスの森林の社会的側面」
百村 帝彦さん/(財)地球環境戦略研究機関

 引き続き、地球環境戦略研究機関の百村 帝彦さんから、「森と人との乖離〜ラオスの森林の社会的側面」というテーマでお話を頂きました。
 森林と人との関係を考えるとき、@保護の対象として、A(木材)資源を生み出す場として、B地域住民の利用の場としての視点があります。
 日本の場合、それは国立公園、スギ造林地、里山で、そこでの森林と人の関係はそれぞれの特徴により異なっていますが、現在では多くの場合は人々の日常の生計に大きく関与しているというわけではありません。一方、ラオスの場合は、いずれの森林形態においても地域住民は、森林からの幸(非木材森林産物)に依存した生計を立てています。
 ラオスにおける村人の生計の確保(販売含む)としての森林資源の利用を考えた時、たとえば自分たちで使う建材、薪炭材、森林からの幸(非木材森林産物)の自家消費や販売などが考えられます。かつて研究を行ったN村においては、収入源に占める森林産物の割合は約14%から33%にものぼりますが、日常の生計の糧となる森林産物の採取はさらに高い割合になります。ラオスにおいては国土の14%が保護地域とされていますが、保護地域の設定によって、住民は豊かな森が身近にあるにもかかわらず森林利用が阻害されるといった影響を受けることもあります。
 地域住民による保護林も設定されており、水源や川の周囲の水源管理のため保安林、住民による「精霊の森」「埋葬林」が設置されていたりしますが、住民にとって保護すべき森と国やグローバルにとって重要な森林の認識のギャップが生まれてしまっています。
 一方、経済のグローバル化に伴い、土地・森林利用の在り方は大きな変化を強いられています。外国企業などによるコンセッションや国内企業・個人投資家による土地の囲い込みが生じたり、農民個人による商品作物やゴム・ユーカリ等造林導入による土地利用転換も、企業動向に呼応して進んでいます。森林ではなく、土地そのものを資源と捉え、早生樹や商品作物地として土地利用を転換している状況です。1990年代なかごろのチーク造林ブーム、90年代後半のADB融資事業による造林ブームに続き、2000年代の中ごろからの第3の造林ブームが急速に拡大し、現在ラオスを直撃?しています。その背景には造林推進政策、中国・ベトナム・日本などのゴムや製紙原料への需要があります。造林地となることにより、住民の慣習的な森林・土地の利用権や非木材森林生産物(森の幸)の利用権が失われてしまいます。
 百村さんは、急激な造林・商品作物事業により、経済成長は促進されるものの、土地利用転換に伴い、貧困層住民の慣習的な利用権の喪失が生じており、最も森の幸を必要とする住民が、森林から切り離されていく現状を指摘し、政策・事業によって、どのようなアクターが影響を受けているか、注視していく必要があると話をしめくくりました。

 会場からは、「企業のCSRパーフォーマンスを現場で確認することができないか?」「製紙企業も地元貢献に努めている」「非木材森林産物の具体的な事例は?」「生態系からのベネフィットが、経済成長指標に正しく反映されていないことが問題」「ラオス政府はREDDに対してどういうスタンスか」「アグロフォレストリーも重要なのではないか」などの意見や質問がでて、活発な議論がくりひろげられました。

(文責:満田)


■日時:2009年9月8日(火)14:00〜16:30
■場所:地球環境パートナーシップ・オフィス(エポ会議室)
■主催: FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチ
■協力:IUCN日本委員会、WWFジャパン アース・ビジョン組織委員会、アジア太平洋資料センター(PARC) 、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、環境を考える経済人の会21(B-LIFE21) 、コンサベーション・インターナショナル、サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC) 、サステナビリティ日本フォーラム 、市民外交センター、生物多様性条約(CBD)市民ネットワーク、日本環境ジャーナリストの会(JFEJ) 、日本国際ボランティアセンター、日本消費者連盟、 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS) 、フェアウッド・パートナーズ、ラムサール・ネットワーク日本

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