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カンボジアの開発問題

開発に伴う住民の立ち退き、トンレサップ湖の環境、灌漑、森林伐採、それにベトナムのセサン川開発による影響などが当面重要な課題だと考えられます。

カンボジアでは多くの援助資金が道路の建設・改修に投じられています。日本政府も、バンコクープノンペンーホーチミンを結ぶルートを第二東西回廊と名づけ、優先度の高い開発計画と位置付けています。一方で、全天候型の片側二車線に設計することで、洪水防御のための嵩上げや40メートル以上の道路幅が必要になる場合があります。アジア開発銀行(ADB)が融資している国道一号線の改修では、それによる立ち退きが大きな社会問題となってきました。日本政府は同じ国道一号線で、1800戸もの住民が立ち退かなければならない路線の改修事業を、無償資金協力で支援するかどうかを検討しています。立ち退き問題は今後カンボジアの開発において、次第に深刻な問題となっていくと考えられます。

カンボジアの自然生態系にとって重要な存在はトンレサップ湖です。乾季にはメコン河に向かって流れ、雨季には逆流してメコン河の溢れる水を飲み込みます。天然の水量調整ポンプの役割を果たしています。乾季で3000平方キロ、雨季にはその5〜6倍に広がり、流域の人たちの貴重なたんぱく源である魚を供給しています。ところが90年代以降、様々な原因でトンレサップ湖が汚染されたり、漁獲高が減少したりしていると指摘されています。こうした中、ADBはトンレサップ湖の環境保全や貧困削減の名のもとに、港の建設などの開発支援を検討しています。トンレサップ湖の環境変化の原因を分析し、ADBなど外からの開発がどのような影響を与えるのかをモニタリングする必要があります。

かつては天水田だけで米を輸出していたカンボジア。和平以降、農業の近代化を目指して、プレクトノットやストゥンチニットなどの灌漑を主目的にしたダムが検討されてきました。プレクトノットはかつて日本が手がけて内戦で破壊されたダム、ストゥンチニットはADBが支援しています。水没地の住民への影響だけでなく、大規模な灌漑がカンボジアにどれほど必要かどうかという論点も重要です。ラオスと同様に、自然に依存した農業を、灌漑による管理型に切り替え、それに必要な資材や管理コストは、農業専門の銀行から借り入れるという仕組みですが、費用対効果のバランスが悪ければ、借金だけが膨らんでしまう危険性も含んでいます。灌漑がどこまで有効な手段なのか、真剣に分析・議論する必要があるでしょう。

カンボジアにおいて、水や農業と並んで重要な自然資源は森林です。農村部では食料、生活資材、薬、水、燃料などを森林が与えてくれます。1990年代半ばから丸太の伐採・輸送は禁止され、新規伐採権も認められていませんが、抜け道となっているのが植林、特にゴム植林です。現在は木材伐採が認められていない伐採権対象地を、ゴム植林のための「土地利用権対象地」に指定し直すことで、「ゴム植林に必要だから」とカンボジア政府が森林伐採を正当化しているのです。伐採された木材の一部は、日系企業の伐採地を経由して運搬されているという情報もあります。カンボジア政府は、伐採権の対象地外では伐採を認めないと世界銀行に約束していました。しかし、世界銀行は最近この抜け道を認める決定を下してしまっています。伐採問題は、植林という形をとってより複雑化しており、注意深いモニタリングが必要です。

カンボジアのダム問題は、ベトナム中部高原から東北部のラタナキリ県に流れるセサン川に関わっています。セサン川のベトナム側に完成したヤリ滝ダムからの放水で、同県では洪水が発生し犠牲者が出るなど大きな被害を受けました。被害に対する補償や再発防止策が整わないまま、ベトナム政府(ベトナム電力公社)はセサン川に次々とダム建設を進め、親ベトナムのカンボジア政府は被害住民をいわば見殺しにしています。下流影響を軽視してダム建設を進めるベトナム電力公社に2721億円もの円借款ODAを出している日本政府は、この事態をもっと深刻に受け止めるべきです。

カンボジアの問題プロジェクト

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